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 イージス艦「あたご」の衝突事故の件で,自衛隊の組織行動の原理が,浮き彫りになった。

 防衛省は,事故の当日,行方不明者の捜索活動にあたっていたヘリコプターを使って,報告に来た航海長らを運んでいたというのである。
(※新聞記事は,東京新聞の共同通信記事をどうぞ。
 どういうわけか(…というより,やっぱり!),この記事の扱いは小さい。
 そんな中,神戸新聞は朝刊1面トップ扱いだった。さすがだ。)


 今回の件では,防衛省は,行方不明の被害者の捜索よりも,組織内の報告行動を優先させた,というのがポイントである。



 さて,この報道に接して,30年前の横浜市での米軍機墜落事件を想起する人もいるだろう。
 私もそのひとりだ。

 横浜市での母子死亡事件は,「パパママバイバイ」で知られているが,思わず感涙する痛ましい事件だ。(⇒こちらをどうぞ
papamama.jpg(※ 絵本『パパママバイバイ (子ども平和図書館)』早乙女勝元著 
   または,
  『「あふれる愛」を継いで 米軍ジェット機が娘と孫を奪った』 土志田勇著 もどうぞ。

 簡単に紹介しておくと・・・
 米軍ジェット機が市街地に墜落して,市民が大やけどを負って苦しんでいる中,
 現地に到着した自衛隊の救難ヘリコプターが,ほとんど無傷だった米軍パイロットだけを乗せ,市民を置き去りにして帰っていった,という事件である。
 幼い2児は,一人は「ハトぽっぽ」を歌いながら,そして,もう一人は「パパママバイバイ」とつぶやきながら短い命を閉じた。26歳の母親は大やけどで数年の間,苦しみながら死んでいった。
 そんな,悲惨な事件であった。

 この事件が起こったのが,1977年(昭和52年)9月27日であるから,今回のイージス艦事故は,ちょうど30年半というところである。


 私たちは,30年前の事故から何を学び,何を反省し,何を改めてきただろうか。



 しかし…,
 私は,今回の自衛隊の対応を,法的に責めることはできないと思っている。
 なぜなら,法律上,自衛隊は,
    「国民の人命救助を最優先する」
とされていないからだ。

 自衛隊法3条には,自衛隊の任務として,
第3条 自衛隊は、我が国の平和独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
と書いてあり,「国」と「公共」を守ることになっていて,国民の生命などは,あくまで国の安全を守ることにより,間接的に保護しているに過ぎないのである。

 憲法の大家である宮沢俊義先生も,「憲法講話」(岩波新書)の中で,
   統帥権の独立
という概念を解説している。

 歴史的・国際的に見ると,軍隊というのは,憲法のコントロールの枠外に置かれてきたということである。
 軍隊というものは,本来こういうものなのだ。

 したがって,自衛隊の組織行動の原理,本質からすれば,自然と今回のような行動に及ぶことになるのだ。


 私たちは,今回の件を通じて,30年前のこの重たい宿題に,もう一度向き合って考える必要があるのではないだろうか。
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