自然災害の被災者の生活の再建を支援する「被災者生活再建支援法」の改正をめぐる問題について,この9月2日に,一般の方々からパブリック・コメントを募集する手続き終了しました。
 この後は,9月10日から始まる臨時国会に向けて,非常に地味ながら,静かに動きが活発化しはじめています。

 ところが,新しい泉信也/国家公安・防災担当大臣は,どうやら治安維持にしか関心がなかったらしく,神戸新聞の9月2日朝刊のインタビュー記事では,
Q 個人の住宅の再建や補修も助成対象にすべきだとの意見がある---

A 私有財産についてどう考えるかはこれからの議論。ただ被災者が困っているからといって,何にでも公金を出せばいいとはならない。
などと,なんだか10年ぐらい前に議論された,化石のような感覚のピンボケコメントを出していて,少々不安がありますが,きっとこれは,おそらく単なる不勉強に過ぎないでしょうから,ちゃんと勉強し直して,考えを改めてくれるものと期待します。

 大臣のピンボケ発言はさて置いて,
 この点について,改正を後押しするニュースとしては,

(1) 民主党が今国会に改正案を提出するというニュースが早くから出ていました。
   ※例えば,http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000530077.shtml
   ※こちらも,http://www.kobe-np.co.jp/sinsai/2002ashita/070826.htm

(2) 昨日の神戸新聞には,与党である公明党が,今国会に独自の改正案を提出すると
の報道がありました。
 (→まだWebには出ていないようなので,以下引用しておきます)
 公明党案は,なかなか簡潔明瞭で,良さそうな感じです。こういう地味なところで,公明党の存在感を発揮してくれれば,存在価値が光るんですが。

(3) もともと,社民党,共産党も,改正推進派ですし,もっと元を辿れば,本法制定時の自民党の案も,なかなか良いものだったので,初心に立ち返ってもらえばよいだけです。
 政党の動きとしては,良い追い風を感じます。


 しかし,一方では,強いブレーキもかかっています。
 政府の方では,パブリックコメントを終えてすぐに,首都直下地震で支援金を出した場合,7000億円かかるので,国の制度が破綻すると発表して,支援の財源がないことを強調しています。
  (例えば,http://www.asahi.com/national/update/0901/TKY200709010240.html
  財政的な危機感を強調して,盛り上がりつつある雰囲気の高まりに,冷や水を掛けようという意図を感じざるを得ません。
 (おそらく,冒頭で紹介した泉大臣のコメントも,政府の用意した原稿によるものでしょう。)


 ちなみに,「平成19年度災害・地震対策関係予算」は以下のPDFファイルで見ることが出来ます。
 http://www.bousai.go.jp/oshirase/h18/061221sankousiryou.pdf
  国家予算全体としては約6753億円ですが,そのうち,生活再建支援金のために付けられているのはわずか3億円(0.044%程度)に過ぎず,かなり冷遇されているように見えます。

 首都直下地震の問題は確かに大きな懸案ですけれども,東京以外の地域の問題とごっちゃにして議論して良いものかどうか考えてしまいます。
 大都市の将来の懸念のために,地方都市の今まさに苦しんでいる状況を見殺しにするのは,安倍首相の新しいスローガン「国民にやさしく,ぬくもりのある政治」とは言えないでしょう。

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<以下神戸新聞9月5日夕刊10面より引用>

被災者再建支援法 改正案,公明提出へ

臨時国会 定額方式など検討


 公明党は5日午前,災害対策法制プロジェクトチーム(座長・赤羽一嘉衆院
議員)の初会合を開き,来年度見直し時期を迎える被災者生活再建支援法の改
正案を,10日召集の臨時国会に提出する方向で検討を始めた。

 改正案の骨子は,年齢要件を撤廃し年収800万円以下を対象に
 現行の積み上げ方式を変更し,住宅を建設・購入する場合には200万円,
補修する場合は100万円,民間賃貸の場合は50万円を定額支給する
など。

 現行制度は,上限200万円の居住関係経費に住宅本体の建築・補修費用が
含まれず,手続きや支給要件が複雑なことなどから支給実績が28%にとどま
り,全国知事会などが抜本的な見直しを要望している。同プロジェクトチーム
は「被災者に分かりやすい制度になるよう早急に改正案の要綱を固め,自民党
と協議して臨時国会に提出したい」としている。

 臨時国会には,民主党も,住宅本体の再建費用を含めて最高500万円を支
給する同改正案を提出する方針。

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