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ほとんど報道されておらず,注目されて来なかったが,少年法の改正がなされる見込みだ。

現在参議院で審理中で,5月23日に本会議で可決される見通しのようである。

須磨少年事件すなわち「酒鬼薔薇聖斗」事件で,土師淳君が殺害された日が,10年前の5月24日である。 
偶然なのか,あえてこの日を選んでスケジューリングしているのかどうかは,よく分からない。

ただ,現在のところ,5月15日に起きた,会津若松市の母親殺害事件の少年の件も注目されているところであるし(→記事はこちら),

逆に,同じ5月15日には,地裁所長襲撃事件で,少年への自白誘導が問題となって,逆転無罪判決が出たばかりである(→記事はこちら

いずれにしても,ある程度,大きな話題になるだろうし,少年法のあり方について考える機会になるはずだ。
(→サンテレビのニュースシグナル(=こちらhttp://www.sun-tv.co.jp/signal/index.html)でも,西片弁護士がこの問題についてコメントする予定。)

今回の少年法改正の目玉(問題点)は,いろいろあるが次の2点が特に問題だ。
  1) 小学生でも少年院に入れられるようにする
  2) 家庭裁判所の調査手続きに,捜査官(警察官)も介入できるようにする。


1)については,長崎佐世保小6少女殺害事件を受けて改正されるものだが,実は,少年法は平成12年にも改正され,従前の16歳→14歳に引き下げられたばかりである(なお,これは酒鬼薔薇聖斗事件がきっかけである。)。 
 それから,まだ5年しか経っておらず,改正の効果の検証は未了だ。

 今回の改正は「凶悪犯罪の低年齢化」が理由といわれている。
 しかし,実際のところは,そうではない。
 この前回改正後の5年間に,16歳未満で検察官送致された凶悪事件は2件しかない(最高裁事務総局家庭局「平成12年改正少年法の運用の概況」より)。

 また,少年事件の検挙数も昭和31年以降,減少の一途を辿っている。
 少年事件を減らすために少年法を改正しようという理屈は通らない。

 「凶悪化」といわれる。
 しかし,少年犯罪のうち,窃盗・自転車盗などで8割を占めており,「強盗・殺人」といった罪名の件数も減っている(万引きした後に店員を突き倒したり,ひったくりの際に被害者が転倒する場合も「強盗」になるが,おそらく世間で言う「凶悪犯」の範疇とは違うだろう。)。
 ニュースや週刊誌等での取り上げ方が「凶悪化」していることは間違いないが,「凶悪化」の傾向というのは,マユツバものである。

 本当は,今回の改正には,改正を裏付ける立法事実が不足している。


2)については,警察は捜査に止まらず,さらに家庭裁判所における調査の手続きまで,職域を拡大させるわけだ。 
ただ,警察官は捜査権を持っているので,さらに権限を拡大させて,家裁の手続きにまでしゃしゃり出てくる理由がほとんどなく,首をかしげざるを得ない。


「少年法を厳罰化しよう!」という声は以前から根強く,
法務省は,「体感治安が悪化している」と,よく言う。
このムードが改正の一番の理由だ。
ただ,どうしても,世論のムードと現場感覚のズレを感じざるを得ない。

なお,犯罪被害者保護の観点からしても,今回の改正については,残念ながらほとんど見るべきものはない。

また,少年犯罪が「凶悪化」は疑問だけれども,少年犯罪が「異常化」している傾向は,あるかも知れない。
しかし,「異常化」しているのであれば,なおさら,お決まりの「厳罰化」では効果薄である。
「異常化」する,根本原因に目を向けるのが先決である。


実際に大きな事件を起こす少年の多くは,厳罰を科したからといって更生するような単純なものではない。
厳罰化して,かえって悪くなってしまったケースもゴマンとある。
多くのケースは,家庭・社会・大人の都合など,根深いところに原因がある。
そこを,ちょっと改善するだけで,ウソみたいにピタッと更生したりする。
そのあたりの措置については,一向に改善の法制化もされないし,放置されたままである。
現場の認識と,今回の法制化議論の乖離は,非常に大きい。



兵庫県弁護士会の会長声明が,17日の常議員会で承認された。
私も,声明案の起案に一部関わった。
それで,昨日(18日)には,数社の報道局から問い合わせがあった。それなりの関心があるようだ。
きちんと理解し,正面から取り上げていただければ何よりと思う。
少年法「改正」法案の参議院における修正を求める会長声明
 衆議院は、2007年4月19日、少年法等の一部を改正する法律案(少年法「改正」法案)について与党単独で採決を強行し参議院に送付した。当会は、2005年3月10日、「少年法等『改正』法案に対する反対声明」を出し、既に少年法「改正」法案の問題点を指摘しているが、同法案には未だ多くの問題点が残されている。

 まず、本「改正」法案は、少年院収容可能年齢を「14歳以上」から「おおむね12歳以上」に引き下げている。かかる引き下げは、法文上は小学生をも少年院に収容することを可能にするものであり、極めて問題である。低年齢での非行は、被虐待経験などにより、大人との信頼関係が築かれなかったことがその要因となっていることが多いことから、再非行防止策としては、集団的矯正処遇ではなく、児童自立支援施設などでの福祉・教育による「育て直し」が優先されるべきである。少年院収容の必要性・実効性の検証がなされていない以上、低年齢少年への引き下げを行うべきではない。

 次に、本「改正」法案が「ぐ犯少年である疑いのある者」に対する警察官の調査権限を削除した点は評価できるものの、「触法少年の疑いのある者」に対する警察官の調査権限を残した点には問題がある。触法少年であっても、子どもの表現能力は十分でなく、特に低年齢の場合、調査に際して警察官等の誘導の影響を受けやすく、虚偽自白を引き出されるおそれが高い。これは少年の防御権を全く無視するものと言わざるを得ない。触法少年についても警察官の調査権限を削除すべきである。あるいは、少年に対する調査の全過程をビデオ録画・テープ録音するなどの可視化の法制化、弁護士の立会なども視野に入れた調査の具体的手法を記載したガイドラインの策定を行うべきである。

 さらに、本「改正」法案は、保護観察中に少年が遵守事項に違反した場合に、少年を少年院に送致することを認めている。しかし、これは、少年を威嚇して遵守事項を守らせようとするにほかならず、保護司との信頼関係を基礎として少年の健全育成を図ろうとする保護観察制度の理念を後退させるものである。したがって、本規定は見直されるべきである。

 以上のとおり、本「改正」法案は、少年に対する福祉・教育の重要性を著しく看過するものであり、当会は、本「改正」法案の上記問題点につき、参議院において慎重に審議がなされ適切に修正されることを強く求めるものである。

   2007年(平成19年)5月17日
            兵 庫 県 弁 護 士 会
               会 長  道  上    明
 執行先は,以下のとおりだ。
内閣総理大臣   安倍晋三
法務大臣      長勢甚遠
衆議院議長     河野洋平
参議院議長     扇 千景
文部科学省大臣  伊吹文明
衆議院法務委員長  七条 明
     理 事  上川陽子 倉田雅年 武田良太 棚橋泰文 早川忠孝
          高山智司 平岡秀夫 大口善徳 赤池誠章
     委 員  稲田朋美 今村雅弘 近江屋信広 奥野信亮 後藤田正純
          笹川 堯 清水鴻一郎 柴山昌彦 杉浦正健 三ツ林隆志
          武藤容治 森山眞弓 矢野隆司 保岡興治 柳本卓治
          山口俊一 石関貴史 大串博志 河村たかし 中井 洽
          横山北斗 神崎武法 保坂展人 滝  実
参議院法務委員長  山下栄一
     理 事   岡田 広 松村龍二 簗瀬 進 木庭健太郎
     委 員  青木幹雄 山東昭子 陣内孝雄 関谷勝嗣 谷川秀善
          若林正俊 江田五月 千葉景子 角田義一 前川清成
          松岡 徹 浜四津敏子 仁比聡平 近藤正道 
政 党       自由民主党 社会民主党 日本共産党 公明党 民主党
児童自立支援施設  兵庫県立明石学園   神戸市立若葉学園
児童相談所     中央こどもセンター  西宮こどもセンター
          姫路こどもセンター  豊岡こどもセンター
          こども家庭センター
保護観察所     神戸保護観察所
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