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 最高裁判所の判事というのは,司法に対し,国民の意思を反映させることができる唯一のポストである。
 すなわち,
  (1)内閣が任命することになっており(憲法79条1項)
  (2)選挙の際に国民審査に付されることになっている(同2項)
からである。

 つまり,最高裁判事は,それだけ民主的な正当性を持ち,他方,政治的な存在である,ということである。

 ここ最近,2つの人事があった。
 なんとなく政治的なキナ臭さを感じる人事だった。

 一つは,横尾和子裁判官の依願退官である(2008年9月10日付)
 横尾判事は,女性官僚として華々しい経歴を持っていたが,その中でも,社会保険庁長官を勤め,基礎年金制度の導入を行ったという実績がある。
 この社保庁長官の経歴を,ネットや新聞で叩かれ,依願退官につながったようである。
 批判に耐えることも裁判官の重要な宿命であり,それが裁判官の独立のスピリッツでもあるはずだ。
 しかし,福田総理が辞任表明をした直後の退官劇で,タイミング的に,なんとなく政治的なキナ臭さを感じる。

 もう一つは,つい先日(2008年10月21日)に任命された,竹内行夫裁判官である。
 竹内氏は,元外務事務次官である。
 それだけでも政治色プンプンであるが,小泉政権下でイラク派兵を進め,イラク戦争支持の日本政府に抗議した天木直人元レバノン大使をクビにした張本人とのことである。
 これは,名古屋高裁違憲判決に対する,政治的なアテツケと見られても仕方ないだろう。
 竹内氏については,イラク派兵違憲訴訟の弁護団の方から,国民審査で罷免を求めるメールが届いているので,参考までに後掲引用しておく。

 そんな中で,最高裁長官の候補として,竹崎博允判事が,推挙されることとなった。
 新聞記事によると,いきなり長官に抜擢されるのは異例なのだそうだ。
 司法行政の経験が長い典型的なエリート裁判官のようであり,裁判員制度の設計の中心を担ったことから,5月以降の新制度に向けてテコ入れする趣旨であると評価されている。
 そういう意味で,純然たる司法界のエースということであれば,どうか,最近の人事の政治的なキナ臭さを消し去って,信頼できる最高裁判所を運営していって欲しいものである。

 竹崎判事は,若い頃に,鹿児島地裁名瀬支部の裁判官を務めている。
 これは,まさにNHKドラマ『ジャッジ』の赴任地である。
 Drコトーの裁判官版よろしく,人情味を忘れないで欲しい。

 判例検索によると,東京地裁裁判長時代の無罪判決(H7.9.29判決)や認定落ち判決(H8.2.7),東京高裁時代の無罪判決(H6.3.15)や,被告人の裁判出頭権確保決定(H6.2.10)など,勇気ある判決もいくつか出している。
 どんなお人柄なのか,現時点ではよく知らないが,とりあえずは期待を寄せたい。
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