今日10月1日は「法の日」です。
 この日,法テラスがスタートしてから丸一年経ちました。

 昨年は,法テラス準備の担当副会長だったので,当時のドタバタとイラ立ちが改めて思い出されます。
 明日は,サンテレビの「法律シグナル」のコメンテーターの当番ですが,ネタは
   「法テラス1年」
ということだそうです。

 テレビでは市民の方々に向けて,もっと広く法テラスを知っていただこうという趣旨目的から,法テラスの「光」の面をご説明することになります。

 しかし,もちろん「影」の部分もあるわけで,テレビではちょっと言えない問題点を,簡単にご紹介をしておきます。


1 まずは,市民へのサービスの低下ですね。
  法テラスが出来て,「民事扶助」には力が入れられていますが,これまで各地で行われてきた自主事業(刑事被疑者,犯罪被害者,少年,残留孤児,難民,ホームレス,医療観察対象者などなどへの援助)は,アッサリと切っちゃいました
 (仕方がないので,日弁連が手弁当で費用を出して,この10月から法テラスに委託して続けることになりましたが,それがなかったらどうするつもりだったのだろう・・・?)
  それから,法律相談や,過疎地対策事業についても,予算をケチって,ほとんど相談枠が増えません。いくら広報しても,受け皿の費用の手当てをしないのだから,お粗末です。
  弱者に対する救済の手が後退したことを,まざまざと感じます。


2 次に,大風呂敷を広げて大失敗のスタッフ弁護士制度です。
  法テラスに常駐して,仕事に従事するスタッフ弁護士が全然集まらないのです。
  なぜ?と,公務員根性ベタベタの官僚は疑問を感じているかも知れません。
  しかし,在野の弁護士からすれば当たり前です。
  特定業務に特化し,しかも,9年しか働けず,本部の命令は絶対。
  そんな官僚の使い捨ての駒と分かっていながら,公的使命に燃えて,スタッフを志す弁護士が,僅かながらでも存在することに,むしろ感謝すべきです。
  これは,法テラスの構想者が,傲慢な「驕り」に支配されていた証です。


3 さらに国選弁護離れをむちゃくちゃ助長したことです。
  ただでさえ,弁護士たちの刑事弁護離れが進んでいるのに,
  ゴチャゴチャとうるさい注文を付けて,弁護士たちを無用に苛立たせ,
  頑張っても報われないのに,手抜きすると報われる報酬体系に改め,
  そもそも報酬額そのものを,一気に引き下げてしまったことから,
  超加速度的に,国選の刑事弁護人が減っています。
  刑事弁護を頑張ろう!という弁護士が,希少種になったとしたら,それは法テラスのおかげです。



 挙げ出せばキリがありませんから,これぐらいにしときます。
 結局,民間の世界のトラブルや苦難に対しては,まず市井の感覚で臨まないといけないのです。
 ところが,
   ◆官僚的な感覚,
   ◆官僚人の冷徹さ,
   ◆官僚事務の平板さ,

を持ち込んで仕切っちゃったものだから,うまくいかずに立ち往生しちゃっているんですよね。

 結局,この1年の間,多くの公金を使って司法の世界にプラス効果があったのは,宣伝効果ぐらいでしょうか。
 しかし,それならば電通や博報堂などの民間広告代理店に頼んだ方が,ずっと上手だったでしょうね。
 お世辞にも世の中に法テラスが浸透したとは言えませんから。

 次の一年は,感覚だけでいいから「民間」を見習って,見直してもらいたいものです。