4・25ネットワークの例会で,とても参考になる本を手に入れた。

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 山口榮一編著「JR福知山線事故の本質
        ~企業の社会的責任を科学から捉える」


この本の帯には,次のようなコピーがある。
 事故車両からの奇跡的な生還と,
 リハビリの日々の記録。
 被害者と科学者が迫る,
 終わらない事故の根本原因とは。
 あの日から,私は,ちがう世界で生きてる。
 このコピーからも分かるように,この本は,
   1 事故の負傷者が辿った事実と思いを綴った手記
   2 科学者が捉えた端的な事故原因
が記されたものだ。

 私はまだ読破していないけれども,
 宮崎千通子さんの手記の部分は,本当に深く感じさせるものがある。

 物理学者である山口栄一先生は,
 事故調査委員会の最終報告書が批判を浴び,
 迫りきれなかった核心部分を,とても分かりやすく端的に書いておられる。
◆この事故は,高見運転士だから起きたのでは決してない。
◆転覆限界速度が時速106キロメートル以上だと「思い込んで」いた人の誰かが,同じ脅迫感をもってここを運転していても,この事故は起きた。
◆スピード・リミッタ機能付きATSが設置されないかぎり,今後もまったく同じ事故が起きうる。
 事故調査報告書にも同趣旨の指摘部分があるが,それを,このように明確に,はっきりと言明できなかったところに謙抑的行政の限界を見いだすことができる。

この本の評価できるところは,単なる机上の評論ではなく,
   被害者の現実の(生の)思い
を出発点にしているところだ。

補償交渉(正しくは賠償交渉)のエピソードも,実際の場面を生々しく伝えている。
◆「過去の交通事故の裁判事例から算定された補償基準」にもとづいて最小限の補償を行っているということだ。そしてその「基準」を超える補償については,あくまで「支援」と呼んで区別している。
◆「治療費の支払いを途中で打ち切ることがある」と言ったので,宮崎さんがその意味を問いただすと,彼らは,「こちらも経費がかさむんで」と応えた。
◆「基準」なるものが,双方の合意に基づかない以上,合理性を欠いていることは言うまでもない。
◆お話を伺うまではJR西日本が総力をかけて被害者への補償をしていると思い込んでいただけに,この真実は驚くべきことだった。
 こういうエピソードは,私も,今回の事故の被害者の方々から,数多く聞いた事柄だ。
 だから,JR西日本の対応は,この本に克明に記されているとおりであると言い切ることができる。

事故調査委員会の報告が出て,
いよいよこれから,向き合うことを回避してきたJR西日本自身の
   原因を説明する責任
が問われる場面が来る。

 8月4日,5日には,被害者向けの説明会が予定されている。

 しかし,事故原因は,遺族や負傷者だけの問題ではない。
 鉄道利用者である市民それぞれも「我がこと」として注視していく必要があるだろう。

 
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