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 JR福知山線脱線事故に関する,国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会の最終事故報告書は,たいへんな力作だった
 しかし,遺族をはじめ,今回の事故をきっかけに,真剣に再発防止を願ってきた人々にとって,その評価は非常に低いものだった
 厳しく酷評する声もあった
(いくつか新聞記事を後掲するので,参考にして下さい。)
 
 なぜなのだろう?

 確かに,今回の最終報告書は,事故の原因として明確に位置付けたのは,
    ◆日勤教育
だけにとどまっている。
 さらに踏み込んで,
    ◇ATS(自動列車停止装置)の整備の遅れ
    ◇ダイヤの問題
    ◇JR西日本の組織・役員の立てた方針
    ◇顕著な利益至上主義

については,一応の言及はしたものの,原因には挙げなかった。


 私たちも,これら要因を,はっきりと原因として列挙し,主原因と副原因に分類・整理して呈示するのではないかと予想していたので,少なからず拍子抜けしたような感覚を覚えた。


 なぜ,こんな報告になってしまったのだろう?

 一つの答えは,関西大学の安部誠治教授が指摘している。
「まず事故調は運輸行政から独立させないといけない。タブーをなくさないといつまでたっても真実にはたどりつけない」

つまり,

 行政から独立しないと真実発見できない

ということである。

 事故調査委員会が,国土交通大臣の下部に置かれ,運輸行政の派生機関であり続ける限り,真の再発防止機関としての役割は期待できないのかも知れない。
 確かに,ATS設置の遅れは,国の行政と,本来であれば連帯責任である。
 しかし,事故調は,ATSに関する運輸行政に全く言及しなかった。
 事故調が「中立・公正」を強調しながらも,真の中立性に疑義を抱かれても仕方がないだろう。

 考えてみれば,

   行政   ≒ 政治 = 意欲(ウソ)と調整(曖昧)

   再発防止 ≒ 調査 = 真実(透明)と追究(明確)


という構図が成り立つだろうから,両者はそもそも相容れないのかも知れない。

 海難審判庁を事故調査委員会に合併させようという動きもあるようだが,この「独立性」を問題意識として持っているかどうかは疑問で,場合によっては,ある意味では後退する可能性も秘めている。

 再発防止に向けて,関係者は,あらためて次の一歩の方向性を考えなければならない。

以下,参考までに,この点に関する新聞記事をいくつか引用しておく。

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監督行政の検証不十分 安部誠治・関西大教授
共同通信(2007.06.28)
 安部誠治(あべ・せいじ)関西大教授(公益事業論)の話 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の最終報告書は、事故原因の究明の部分については合格点。だが国の鉄道監督行政についての検証は、極めて不十分だ。

 国鉄時代、国は大手私鉄にだけ速度照査機能付きATS(列車自動停止装置)の設置を通達で義務付ける一方、JR発足後はこの通達を廃止した。JRにも義務付けていれば事故は防げたはずで、国の施策に問題があった。報告書はこうした国の監督行政の在り方にほとんど触れていない。

 事故調委が国交省の中の組織であることが、そうした限界を生んだといえよう。米国の国家運輸安全委員会(NTSB)のような独立機関にする必要があるのではないか。

 また報告書は、事故の原因として日勤教育に焦点を絞り過ぎた感がある。日勤教育はJR西日本の企業体質の象徴に過ぎず、むしろセクション間の連携不足や安全管理体制の不備など鉄道会社として基本的な問題点を指摘されたことが重要だ。

 JR西日本はこれらの指摘をきっちり受け止め、誠実に改善していかなければならない。それができて初めて事故の教訓が生かされることになる。



【歩むべき道は JR脱線事故最終報告書から】(下)信頼される調査機関へ
産経新聞大阪朝刊(2007.07.01)
◆運輸行政からの独立を

 「世界トップレベルの鉄道技術を持っている日本なのに、鉄道事故の調査機関がない。事故を分析し、安全技術を世界に発信する視点を持ってほしい」

 死者42人を出した信楽高原鉄道事故の遺族と活動をともにし、事故調査機関の必要性を痛感していた関西大学教授の安部誠治は11年前、事故調査の先進地オランダを視察した。その際、同国の鉄道事故調査機関のトップに言われた「苦言」は今もよく覚えている。

 安部らが求め続けた鉄道事故調査機関の創設まではなお時間がかかった。平成12年、乗客5人が死亡した営団地下鉄日比谷線脱線事故で世論が動き、翌年「国土交通省航空事故調査委員会」にやっと鉄道部会が加わった。

 それから6年。国の監督責任がほとんど触れられなかった最終報告書をみた安部はこう言う。

 「まずは、米国のように事故調は運輸行政から独立させないといけない。タブーをなくさないといつまでたっても真実にはたどりつけない」

               ■  ■  ■

 安部が引き合いに出した米国の事故調査機関「国家運輸安全委員会」(NTSB)は1967年に運輸省内に設置された。
 「身内の運輸省を調査できるか」と今の事故調と同じような批判を浴び、8年後に独立機関となって以降、州政府や運輸省にも多数の改善勧告を出し続けている。

 日本との違いはその陣容をみても明らかだ。事故調は航空・鉄道の両部門で総勢約60人、年間予算は約1億5000万円。
 対するNTSBは400人態勢で、2004年度の年間予算は9840万ドル(約118億円)にのぼる。

 今回の事故でクローズアップされた被害者対応にも、雲泥の差がある。

 NTSBには遺族らが事故直後、現場に向かう航空機などを手配したり、取材対応の窓口を引き受ける「家族支援局」があり、組織をあげて被害者支援を行っている。

 信楽高原鉄道事故の支援弁護団の一員だった佐藤健宗は「米国の事故被害者に話を聞くと『事故を起こした事業者は許せないが、NTSBが出した調査結果は信用する』という言葉が当たり前のように出てくる」と話す。

 一方、米国では事故を起こした企業の過失に対する刑事責任を追及しない代わりに、企業に徹底して事故調査に協力させる司法取引に似た思想が貫かれている点が見逃せない。

 「刑事罰を逃れようとするから企業は自己防衛に走る。米国のように刑事罰から解放してやる仕組みを作り、真相を言わせることが必要だ」

 こう安部が言うように、高度な鉄道技術は当事者しか分からないことも多く、NTSBでは加害企業の社員も調査に参加させる「パーティーシステム」が導入されているという。

               ■  ■  ■

 事故調も、事故調査をめぐる海外の潮流を意識した動きをみせている。
 NTSBなど世界10カ国以上の独立事故調査機関でつくる「国際運輸安全連合」(ITSA)に昨年7月に加盟するとともに、陸、海、空の事故調査を一元化するため海難審判庁との統合も検討。
 今回の事故を契機に権限を強化し、「国交省の従属機関」というイメージから脱却を目指しているようにもみえる。

 最終報告書ではJR西のダイヤやATS(列車自動停止装置)などの問題も厳しく指摘し、国交省の監督責任に踏み込む素材を十分集めながら、「勧告」「建議」はおろか「所見」でも触れなかったことが失望を生んだ。

 「月日がたっても最愛の人を亡くした悲しみは変わらない。せめて事故調の調査結果にすがりたかった」。遺族の一人はこう嘆いた。

 最終報告書で露呈した「限界」はそのまま、事故調が誰からも信頼される独立機関として「歩むべき道」を示したといえる。
 (敬称略)


「運輸安全委員会」を創設=事故調と海難審判庁を統合-再発防止を提言・国交省
時事通信(2007/06/28)
 国土交通省は28日、海難審判庁を航空・鉄道事故調査委員会と統合し、陸・海・空の事故調査や分析を横断的に行う独立組織「運輸安全委員会」(仮称)を新設する方針を固めた。
 特に海難事故について再発防止に向けた提言機能を強化する。
 これに合わせて外局の抜本的な再編を進め、海運関係の労使紛争を調停する船員労働委員会については、一定の役割を果たしたとして廃止する方針だ。
 同省は観光立国の推進に向けた体制強化のための新組織「観光庁」の設置も検討している。こうした外局再編は今夏の2008年度予算概算要求と組織・定員要求に盛り込む考えだ。


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