現在,審議中の改憲推進・手続簡略化法案(すなわち「国民投票法案」と称する新しいシステム)は,もっと強くダメ出ししないといけませんね。

 手続法を定めること自体が良いかどうかという議論もあります。
 そういう議論は,不毛な気もするので,私は,手続法自体がきちんとしたものであれば,それはそれでよいと思います。
(護憲派は,その手続きを通じて,現行日本国憲法の正当性をしっかり意思表示し,国民の総意であることを再確認すればよいのだ。)。

 ただ,現在審議中の法案は,あれはひどいです。
 だからダメだ,ということです。
 本気で国民投票法案を通したいのであれば,中立公正に徹した手続法を作ればいいのに,改憲(壊憲)したい欲望・下心が丸見えだから,反対されちゃうわけで。
 本気でやりたきゃ,もう少し冷静に物事を考えて取り組めばいいのに。

 既にいろいろ問題点が指摘されていますが,今日は,ちょっと違った側面から,本法案の未成熟性,内容のお粗末さを指摘してみましょう。

 日本では,原則として間接民主主義をとっていますが(たとえば憲法前文の冒頭に「日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」とあります。),
 3つだけ,例外的に,直接民主主義を採用しています。
   1 『最高裁判所裁判官の国民審査』(憲法79条)
   2 『地方公共団体の長の選出と,住民投票』(憲法93,95条)
   3 『憲法改正の国民投票』(憲法96条)

 1,2はお馴染みでしょうが,他と比較して「憲法改正」が最も厳格な手続きでなければならないのは,言うまでもありません。
 ところが,これらを比較してみると,住民投票条例の方が,ずっとずっとレベルが高いし,内容も良いし,質も緻密で,前提となる議論もきちんとなされています。
 たとえば,川崎市が住民投票制度を設けるにあたって,検討会を実施しました。その議論内容と検討結果の報告が公開されています。
 以下のとおりです(HPはこちら

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これによれば,我が国における多くの自治体が定めた住民投票条例では,
  ◆一定率以上の投票率がなければ住民投票は成立しない
  ◆住民の投票運動の規制は最低限度に止め,あえて新たな罰則も設けない
  ◆18歳以上に投票権を認める
  ◆ボイコット運動も政治的主張の1つで、禁止は憲法違反の危険があると指摘

  等々です。
 (自治体の住民投票条例の一覧表をまとめたHPもありました。こちらです

 ちょっと,どうです?
 国家の基本法の改正要件を定める法律なのに,ずっと下位にある住民投票条例よりもレベルの低い内容でどうするの?

 せっかく国民に与えられた唯一の国政への「直接民主主義」のツールなのですから,あえて直接民主主義を認めた趣旨にしたがって,国民の意見が反映されやすくするべきなのに,それをことさら制限する方向の法律を作るって,おかしくないですか?
 直接民主主義をできる限り制限しようという発想自体が,ひねくれてるんじゃないですか?
 国政は,謙虚になって,地方自治に学ぶべきだと思います。
 「国民投票法案は,住民投票条例を見習え!」

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