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 なかなか重たい話題なので,筆が進まなかったのですが,昨日の日航機墜落事故21年目の日を迎えて(私が取っている日経神戸新聞の朝刊にはほとんど書いてなかったので,思わず昨日ブログしたのです。しかし,夕刊はどこもたくさん記事になってましたね。決して風化していないということが分かって少し安心しました。),どうしてもJR脱線事故の件について触れざるを得ないと思うので,とりあえずひとこと書かせていただきます。
 この事故が私たちになげかけた問題は,とても根が深く,また,私たちにとって普遍的な問題であると思っています。
 事態を直視したとき,人のいのち,人生の幸せ,生き甲斐とは何か,という問題はもとより,社会のあり方,地域における人々の暮らしのあり方,安全とは何であるか,という問題にまで思いをめぐらさなければなりません。

 私は,この諸問題について,あまりにも問題が大きすぎて,とてもまだまだ整理できていませんが,事故から1年目を迎えたときに,負傷者支援にあり方について簡単に意見をまとめたものがあるので(平成18年5月1日付神戸新聞の「論」のコーナー),この分野に限定された問題ですが,ここにアップしておきます。

「負傷者支援の3つの課題」
 JR福知山線脱線事故では500名を超える人々が負傷し,心身の健康と幸せな日常を奪われた。事故後,負傷者に対して様々な支援メニューが呈示された。それらがどのように機能し活用されたのか,しっかりと検証されるべきだ。もっとも,現時点では,多くの負傷者が未だ苦悩しており,検証の作業は時期尚早だろう。そこで,ここでは,これまでの支援活動の中で浮き彫りになった課題を3点だけ指摘しておきたい。
 第1に留意すべきは,他と安易な比較をしてはならないということである。たとえば,「命が助かっただけ良かったね」との慰めの言葉が,負傷者の心を深く傷つけることがある。この言葉には亡者との比較の視点が盛り込まれている。「どうして自分が生き残ってしまったのだろう」と苦悩する感情(「サバイバーズギルド」)は,負傷者らが体験する自然な感情である。それが理解されておらず,善意で発した言葉が彼らをさらに傷付ける。これは一例に過ぎない。また、遺族と負傷者の違いを無用に強調したり,負傷者間で,受傷や心的外傷の程度を比較して,無意識に傷付け合うこともある。他の事故例や,交通事故の被害者と比べられることで強い違和感を感じることもある。
 このように無用な「比較」がなされる前提には,形式的で行政的な「公平・平等」の観念がある。公平の名の下に,それぞれの思いが封じられるとしたら,それは本末転倒だ。例えば,賠償交渉の場において,「他の方はこうであった」などという説得文言が使われがちだが,支援の視点からすれば誤りである。
 負傷者の身体の傷、心の傷は、それぞれの方によって違う。抱えている悩みも,境遇も環境も違う。当たり前のことだ。それらを無機質的に比較するのではなく,それぞれの立場を,そっくりそのまま受け止め,各々の思いに心を通わせた配慮が欠かせない。
 第2に,情報交換が重要であるということだ。被害者は,事故直後の放心状態から日常に戻ろうとしたとき強い孤立感に襲われる。そのとき,被害者同士の出会いや触れ合いが,癒しや立ち直りのきっかけとなりうる。心の交流とともに,相互の情報を交換し合うことで,安心と落ち着きを取り戻すことができる。
 今回,JRが過剰な個人情報保護政策を背景に、「補償交渉は個別に」という方針を打ち出し,相互交流の機会がかなり制限されたのは問題だ。賠償額が個別に異なるのは当然で,個別性をあえて強調する必要はなかった。過剰な強調の結果,交流が分断される弊害が生じている。相互交流,情報交換の場をいかに作っていくかは重要な支援課題である。
 第3に,負傷者のみならずその家族・近親者への支援を忘れてはならない。負傷者の家族らは,負傷者と同様に,場合によっては本人以上に深い心の傷を負っている。支援者は,その存在を決して忘れてはならない。
 賠償交渉の場で,本人と家族の痛みを直接損害・間接損害などという言葉で区分けし,別異に取り扱おうとする傾向がある。これは,被害者らの実像を直視しないものであって正しくない。
 ところで,特定非営利法人市民事務局かわにしが主催する「語りあい,分かちあいのつどい」では,継続的に負傷者やその家族の支援がなされている。この場に集った負傷者らが,主体的な発言や活動を展開しており,一つの支援のあり方として注目に値する。
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