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 柏崎刈羽原子力発電所に入っていたIAEA(国際原子力機関)の調査が8月10日に終わった。

 今,原発をめぐる最大の問題は何だろうか。

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 読売新聞は,8月9日の社説で,次のようなことを言っていた。
 ◇原子炉の安全性は保たれている。

 ◇放射能漏れと言っても、ごく微量だ。

 ◇IAEAは(中略)技術協力や情報提供に貢献することも重要な業務だ。風評被害の解消にも力を尽くさねばならない。

 ◇まず見るべきは、原子炉の安全性だ。その結果を、速やかに公表してもらいたい。

 ◇原発は、原子力安全委員会が定めた耐震指針に基づき設計されている。その指針が昨年、最新の知見に基づき、改定された。

 ◇安全性向上の努力は当然だが、何を優先すべきか。その判断が大切だ。
 ここで展開されている論理は,簡単に言えば,その場しのぎの火消しの理屈で,しょせん対処療法的な主張に過ぎない。

 現下の政府のミッション(使命)を見誤った意見だと感じる。
 だから,私は,読売の主張には,にわかに賛同できない。

 被災した原発に放射能漏れがなかったか,ということはもちろん重大な関心事である。

 しかし,原発に隣接した地域で暮らす人々をはじめ,誰もが不安に思っているのは,今回の現象そのものではないだろう。
 原発をめぐる「安全」は,本当に確固たるものなのか?,信頼して良いのだろうか?ということである。

 この点,日弁連行政訴訟センター編「最新重要行政関係事件実務研究」(青林書院2006年/「大型の専門的技術的行政行為に対する裁量論の課題」)で斎藤浩弁護士は,“もんじゅ”訴訟に関連して,次のように指摘している。
1 わが国の原子力行政には,独立した原子力規制機関がなく,原子力発電推進機関が安全審査をする唯一の国であること。

2 わが国はプルトニウムを大量に保有することで突出していること。

3 わが国はIAEAの安全基準を完全には受け入れていないこと。

4 原子力安全委員会の安全審査は事故対策の基本方針であって,施工や運営上の安全審査までがなく,施工や運営上の安全審査は主務大臣に任されている。そして,これが極めて不十分であること。
 簡単に言えば,

  ◇原発を推し進める張本人が,監視役も務め,

  ◇本当の意味で第三者の安全基準は受け入れず,

  ◇施設の作り方は他人任せにしたまま,

  ◇大量の核物質を貯め込んでいる,


ということである。

 公正さや信頼性という意味からすると,

  ◆最大限の安全基準を持たず,
   (=システムの欠如)

  ◆推進を前提にした安全判定の仕組みにとどめ,
   (=利益相反状況の放置)

  ◆内容と問わず形だけ法令を遵守している,
   (=真の意味のコンプライアンスの欠如)


という点で,
  ・JR福知山線脱線事故
  ・耐震偽装問題
  ・エキスポランドの脱線事故

と全く構造は同じである。

 だからこそ,今回の地震被害が起こったのであり,
 だからこそ,不安が払拭できないのである。

 今朝の日経新聞には,論説委員の塩谷喜雄氏が,
◇原発の安全性について国費を使って常時監視・指導している経済産業省の原子力安全・保安院も,行政の安全審査を再チェックするお目付役の原子力安全委員会も,客観的な評価をしてくれる組織だとは思われていないとすれば,ことは重大だ。
◇今回も,この2つの組織はほとんど国民に向けた発信をしていない。
◇安全委員会は(中略)今回の地震を機に耐震設計指針を見直すとは明記していない。問題を先送りする体質が,はっきり見て取れる。
20070812132018.jpgと書いていたが,日本の「核」の安全性は,この
  「原子力安全・保安院」
     と
  「原子力安全委員会」
に委ねられている。

 この点,原子力安全委員会・耐震指針検討分科会の委員を務めた石橋克彦・神戸大教授は,新指針をめぐる分科会の案を批判し、決定直前に委員を辞任した。

 石橋教授は,今回の原発問題に寄せて,次のようにコメントしている。
◆活断層の有無にかかわらず、少なくともM7クラスの直下地震が起こりうるということを考慮すべきなのに、盛り込まれなかった
◆初期設定に電力会社、国の恣意性が入り込む余地が大きい
 阪神淡路大震災を経験した被災地の人間であれば,当たり前のことだと思う。
 しかし,政府は,これを受け入れなかったのである。

要するに,政府は安全を徹底する姿勢を放棄している,ということである。

 原発問題がいつまでも尾を引く一因がここにあると思う。

 今,原発をめぐる最大の問題は何だろうか?

こうしてみると,答えは簡単である。

政府が「安全」を最優先して徹底する姿勢に転換し,直ちに実践することである。

 確かに,問題は多岐にわたるので,対応は難しいだろう。
 政府のミッションを素直に捉えるとすれば,ここはまず,原発の新耐震指針を見直すことから始めるのが筋だろう。

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