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 6月19日,兵庫県内のいくつかの団体から,新潟県中越沖地震について提言などが出されました。

 私たちの阪神・淡路まちづくり支援機構が出した緊急提言は,ホームページに掲載しておきました。

 私もメンバーの一人である兵庫県震災復興研究センターの「6項目の緊急提案」をここに紹介しておきましょう。

まずは,神戸新聞の記事です。
6項目の緊急提案書を送付 震災研究センター 2007/07/20

 阪神・淡路大震災の被災地の研究者らでつくる民間団体「兵庫県震災復興研究センター」(神戸市)は十九日、来年に予定される被災者生活再建支援法の改正を早め、新潟県中越沖地震に適用することなどを盛り込んだ六項目の緊急提案書を、首相と関係省庁の大臣ら二十一人に送った。

 同法で支援金支給の対象外となっている住宅再建・補修費を対象とするよう要望。災害救助法で定められている住宅の応急修理も、弾力的に運用するよう提案している。柏崎刈羽原発の事故を受け、住民の安全確保、原発の設計基準の見直しも求めた。(磯辺康子)


本文は,この後に続きます。
                      2007年7月19日

新潟県中越沖地震被災者の生活・住宅再建に関する緊急6項目提案
                  兵庫県震災復興研究センター

1.二次被災を防ぎ、安全で安心できる避難生活のために

2.応急支援には災害救助法の徹底活用と弾力的運用を

3.迅速性を優先した応急対応と首相の政治決断が、もとの暮らしを取り戻す早道

4.災害廃棄物の処理・処分に十分な支援を

5.国・自治体は「被災者の窮状を救う」という使命を認識して責務の遂行を

6.東京電力柏崎刈羽原子力発電所の事故は、「想定外」では済まされない


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 7月16日午前10時13分頃、新潟県中越地方(同県柏崎市、長岡市)や長野県飯綱町などで震度6強を観測する強い地震がありました。新潟県で10人が亡くなられ、重軽傷者は新潟・長野・富山の3県で1308人に達しました。また、住宅の被害は、新潟・長野の両県で全壊944棟を含め2800棟を超える大きな被害となっています(7月18日午後10時現在)。
新潟県中越沖地震の犠牲者のご冥福をお祈りしますとともに、被災地と被災者のみなさま方に心からお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い復旧・復興を願う次第です。
 阪神・淡路大震災の被災地でも早速、救援活動が開始されています。12年半前の阪神・淡路大震災以来、調査・研究、政策提言を積み重ねてきました兵庫県震災復興研究センターも緊急に、復旧・復興の方向につき国と被災自治体、そして東京電力に対し下記の通り6項目の提案をします。

1.二次被災を防ぎ、安全で安心できる避難生活のために

学校の体育館や公民館などでの避難生活が始まっています。なかには、避難所がいっぱいで入れない、身体が不自由で避難所に行けないなどの被災者もおられます。余震が続く中、7月19日午前1時現在、避難所には4743人もの被災者が避難を余儀なくされています。食事がこない、水が足りない、トイレが足りないなど大きな不安を抱えた中での困難な避難生活が続くと、体調を崩す被災者が増えることが予測され、万全の避難対策が求められます。
厚生労働省は7月16日、「避難生活が必要となった高齢者、障害者等の要援護者については、旅館、ホテル等の避難所としての活用や緊急的措置として社会福祉施設への受入を行って差し支えない旨を新潟県及び新潟市に通知」しましたが、18日現在、柏崎市内の避難所で体調不安を訴えたり、体調が悪化し緊急入院せざるを得なくなった被災者が出ています。対象者を「高齢者、障害者等の要援護者」に限定することなく、先の「通知」の内容を至急現場に徹底し、安全で安心できる避難所に直ちに移れるようにするとともに、緊急医療体制を国と被災自治体の責任で整えることが必要です。
新潟県は7月17日、高齢者や障害者、妊婦らの避難所として、旅館やホテルの借り上げを決め、同県刈羽村は、デイサービスセンター「きらら」を「福祉避難所」に指定しました。これまでの教訓が生かされ、迅速な対応がなされています。
去る3月25日に発生した能登半島地震の際には、その日の夕方に同じ主旨の通知が出されましたが、この通知が功を奏するのに10日~3週間の時間を要しました。時間との競争の時に、これではかかり過ぎです。すし詰めの避難所を直ちに解消するように国と被災自治体は、万難を排してとりかかっていただきたいと願わざるを得ません。

2.応急支援には災害救助法の徹底活用と弾力的運用を

災害救助法、とりわけ第23条の次の各号の徹底活用と弾力的運用が求められます。
(1)「6.災害にかかった住宅の応急修理」
「居室、炊事場及び便所等日常生活に必要最小限度の部分に対し、現物をもって行うものと・・(中略)・・すること」(大臣告示)としていますが、緊急を要する事態に「現物支給」では非常に不便で、実態に即していません。「現金支給」に切り替えるべきです。この大臣告示の「現物支給」では緊急を要する事態に対応できず、非常に不便であり、「現金支給」に切り替えるべきです。また、応急修理は「半壊又は半焼」のみを対象としていますが、「全壊」でも修理可能な住宅は対象に含めるべきです。
金額は現在、50万円に減額されていますが、2004年新潟県中越地震の際には豪雪地帯ゆえ60万円に増額され、新潟県は独自に40万円を上積みして100万円にしました。度重なる自然災害に見舞われた被災自治体の財政事情を考慮すれば、この際、1戸あたり100万円分を国が全額負担すべきです。

(2)「7.生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与」
  現行法にこの規定があるにもかかわらず、「災害弔慰金の支給等に関する法律」制定を根拠に、現在「給与」は実施されていません。このような脱法的行為は改め、規定を活用して「生業に必要な資金の支給」を図ることこそが国の責務です。

3.迅速性を優先した応急対応と首相の政治決断が、もとの暮らしを取り戻す早道

 2004年の中越地震では、新潟県は独自に「被災者生活再建補助金」を実施し、100万円を支給してきました(所得・年齢制限なし、半壊を含む)。被災者生活再建支援法による支援金は、生活関係経費(限度額100万円)と居住関係経費(限度額200万円、周辺経費のみ)とに分けられ、極めて使い勝手が悪く、それゆえに独自の上乗せ策を実施せざるを得なかったのです。このような状況を反映して、全国知事会や日本弁護士連合会、および多数の団体・個人から同法の抜本改正を求める意見が国に届けられています。
内閣府に設置されている「被災者生活再建支援制度に関する検討会」は、中越沖地震の現状に鑑みるならば、予定を繰り上げて速やかに「住宅本体の建築・補修費を対象にすべき」との緊急報告書をまとめるべきではないでしょうか。
そして政府は、2008年に予定されている同法の改正に関して、参議院選挙後の臨時国会において改正を前倒しし、能登半島地震と中越沖地震に遡って適用をすべきです。いまこそ、安倍晋三首相には、その政治決断をすることが求められています。
鳥取県西部地震(2000年10月)では、同県は300万円の住宅再建支援策を被災から11日目で打ち出し、「地元で住宅再建する被災者に一律的に支援すること」を原則に実施しました。この時の教訓を是非とも生かすべきです。
鳥取県西部地震では、全壊391棟、半壊2472棟、一部損壊13195棟の被害に対して、仮設住宅建設は28戸、復興公営住宅建設は26戸(町村営)で済みました。住宅再建支援策が被災直後に打ち出された結果、自宅再建の道を選ぶ世帯が増え、仮設住宅や復興公営住宅に頼らざるを得ない被災者が減ったからです。
 被災者に対して、行政の支援の気持ちがストレートに伝わり、その結果、全体として公費負担低減に寄与したと言えます。
 国と被災自治体には、このような迅速な対応をすることがいま求められています。首相をはじめ防災担当相、厚生労働相や関係閣僚、被災自治体の知事は「被災者の窮状を救う」ことを第一の目的として、救援・復旧・復興施策を迅速に実施すべきです。

4.災害廃棄物の処理・処分に十分な支援を

 損壊を受けた住居、家具家財などの片づけ、大量に発生する災害廃棄物の処理・処分は、被災者と被災自治体の大きな負担になります。特に、家電やパソコン・自動車等リサイクル対象物に関しては、リサイクル処理費用がかかり、これらはほとんどが自治体負担になっています。二次災害、健康障害や環境破壊を防ぐためにも、災害廃棄物の処理・処分は応急支援の重要項目と位置づけ、国が十分な支援を行う必要があります。

5.国・自治体は「被災者の窮状を救う」という使命を認識して責務の遂行を

以上、国のなすべき責務は重大ですが、被災自治体は、国待ちではなく、何よりも「被災者の窮状を救う」という使命を認識し、先導的に被災者支援策を実行することが切望されます。
2007年4月現在、国の制度に対する支援金額の上乗せ、あるいは支援対象を広げる横出し、さらには独自の支援策を実施した自治体は延べ30都道府県、2市、2町に及びます。国の制度では不十分であることの証左でもあります。政府は「私有財産=自己責任」論に拘泥することなく、日本国憲法に基づき、被災者が人間らしく生きていく権利(人権)を保障していかなければなりません。

6.東京電力柏崎刈羽原子力発電所の事故は、「想定外」では済まされない

 危惧されていた原子力発電所に対する地震影響について看過し得ない重大な事態が生じました。放射能漏れ、火災など発表分だけでも50件を超える損傷、トラブルが起き、被災地はもとより全国に大きな不安を引き起こしています。また、今回の地震による原発事故について欧米諸国は地震直後から強い関心をもっていると報道されており、事態の重大性を裏書きしています。「想定外」のことばで済まされることではありません。
 東京電力は速やかにすべての調査結果を公表し、住民の安全確保策と事故の再発防止策を明らかにすべきです。また、この災害列島日本に全部で55基も原子力発電所がありますが、国と各電力会社は、設計基準の見直しを含む耐震性の点検を直ちに実施すべきです。
                           以 上



          ■兵庫県震災復興研究センター■
代表理事 塩崎賢明(神戸大学大学院工学研究科教授)
代表理事 西川榮一(神戸商船大学名誉教授)
事務局長 出口俊一(阪南大学非常勤講師)
650-0027 
神戸市中央区中町通3-1-16、サンビル201号
              電 話 078-371-4593
            ファクス  078-371-5985
              Eメール  td02-hrq@kh.rim.or.jp

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