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国民投票法案の参議院特別委員会での可決は,大変残念でした。

 しかし,くよくよ悔やんでいたり,怒ってばかりいても仕方がないので(というものの,正直いうと情けなくなりますが・・・),現実を直視して,次の方策を考えないといけません。

この「不出来な法律」の今後のあり方・適用のされ方を考える上で,付帯決議の内容が知りたいところです。

とりあえず,昨日,付帯決議の要点をアップしましたが,本日,付帯決議全文を入手しましたので,要点の後に列挙して,この記事をエントリーし直しました。

さて,これらを見る限り,一応の項目は拾っているとはいえ,いかにも迫力を欠き,単なるお仕着せのポーズみたいで,今後の具体的な展望につながらない気がします。
むしろ,「これら論点について十分議論をしたが,あえて法律に盛り込まなかった」という証拠を残したみたいで,これら論点の問題意識を分かっててて棄却したお墨付きを与えるようなキモチワルイ感覚を覚えます。

しかし,そんなグチを言っていても始まらない。
(→この点はヤメ蚊弁護士の「憲法改正手続法案の附帯事項は異例づくし~不安一杯!」が参考になりますよ)

この付帯決議ですが,運動論としては「まだ議論が終わってないではないか」という主張のきっかけに使えないでもなさそうです。
特に,
  「必要な法制上の措置を講じる」
という項目がいくつかあります。
 特に,年齢要件CM規制については,「本法施行までに検討する」という期限も設けています。
そもそも国民投票法という法律自体も,附則3条,附則11条などで,施行時までに公務員運動規制等の内容を検討する事になっています。法律自体が,重要論点については,先送りしてゴマかす内容になっているのです。
 したがって,施行までの3年の間に,まだまだヤマがあると理解しても良いでしょう。

 それから,法律中には,このような附則のほか,
(政令への委任)
第百四十七条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続及び費用の負担その他その施行に関し必要な事項は、政令で定める。
という条文もあり,細かな点で微修正はできる余地はあります。

通ってしまったからあきらめる,というのは早過ぎると思います(正確には,成立は明日ですが)。

こらえ性のないだだっ子首相が「早くちょーだい」とおねだりするので,とりあえず成立させたに過ぎず,「単に議論を先送りしただけで,まだ決着はついていない!」という理解と粘りが必要ではありませんか。


ですから, これから定める「施行規則」や,「施行までの検討事項」で,漏れ落ちた重要論点の修正を求めて,引き続き政府に要求をしていくことが必要です。

付帯決議の要旨
▼国民投票の対象・範囲について憲法審査会で検討し、適切な措置を講じるよう努める。

▼成年年齢に関する公選法、民法などの関連法令について国民の意見を反映させて検討し、施行までに必要な法制上の措置を完了するよう努める。

▼憲法審査会で最低投票率制度の意義・是非について検討する。

▼公務員および教育者の国民投票運動の規制は意見表明、学問、教育の自由を侵害しないよう特に慎重な運用を図り、禁止行為と許容行為の明確化などを検討する。

▼罰則適用に当たり国民の意見表明・運動が委縮、制約されないよう慎重に運用する。


付帯決議全文

日本憲法の改正手続に関する法律案に対する附帯決議

            平成十九年五月十一日
            参議院日本国憲法に関する調査特別委員会

一、国民投票の対象・範囲については、憲法審査会において、その意義及び必要性の有無等について十分な検討を加え、適切な措置を講じるように努めること。

一、成年年齢に関する公職選挙法、民法等の関連法令については、十分に国民の意見を反映させて検討を加えるとともに、本法施行までに必要な法制上の措置を完了するように努めること。

一、憲法改正原案の発議に当たり、内容に関する関連性の判断は、その判断基準を明らかにするとともに、外部有識者の意見も踏まえ、適切かつ慎重に行うこと。

一、国民投票の期日に関する議決について両院の議決の不一致が生じた場合の調整について必要な措置を講じること。

一、国会による発議の公示と中央選挙管理会による投票期日の告示は、同日の官報により実施できるよう努めること。

一、低投票率により憲法改正の正当性に疑義が生じないよう、憲法審査会において本法施行までに最低投票率制度の意義・是非について検討を加えること。

一、在外投票については、投票の機会が十分に保障されるよう、万全の措置を講じること。

一、国民投票広報協議会の運営に際しては、要旨の作成、賛成意見、反対意見の集約に当たり、外部有識者の知見等を活用し、客観性、正確性、中立性、公正性が確保されるように十分に留意すること。

一、国民投票公報は、発議後可能な限り早期に投票権者の元に確実に届くように配慮ずるとともに、国民の情報入手手段が多様化されている実態にかんがみ、公式サイトを設置するなど周知手段を工夫すること。

一、国民投票の結果告示においては、棄権の意思が明確に表示されるよう、白票の数も明示するものとすること。

一、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の規制については、意見表明の自由、学問の自由、教育の自由等を侵害することとならないよう特に慎重な運用を図るとともに、禁止される行為と許容される行為を明確化するなど、その基準と表現を検討すること。

一、罰則について、構成要件の明確化を図るなどの観点から検討を加え、必要な法制上の措置も含めて検討すること。

一、テレビ・ラジオの有料広告規制については、公平性を確保するためのメディア関係者の自主的な努力を尊重するとともに、本法施行までに必要な検討を加えること。

一、罰則の適用に当たっては、公職選挙運動の規制との峻別に留意するとともに、国民の憲法改正に関する意見表明・運動等が萎縮し制約されることのないよう慎重に運用すること。

一、憲法審査会においては、いわゆる凍結期間である三年間は、憲法調査会報告書で指摘された課題等について十分な調査を行うこと。

一、憲法審査会における審査手続及び運営については、憲法改正原案の重要性にかんがみ、定足数や議決要件等を明定するとともに、その審議に当たっては、少数会派にも十分配慮すること。

一、憲法改正の重要性にかんがみ、憲法審査会においては、国民への情報提供に努め、また、国民の意見を反映するよう、公聴会の実施、請願審査の充実等に努めること。

一、合同審査会の開催に当たっては、衆参各院の独立性、自主性にかんがみ、各院の意思を十分尊重すること。
右決議する。


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ところで,以前の私のエントリーで主として改憲派のみなさん中心でずいぶん盛り上がった,投票母数の問題(=何をもって「過半数」とするのか)がありますが,

それと関連する論点で,
   最低投票率
という重要論点があります。

 この問題について,現在の憲法学会のリーダー的存在のお一人である高見教授が,スパッと意見を出しておられます。
 とても,気分の良い,かつ,端的で中身のある内容なので,ここに引用しておきます。

『朝日新聞』私の視点 2007年5月11日
上智大教授(憲法) 高見勝利(たかみ かつとし)


国民投票法 最低投票率 違憲ではない

 憲法改正の手続きを定める国民投票法案をめぐる参院での審議が大詰めを迎えている。だが、重大な論点について議論が尽くされていないばかりか、憲法解釈上も見過ごせない奇妙な議論がまかり通っている。

 その一つが、最低投票率を設けることを憲法違反だとする法案提出者の見解だ。その主張を整理すると次のようになる。

 憲法96条は、国会の憲法改正の発議要件について各議院の「総議員の3分の2以上の賛成」と厳格に定める一方で、国民投票の承認については「その過半数の賛成」としている。

 「その過半数」とは、実際に投票所に行き、賛成・反対の明確な意思を表示した投票権者、つまり、有効投票の過半数であることは一義的に明白だ。憲法に書かれていない最低投票率を法律で設定するのは憲法96条に過度の要件を加えるもので、憲法違反だー

 しかし、この見解は、憲法96条に関する独自の理解に基づくもので、一般的にはとうてい通用しない

 「その過半数」の意味については、複数の「解釈」の余地がある。他ならぬ提案者自身が、衆院の憲法調査特別委員会などで、過半数の算定基準として、
  (1)投票権者総数
  (2)投票総数
  (3)有効投票総数、
という三様の理解がありうると、公言していたことからも明らかだろう。学説上も3通りの解釈がなされている。

 そもそも、(1)の解釈に立てば、最低投票率の問題は生じない。集計の結果、投票権者名簿に記載された投票権者総数の「過半数」の賛成が得られなければ、国民の「承認」があったとはいえないからだ。

 一方、(2)や(3)の解釈では、投票権者の何%が投票所に足を運び、票を投じたかが問題となりうる余地がある。「大量の棄権や白票・無効票が出た場合でも、投票総数等の過半数が得られさえすれば、国民による憲法改正の承認があったとしてよいのか」という疑問が生じるためだ。

 最低投票率に関する規定を置くべきだとする主張がいま、弁護士会や法学者、市民団体などの間で強まっているのは、この点を突いている。あまりに低い投票率で憲法改正がなされる可能性のある法律を作ることが、国民の憲法改正権の本質に照らして問題はないのか、という問いである。

 にもかかわらず、最低投票率を法律で定めるよう憲法に書いていないからという理由で、最低投票率を設定することを違憲だという主張は本末転倒もはなはだしい。その論理に従えば、国民投票法を作ること自体も憲法に明記されておらず違憲だという、奇妙なことになるのではなかろうか。

 しかも、最低投票率が重大な争点になったのは、憲法96条の「その過半数」をめぐる複数の解釈の中から、提案者があえて「有効投票」を採用したためだ。

 それに伴う問題解決のために立法上の手当をすることは、憲法改正権者を国民と定めた憲法の趣旨に沿いこそすれ、違憲の解釈はあり得ない。逆立ちした議論の横行を見過ごすわけにはいかないし、「良識の府」としての参院での真摯な議論を期待したい。


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