敷金0円,礼金0円,仲介料0円,というのがウリになっている
   「ゼロゼロ物件被害」
というのが流行っているそうだ。
 NHKのニュースでやっていた(⇒こちらをどうぞ
 
 この業者の手口は,
    敷金0円,礼金0円,仲介料0円
という売り文句で,手元現金の少ない貧困層に居宅をあっせんしておいて,
その後,1日でも支払いが遅れると,解除だと言って,強行的にカギを換えてしまい,
高額の遅延金を要求して,それを支払うまで家から締め出してしまう,というものだ。
 住まいは「衣食住」の基本なので,付け込まれた人々は,泣く泣く超高利の遅延金を支払うことにななってしまう。
(⇒こちらに詳しく出ていました


 この業者は,
   ◆この契約は賃貸借ではなく,「施設付鍵の一時使用契約」である
   ◆1日でも遅延したら,契約書では明らかな違反だ
   ◆違約金や,カギの取り替えは,契約書に明記している
という言い分を振りかざしているようである。
 危機に瀕したシロート心理に付け込んだ,悪質かつ巧妙な言い回しである。

 しかし,こんなのは法の趣旨を正しく理解さえすれば,インチキであることは一目瞭然である。
   ◇法解釈は, 契約実態を重視するから,明らかに賃貸借であるし,
   ◇判例では, 1日遅延での解除など認められないし,
   ◇消費者契約法では, 高額の違約金は違法とされている。

 法律というと何だか難しそうに聞こえるかも知れないけれど,
 「たとえ契約書に書いてあっても,ダメなモノはダメ」という教訓は,『ヴェニスの商人』の昔から,誰でも知っているお話だ。
 確かに「支払いを遅らせたのは,あなたでしょう!」と厳しく言われたら,なんとなく「そうかな」と思ってしまうかもしれないが,それが全てを根こそぎ奪い取ることを正当化する理由にならないことは,また,よくわかることだろう。

 このゼロゼロ物件被害については,ワーキングプア等の貧困層がターゲットになっているところで話題になっているけれど,それだけではなく,
    「法律の形さえ整っていれば,従わなければならない」(=悪法も法)
という,誤った形式的法治主義的な発想というか,形だけのコンプライアンス(法令遵守)の発想が,世の中に広く蔓延しているのに便乗しているところにも問題があると思う(多くの消費者被害も同様かな)。

 本当の「コンプライアンス」とか「法の支配」というのは,あるべき理念・原理に正しく向き合って,その時々の社会的要請に的確に応えることである。
 おかしな法論理を振りかざす相手には,「法の趣旨」や「原点」にさかのぼって,たたかえばよい。