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20080703082514.jpg 小林多喜二の『蟹工船』ブームにつられて,3冊ほど読んでみました。

 といっても,3冊中の2冊はマンガなので,リッパに書評などを言えるほど味わって読んでいませんから,たいしたことは言えません。
 ですが,マンガだけでも十分内容は分かるし,そのエッセンスは十分楽しめると思います。
 私は,右端の「マンガ蟹工船―30分で読める…大学生のための」をお薦めします。

(※なお,原文は,著作権切れなので,わざわざ買わなくても,インターネットの青空文庫で読めます(こちらです)。 ありがたい時代ですね。)

 さて,『蟹工船』ブームを支えているのは,ワーキングプア層や,働く世代ということです。
 それは,自分たちの置かれた状況が,『蟹工船』の漁夫・雑夫に通ずるものがあって,共感を呼ぶからだそうです。
 時代も違うし,労働環境も違うし,人権感覚も違うこの現代でも,根っこにあるものは同じだということなんですね。

 しかし,そうだとすると,『蟹工船』を読んで,そこから教訓を学ぶべき層は,経営者層,人事担当者層だということになるでしょう。

 現代の経営スタイルは,非正規雇用を活用するところに特徴があります。

 企業としては,非正規雇用活用のメリットは,人件費を圧縮することよりも,むしろ,いつでも労働者を増減調節できるところにあります。
 原材料や商品の在庫と同様の発想で,人材在庫を抱えないようにするのが大きな合理化・効率化につながるからです。

 しかし,これを労働者の側から見ると,「いつクビになるか分からない」「いつでも代わりがある」というシステムになっているので,問題です。
 このように,「一人ひとりの個人」を尊重せず,1個の道具としてしか捉えない雇用システムが,『蟹工船』の漁夫とそっくりなのです(=蟹工船に登場する労働者には,一人も名前が付いていません。)

20080713093252.jpg この状態を放っておくと,『蟹工船』の結末と同じように,労働現場が破綻・崩壊につながってゆきかねないでしょう。
 少なくとも,愛社心が希薄で,人的連帯感の薄い労働現場では,「質」の低下は避けられなくなるはずです。

 労働者を酷使したツケが,蟹工船の結末だとすると,やはり同じような結末は考えないといけません。
 もちろん,現代を見ると,大正時代の「ストライキ」の再現はないでしょう。
 これからの時代の労働者の抵抗は,「内部告発」を中心とする情報ネットワークによる連帯的な抵抗だろうと予想されます(すでに,内部告発に端を発して,不祥事が明るみに出て破綻につながった企業は少なくありません。)
 これは,経営者にとっては,極めて大きな脅威です。

 『蟹工船』に暗示されている経営の崩壊を迎える前に,経営者や人事部は,もう一度,「一人ひとりの個人を尊重する」という視点から,雇用システムを考える必要があると思います。

(※ちなみに写真はお中元でいただいたカニ缶です。)
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