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 袴田巌さんの冤罪事件で,実は無罪の心証を持っていたという元裁判官の熊本典道さんの告白が,にわかに注目されている
「…諸般の情状を考慮すれば、今や死刑廃止制をとる国はふえ、これを存置する国においても死刑は例外的、象徴的な刑罰となりつつある世界のすう勢を考慮の上被告人が道路交通法違反のほか前科のない身であることなど記録に顕れたすべての有利な事情を斟酌してもなお本件においては正義の観念が最後の手段として要求するものは極刑以外にないものとの結論に達し所定刑中死刑を選択する
 よって、被告人を死刑に処する。

   「昭和四三年九月一一日
        静岡地方裁判所第一刑事部
           裁判長裁判官 石見勝四
               裁判官 高井吉夫
               裁判官 熊本典道  」
 というのが,熊本さんが主任裁判官として起案した判決文の最後の下りである。
(→判決文全文はこちら

 主任裁判官は,普通は,3人の裁判官の中で,最も若手の裁判官のことをいう。
 熊本さんは司法修習15期だから,当時は,裁判官になって5年目というところであった。
 熊本さんは,その翌年,裁判官を辞めた。
 裁判官は6年目から単独法廷を持つことになるから,本来であれば,いよいよこれから裁判官として一人立ちして活躍するところだった。 
 きっと,袴田さんの事件で良心に背く判決文を書いたことが退官のきっかけとなり,その後は,重い十字架を背負いながら苦しみ続けたのであろう。

 私は見ていないが,TV報道では,熊本さんはこの件を告白しながら嗚咽したという。
(→※ココロさんのブログるかさんのブログで動画が見られます)
 おそらく,袴田さんが獄中で苦しみ続けた長い時間と同じだけ,熊本さんも自らの心を責め続けたものと思われる。

 裁判所法には次のように規定されている
第75条(評議の秘密)
 合議体でする裁判の評議は、これを公行しない。但し、司法修習生の傍聴を許すことができる。
2 評議は、裁判長が、これを開き、且つこれを整理する。その評議の経過並びに各裁判官の意見及びその多少の数については、この法律に特別の定がない限り、秘密を守らなければならない。
 熊本さんは,退官後も,この規定をずっと守り続けてきたわけである。 
 しかし,今回は,この規定を破って決死の覚悟で告白したということになる。あるいは,告白するほかなかったのかも知れない。裁判にはそれだけの重みがある。

 なお,裁判官の評議の秘密が規定された理由は,自由に意見を出し,議論が出来るようにするところにある。あくまで,手続き実質化が趣旨である。
 評議の秘密は,真実発見を主たる目的とするものでもなければ,人権保護を主たる目的にするものでもない。
 熊本さんが起案した判決文中の「正義の観念」に照らせば,今,何が優先されるべきなのかは明らかであろう。

 熊本さんの勇気と良心にエールを送りたい。

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