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東京(首都圏)で,今,のんきに暮らしている人々に必読の書だと思った。

M8.jpg 『M8(エムエイト)』 高嶋 哲夫 著
 (高嶋哲夫さんのブログ→http://takashimatetsuo.blog115.fc2.com/
 (著者は,慶大工学部卒、日本原子力研究所研究員の経歴もある由。)

 これは,一応フィクションである。しかし,とてもフィクションとは思えない。
 以前, 小松左京の「日本沈没」がベストセラーになり,去年も映画でやっていたので,それをイメージする人がいるかも知れない。
 しかし,それをはるかに上回るリアルさが,この本にはある。

 本書の紹介文はこうだ。
 28歳の若き研究者,瀬戸口の計算式は,マグニチュード8規模の直下型大地震が東京に迫っていることをしめしていた。十年前の神戸での震災,あのとき自分は何もできなかった。同じ過ちを繰り返したくない。今,行動を起こさなければ…。
 東京に巨大地震が起こったら,高速道路は,地下鉄は,都心のビル街は,いったいどうなるのか。最新研究に基づいてシミュレーションした衝撃の作品
 本を手にすれば紹介文以上の衝撃を感じることができるだろう。
 少なくとも,神戸での出来事の描写は,実際にあったであろう現実を書き綴ったものだと感じられる。
 そして,おそらく,この本に出てくる状況に近いものが,近い将来,現実になるだろう。

 ところで,この本では,東京都知事(明らかに石原都知事がモデル)が,被害を最小に食い止める適切な判断・行動に出ている。
 他方,これと対照的な日本政府の首脳の姿が,これまたリアルである。
 地震発生後に,首相が,閣議の場で,票にならない「防災」に淡泊だった大臣たちの前で悔やむ場面が出てくる。

「我々人間にできることは限られている。そして我々政府にできることはさらに限られている。法律を作り,予算を付ける程度だ。だが,我々は防災にいくらの予算を付けた?100億か,1000億か。使いもしない高速道路,ムダと分かり切っているダム建設と比べてどうなんだ。今回の東京直下型地震で推定38兆の被害が出ている。今後,今回の地震の影響で生じると考えられる経済損失は44兆だ。計82兆円。もし,この1%でも地震対策に注ぎ込んでいたら-。家屋の耐震化の補助金を増やし,消防設備をさらに充実し,地震対策に従事する専従職員を倍増していたら,被害は何十分の一に抑えられたはずだ。まさ本当にくるはずが-という我々の気持ちが,本気で考えることを躊躇させた」

「地震は一瞬だ。その一瞬のために万単位の死者,数十万を超える負傷者が出て,ビルが倒れ住宅が焼ける。人々は行き場を失って途方に暮れる。以後,何年にもわたって膨大な損失を被り,様々な重荷を引きずっていかなければならない。この一瞬の被害を最小限にとどめることができれば。我々はこの一瞬のために,もっと税金を使うべきだった。努力を惜しむべきではなかった。全壊を半壊に抑える。一万人の死傷者を10分の1,100分の1に減らす。親をなくした子,子をなくした親を最小限にするためにもっと時間と金を費やすべきだった。それが真の政治というものだ」
 災害後の復興に平素から関心を持っている私としては,この首相のセリフが非常に印象的だった。
 このようなセリフを,政府要人が口にするというところは,アン・リアルである。巨大災害を前にして,こんなふうに適切な状況描写が出来るとは思えない。
 むしろ,ここで語られている事柄は,まさに私たちが普段から,訴えていることである。
 こういうことを,,理解してもらいたいと思う。

 私は,この本を小説としてではなく,災害対策の啓蒙書として,また,首都・東京に住まいする人の近未来絵巻として,お薦めをしたい。
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