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 ここで死刑廃止の是非を論じるつもりはない。
 よくよく考え抜かれた刑事訴訟法を前にして,あまりにも低俗な口喧嘩を展開している姿が実に情けなかったので,一言だけ愚痴っておきたいのである。

 鳩山法務大臣と亀井静香議員の発言の経過は以下のとおり。
鳩山 「法相が絡まなくても、自動的に客観的に(死刑執行が)進むような方法を考えたらどうか。法相に責任をおっかぶせる形ではなくて」
鳩山 「(法相は)誰だって判子をついて死刑を執行したいと思わない。精神的苦痛を感じないものではない」
鳩山 「ベルトコンベヤーって言ってはいけないが、乱数表か分からないが、客観性のある何かで事柄が自動的に進んでいけば、次は誰かという議論にならない」

亀井 「人間の命を機械みたいにボタンを入れておけば次から次に殺されていくようなイメージで扱っていいのか。」
亀井 「(鳩山氏には)法相の資格もなければ、人間の資格もない」

鳩山 「亀井先生のような尊敬すべき先輩が、私は人間でないとおっしゃっているわけですから、そこまで言われてお会いする必要はないでしょう」
 どうやら,「会わせろ!」,「会わない!」という押し問答になっているようだが,こうした実に低レベルな罵り合い(ののしりあい)をしながら,鳩山大臣は,刑事訴訟法の見直しを検討しようと言うのだ。

 問題となる刑事訴訟法の条文は475条である。
第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
 なぜ法務大臣の命令を要求しているのかというと,回復不能という死刑の性質上,手続きを慎重にしようという配慮があるからである。
 別に,被告人がかわいそうだとかいう感情的な理由ではなく,一旦執行されてしまうと二度と「回復不能」になるという特殊な性質に着目しているのである。

 その慎重さは,刑事訴訟法では,徹底されている。
第475条2項 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。
 但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。
 これも,一応6か月という時間的目処を立てながらも,誤りがなかったかどうかの検証のため,できる限りの個別的検討を尽くすように設計されているものだ。

 人道的見地から配慮しているのが479条。
第479条 死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。
 2 死刑の言渡を受けた女子が懐胎しているときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。
 3 前2項の規定により死刑の執行を停止した場合には、心神喪失の状態が回復した後又は出産の後に法務大臣の命令がなければ、執行することはできない。
 こんなふうに,刑事訴訟法は,ありとあらゆる見地から死刑執行に慎重を期するように配慮に配慮を重ねている。
 だから,判決確定から6か月をはるかに過ぎても,異議申し立ての余地がある限り執行を先延ばしにすることも許容されているのである。
 決して,法務大臣の一存に委ねているのではない。

 あたりまえだが,死刑執行の仕組みは,法務大臣の感情や精神的苦痛に配慮したり,また,自動的に進めたりするもんではない。
 死刑の是非は別にして,少なくとも「死刑」の重みについて,誰よりも深く受け止めているのが刑事訴訟法だ。
 法務大臣は,刑事訴訟法をちゃんと勉強しなければならない。

 不勉強な法務大臣が,イヤなことを部下任せにするというのは情けない限りである。
 さらに,亀井氏との口げんかは,低俗極まりない。

 刑訴法の死刑の重み ←→ 不勉強大臣の低レベル喧嘩 

 話題と発言内容があまりにもアンバランスだ。

 これらは,死刑制度の重みや,問題の重要性を,いたずらに軽くするものであって,廃止論についてどちらの立場に立とうが,許されない愚言だと思う。
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