新聞報道ですと、裁判員制度のことばかりが取り上げられていますが、正式なコメントを見ると(→こちらをどうぞ)、ちゃんと憲法のことを冒頭に語っています。
憲法記念日を迎えるに当たって言っていることはもっともですが、私は、このコメントはかなり自らを身贔屓したハッタリだと思っています。
島田最高裁判所長官談話
日本国憲法施行60周年の憲法記念日を迎えるに当たり,所感を申し述べたいと思います。
裁判所は,憲法によって付託された司法権の担い手として,憲法の理念に従い,国民の基本的人権の擁護,法の支配の確立といった重要な使命を果たすべく,これまで努力を続けてきました。
近年,我が国社会が急速に変貌を遂げ,国際化しつつある中で,裁判所が解決を求められる事件は多数に上り,尖鋭な利害対立を含む複雑で困難な事件も増加しています。裁判所に対する期待はますます高まり,社会の安定と発展の基盤となる司法の役割が一層重要になってきていると申せましょう。(後略)
現代日本の抱える諸問題は、
◆本来、憲法実現の主役を果たすべき国民が寝ていて、その努力を怠り、
◆本来、憲法の拘束下に置かれるべき政府が、国民が呆けているのに乗じて、越権行為を積み重ね、
◆本来、憲法の砦となって歯止め役を果たすべき裁判所が、憲法衰退化を黙ったまま放置(遺棄)してきた、
ことによってもたらされていると考えています。
◇今、憲法が失われようとしている転機にあること、
◇改憲問題が社会的な関心事となりつつあること、
◇憲法の目的の一つ「平和主義」の内容の転換を迎えているとき、
であるにも、かかわらず、司法のトップは、
▼改憲の問題にひとことも触れず、
▼平和主義についてもひとことも触れず、
▼憲法判断回避の理論を打ち立てるなどして、長年、憲法理念を磨かないで憲法を錆び付かせてきた自らの姿勢を「努力を続けてきた」と自画自賛している
という点で、三権分立の構造が機能していない状況を、見事にあらわしているような印象を受けました。
もっとも、司法や政府に文句を言う前に、まず、
「寝ている国民」
が目を覚ますのが先決だと思いますが。


