もともと私は,自分の軸足を,「災害復興」という問題に置いてきました。
 私の地元が神戸であり,また,阪神・淡路大震災のあった平成7年から弁護士としての活動を始めたことから,震災が全ての原点にある,という思いがあるからです。
(そういうわけで,FC2ランキングでは「地震・天災・自然災害」のグループに登録しているわけです。)

 そんなわけで,今年を振り返るにあたって,災害復興に関する取り組みについても触れておきたいと思います。

 もっとも,今年は,いろんな問題がたくさんあって,また,それぞれがたいへん深く重い問題だったこともあって,最大の反省点は,
 災害復興の問題に十分に関われなかった
ということです。

 たとえば,今年は,震災復興研究センター(→HPはこちら)の方々が中心となって,“災害復興白書”の作成・編纂に取り組みました。
 この成果は来年1月12日に
   災害復興ガイド』(クリエイツかもがわ;2100円)
という書籍を発刊する形で結実しました。
 ところが,頻回に行われた編集会議に私は1度も出席することなく,何ら関与することなく終わってしまいました。
 しかし,内容はたいへん充実したものですし,全国初の災害復興の手引き書といえますので,一読者として発刊を期待したいと思います。
 なお,せめてもの罪滅ぼしで,3月24日に開催される出版記念シンポジウムで,スピーチをさせていただくことにしています。
 こちらの件は,またあらためて案内させていただきます。

 一方,一応かかわったといる活動としては次のものがあります。
1 まず,阪神・淡路まちづくり支援機構については,地味ながらHPをこっそりリニューアルしてみました(→こちらです
 ただ,とてもではありませんが,広く公表できるような代物ではありませんので,ここだけ(?)のご紹介とさせていただきます。
 支援機構がらみでは,新たに,
   マンションの耐震改修の促進
という神戸市の事業の支援を行うことになりました。
 早速,第1号が年明けすぐ(1/28)に予定されています。
 耐震改修問題は,昨年の耐震偽装事件をきっかけに関心を集めましたが,スキャンダルは注目されるが,現実のひとりひとりの耐震問題となると,全く前に進まず,問題です。


2 そういえば,これに関連して,兵庫県弁護士会では,今年の1月17日に,
  「住宅の安全確保に関する会長声明 -阪神・淡路大震災から11年目を迎えて-」
というのを発したのを思い出しました。
 この声明を出すまでには,かなりの激論を交わし,すったもんだを経て,その直前は全く仕事にならなかったのを記憶しています。
 せっかく思い出したので,末尾に引用しておきます。


3 講演やシンポへの参加や出席もいくつかありました。
  ◆新潟県中越地震の大地復興会議
は,年2回の恒例となりました。
中山間地域のモデルとなるべき復興の取り組みですから,もっと注目すべきです。
  ◆東京での各種シンポ
もありました。東京という超密集大都市で災害が起こった場合にどんな取り組みをするのか,というテーマです。
 今年は,
    ◇関東弁護士会連合会の災害弱者問題
    ◇仮設市街地構想に関連する問題
    ◇東京都として取り組むべき復興構想
などにかかわりました。
 来る平成19年1月17日には東京都で講演をします(→案内はこちら)。
 これも,あらためてご案内します。


4 復興という大きな漠とした問題について,腰を据えて考える必要があります。
 この点については,
   ◆関西学院大学の復興制度研究所
    (→HPはこちら
が中心となっています。
 私も研究員の一人ですが,今年はかなりサボってしまいました。
 ただ,まもなく立ち上げる日本災害復興学会の準備には関心を持っています。
 1月13~14には
   被災地円卓会議&連続シンポジウム
が開かれますが(→案内はこちら),これをきっかけに大きな関心が強まればと思います。


5 だんだんキリがなくなってきました。
 言い出すと止まらないので,ひとまずのまとめは,この辺で。


   住宅の安全確保に関する会長声明
   -阪神・淡路大震災から11年を迎えて-


 本日,阪神・淡路大震災から11年目を迎えます。震災では約25万棟・約46万世帯が全半壊し,6434人の尊い命が失われました。その8割近くは建物の倒壊等によるもので,倒壊した建物の大半は,新耐震基準が施行された1981(昭和56)年以前に建築された既存不適格建物や,欠陥住宅など,現行の耐震基準を満たさない,構造安全性に問題のある建物であったと考えられます。

 日本弁護士連合会では,阪神・淡路大震災の教訓等に基づいて,昨年11月11日鳥取において開催された第48回人権擁護大会において「安全な住宅に居住する権利」が基本的人権であることを宣言し,建築確認・検査制度の改善,建築士制度の改革等を内容とする法整備・施策を求める決議を採択しましたが,その直後にいわゆる耐震偽装問題が発覚し,宣言で指摘された問題が現実化することとなりました。

 耐震偽装問題は,我が国の建築・住宅行政が経済振興に資するような形で行われ,人命が軽視されてきたという根本的欠陥を白日の下に晒すことになったといえます。当会は,阪神淡路大震災を経験した弁護士会として,かねてより災害対策の充実,特に市民生活の基盤となる住宅に関する施策の必要性を強く訴えてきましたが,耐震性不足の恐怖を身をもって体験した経験から,人命を守るために耐震強度を含む住宅の安全確保は極めて重要な課題であると考えています。

 国民の「安全な住宅に居住する権利」を保障するためには,新築住宅において構造偽装のような欠陥建築の再発を防止するとともに,我が国にいまだに約1150万戸存在すると言われる既存不適格建物について,一刻も早く耐震化を進め,既存住宅の安全性をも確保することが極めて重要です。

 すなわち,事前に住宅の耐震強度を確保することは人命そのものを守るために最低限必要な防災対策であり,また不幸にして災害が発生し建物が倒壊して住宅を失った市民のためには,速やかに新たな住居を確保し生活を再建するための効果的な支援策が行われなければなりません。このように事前の予防と事後の救済は表裏一体の関係にあり,災害対策においては,事前の予防策と事後の復旧復興施策とがバランス良く実施されなければなりません。現在の自然災害の被災者の救済・支援制度は不十分であり,とりわけ民間個人住宅に対する支援策が極めて限定的です。そのため被災者は住宅再建にあたって重い負担を余儀なくされてきましたが,その後も,我が国の施策改善は遅々として進んでおらず,今後同様のことが繰り返されることのないようにするための政策が急務であります。

 当会は,安全な住宅に居住する権利を確保するために,現在の建築行政の不備を正すだけでなく,耐震化を進める施策を緊急に整備し,さらに救済支援政策を有機的に結びつけるトータルなシステムの構築が必要であると考えます。

 そこで,国及び自治体に対し,①建築行政のあり方を根本的に見直し,建築基準法の遵守を徹底させ適正な建築を行わしめるべく建築確認や中間・完了検査等の実効的な制度を構築すること,②耐震基準を満たさない既存不適格の民間住宅等を含む建物の耐震改修促進の施策を早急に講じること,そのために建物の安全性に関する知識の普及,情報の提供,耐震改修のための環境整備や負担軽減,建築物の耐震改修の促進に関する法律の抜本的改正など,トータルな観点に立った施策を強力に推進すること,③災害等により住宅を失った者に対する恒常的かつ十分な支援策を確立すること,を求めるものです。    以 上

                   2006(平成18)年1月17日
                      兵庫県弁護士会
                        会 長  藤 井 伊 久 雄


※上記の声明の太字・強調は,津久井によるものです。


クリックして下さい

クリックして下さい
Secret

TrackBackURL
→http://tukui.blog55.fc2.com/tb.php/194-ea20226e