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bokupapa.jpg 奈良県で高校1年の長男が自宅に放火して家族が焼死した事件を扱った『僕はパパを殺すことに決めた』という本が売れているそうです。

 この少年の供述調書を外部に流出させて関係者の秘密を漏らした疑いがあるとして,精神鑑定を担当した医師が強制捜査を受けました。
 被疑罪名は,秘密漏示罪です。
(秘密漏示罪)
刑法第134条 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 この条文からも明らかなように,秘密漏示罪の対象となるのは,医療関係者だけでなく,法曹関係者も含まれています。
 被疑対象になり得るという意味では,ちょっと他人事とは思えません。

 この点に関しては,最近,社会から注目を集めている刑事事件に関して,弁護人には「世間」に対する説明責任があるのではないか,という議論もあります。
 橋下弁護士が,光市事件で積極発言しているのも,そういった問題意識があってのことだと思います。
 弁護士が,世間ウケを狙って過度の説明を行った結果,秘密漏示罪に問われたら,それはもはやプロとは言えないでしょう。

 また,新聞報道を見ると,
   「少年法」と「表現の自由」の対立
という軸組みで,議論をしているようなものもあります。

 これって,よく見られる対立構図なんですけど,こういう風な議論の立て方をすると,
   ◆重大事件を起こした少年を甘やかしてどうすんだ!
      とか
   ◆表現の自由であっても度が過ぎたのは許されない!
などという意見が出てきて,「少年法」にも「表現の自由」にも両方とも強い逆風が吹いて,結果として,
   →少年法の厳罰化
   →表現の自由に対する規制強化
につながっていくのがオチです。
 なんかオカシイなと感じてしまうのです。

 こういうときは,「少年法」と「表現の自由」のどっちを取るんだ!という二項対立的な議論をするのではなくて,組み合わさったいろんな要素を一旦バラバラにして,考えた方がいいはずです。

 ◆この本の出版によって少年の更生に障害が出来たのならば,あくまでも,今後の更生プログラムの軌道修正に力を注ぐ

 ◆表現の自由の濫用と見られるものかどうかは,あくまでも客観的に見て,表現そのものは尊重すべきことを確認する

 ◆医師,弁護士などの専門家は,あくまでもプロ職業倫理と目的・結果のバランス感をもって,秘密を取り扱う


 こうしてみると,今回の事件のポイントは,少年法や表現の自由の問題にあるのではないといえるでしょう。
 まさしく,秘密取扱者の職業倫理の問題であって,だからこそ秘密漏示罪が問われているということになるのではないでしょうか。
 とても考えさせられる問題です。

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