共謀罪の再チャレンジ この執念深さがこわい
共謀罪の実質審理が始まっています。

 再チャレンジというか,再々チャレンジというか…,前首相のようにアッサリとサジを投げるという結末は期待出来なさそうです。
 つぶされても,つぶされても,何度も不屈の精神で立ち上がってきます。
 何度ダウンしても立ち上がる矢吹丈に,幽霊のような恐ろしさを感じたホセ・メンドーサの気持ちが分かるような気がします(…冗談)。

 とにかく,この執拗さ・執念深さに,法律が成立した後の,いざ適用の場面でのネチっこさイヤらしさを感じ取ることが出来ます。
 私は,とてもこわいです。

 世間では,テロ特措法や,政治資金規正法の話題で持ちきりですが,見方によっては,そんな話よりも,ずっとずっと国民にとって身近な一大事だということを知るべきです。
 毎日の生活に影響を及ぼすことなのですから。

 今回の国会では,すっかりケチの付いた「共謀罪」という名称を引っ込めて,「通称条約刑法」(以下の鳩山大臣の答弁より)という名で出ているようです。
 全然,通用していないのに「通称」と冠するのもヘンですが・・・・

 以下,今国会の議事録から,一部だけ引用しておきます。
 こんな議論が,既に始まっているのです。

平成19年10月19日 衆議院法務委員会  法務大臣所信表明
○鳩山国務大臣 このたび、法務大臣に就任いたしました鳩山邦夫でございます。委員長を初め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営につき格別の御尽力を賜り、心から御礼申し上げます。今後とも、なお一層の御指導、御協力をいただきますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 法務省は、民事、刑事の基本法と呼ばれる法律を所管し、これらはいわば国の骨組みであるとともに、法務行政の遂行は、国の根幹、土台にかかわるものばかりであります。そして、法務行政における諸課題は、いずれも、国民の皆様にとって、基本的で大切なものばかりであると承知しております。
 それゆえ、法務大臣の責任にはまことに重大なものがあり、私は、法務大臣として、法務行政の遂行に当たって強い指導力を発揮して、その諸課題に取り組み、重責にこたえる決意です。(中略)
 現在継続審議となっている「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」は、通称条約刑法ですが、既に国会で御承認をいただいている国際組織犯罪防止条約及びサイバー犯罪条約を締結し、国際社会と協調してこれらの犯罪に対処するために必要なものであり、委員の皆様及び国民の皆様に御理解をいただき、できる限り速やかに成立させていただきますよう、お願い申し上げます。
 ここに出てくる「通称 条約刑法」というのが,共謀罪です。
 今国会に上程されている法案は,以下のとおりです。(→こちらより
(組織的な犯罪の共謀)
第6条の2 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
 一 死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪
      5年以下の懲役又は禁錮
 二 長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪
      2年以下の懲役又は禁錮
 2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第3条第2項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。

 さらに,法務委員会での議論が続いています。
 先週の10月24日の法務委員会の議事録が閲覧できるようになりましたので,以下にアップしておきます。
平成19年10月24日 衆議院法務委員会 (強調部分は津久井による)
○馬渡委員 ありがとうございました。(中略)
 次に、今から二十年前に、イタリアの裁判で三百人を超えるマフィアの判決を出した判事が爆弾で殺されてしまったという事件があって、それがもとになって、国際的な組織犯罪防止のための条約、すなわち国際組織犯罪防止条約ができたわけですけれども、これに関連をして質問させていただきます。
 日本の国は、平成十五年の国会で、この条約を締結することを承認しました。それからもう四年もたっているわけでありますが、G8の中でまだ未締結なのはこの日本の国だけです。例えば、米国のあの九・一一のテロや、麻薬の輸入の事犯、そういったことの撲滅を願っていくとすれば、この条約は早急に締結すべきだと考えます。そのためには国内法の整備が必要だということで、その一つが組織的な犯罪の共謀罪の新設であります。これに対してはかなり間違った認識があるようなので、ここの場で正しい内容を改めてお聞きしたい、そう思っております。
 まずは、組織的な犯罪の共謀罪というのはどういうものなのか、その内容を簡潔に教えていただけませんでしょうか。

○鳩山国務大臣 我が国の法制の中にも、共謀とか予備とかそうしたものを罰する、個別の限定的なものはあるわけですね。あるいは、共謀共同正犯という理屈、理論も存在はしているわけです。
 要するに、この条約刑法と言われるもの、つまり条約を締結するための国内法の整備として考えられております組織的な犯罪の共謀罪というものは、条約が定める重大な犯罪、すなわち死刑、無期または長期四年以上の懲役、禁錮の刑が定められている犯罪に当たる行為であって、かつ、組織的な犯罪集団が関与する、関与するといっても、その場合には、遂行を共謀した者を共謀罪として処罰するわけですが、それはかなり具体的、現実的に合意をして重大犯罪をやってやろうという、その具体的、現実的な合意というものが条件になると思いますので、決して野方図に広がるものではなくて、非常に限定的に解釈されるべきものと思っております。

○馬渡委員 今のに関連することなんですが、この組織的な犯罪の共謀罪、一般の市民や、例えば労働組合などの正当な目的で活動している団体のさまざまな行為にも適用されてしまうのではないかという懸念も聞いたことがありますが、そのような懸念についてどのようにお答えになりますでしょうか。

○鳩山国務大臣 一般市民や労働組合等の正当な行為が組織的な犯罪の共謀罪になるということは、全く考えられないと思っております。
 だから、余り具体的な例を言うのは嫌ですけれども、暴力団がそれこそ組織を挙げてあれをやってやろうというような形で計画を具体的に練って合意する、あるいは、振り込め詐欺集団というんでしょうか、組織的な詐欺集団が合意をして詐欺をどんどんやってやろうという、それも具体的に合意して初めて共謀罪になるわけですから、一般の市民とか労働組合が普通に活動しておられて組織的な犯罪の共謀罪になるということは、全くあり得ない。特に労働組合は、組織でしょう。しかし、そういう今申し上げたような重大犯罪の合意をするということはあり得ませんから、全く御心配不要でございます。

○馬渡委員 我が国の現行刑事法には、予備罪、共謀罪などの罰則や共謀共同正犯の理論、テロ行為による処罰規定、銃の所持による処罰規定があるので、この組織的な犯罪の共謀罪を新設しなくても、現行のまま何も法整備しなくてもこの国際組織犯罪防止条約を批准することができるとの見解がありますが、これについてはどうでしょう。

○鳩山国務大臣 結論から申し上げれば、それでは漏れがいっぱい出てしまうので、重大な犯罪でも、今、馬渡委員御指摘の予備罪、共謀罪、部分的にありますけれども、それでは、重大な犯罪で組織的に合意をして共謀するといっても、漏れてしまうものが大変多いわけでありますから、したがって、条約を締結するためにはきちんと、組織的犯罪の共謀罪、一定の重大犯罪におけるものですが、これを厳密に法整備しなければいけないというふうに考えております。
 つまり、今、馬渡委員御指摘のような予備罪、共謀罪、現に存在している法制では組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪のすべてをカバーできないので、新しい法律が必要であるということ。
 それから、共謀共同正犯という理論は、私も大学時代習ったのはもうとうに記憶がかすんでおかしくなっておりますけれども、共謀共同正犯の理論というのは、犯罪の実行の着手があって初めて成立するものですから、これでは共謀を処罰することはできないわけでございます。

○馬渡委員 ぜひこの条約刑法の早期成立に向けて、大臣、頑張っていただきたいと思います。(後略)

うんざりです。
誰か止めてくれないだろうか・・・・・
2007/11/02(Fri) | 社会 | トラックバック(14) | コメント(3) | page top↑
コメント
--どうやたら止められるんでしょうか?--

こんにちは、津久井さん。これってどうやったら「反対してます」って声を聞かせる事ができるのでしょうか?反対している議員に「お願いします」と送るのがいいのか、法省宛に「反対文章」送った方がいいのでしょうか?何か効果的なやり方はあるのでしょうか?
by: うろこ * 2007/11/02 11:17 * URL [ 編集] | page top↑
--弁護士会は反対してくださっていますね?--

こんにちは。「また出てきましたか〜」という感じですね。上のうろこさんのお考えにも重なるのですが、ふつーの市民は何ができるのでしょうか。例えば、一般市民の署名入りの弁護士会の反対声明を出すとかできないでしょうか?
ところで、今朝、未明に日本で軍事クーデターが起きて、一軒一軒家宅捜索されている夢を見ました。何だか、全く荒唐無稽ではないように感じるところがこわいです。
by: まい * 2007/11/02 14:09 * URL [ 編集] | page top↑
--やはり「突いて」きましたね--

マフィアやテロ、最も記憶に残るものとしてオウム真理教の事件がありましたが、そうした組織犯罪による「被害を未然に防ぐ」観点でいえば、共謀罪の「概念」には、むしろ正当性があると思います。

ただし、この罪の問題点は2つあります。

ひとつめは、規定が具体的な罪名ではなく刑期である、ということ。これでは、組織犯罪として認定されないものでも、「人が複数いれば」取り締まれるということで、本来の目的とは異なる目的に使われる危険性がある点です。

ふたつめは、「取り締まるべき『組織』の定義づけがなされていない」こと。
暴対法のときも問題となりましたが、この組織の定義ができなければ、いかなる団体でも適用できるという話になりますから、市民運動へ制限をかけることも可能になる、という点です。

この2点において、非常に欠陥が多い規定であり、私も法務省や政府の案には賛成する立場にはありません。

ただ、国際化以前に、こうした組織犯罪が、実に巧妙かつ秘密裏に行われる傾向が高まったのみならず、その犯罪が実現されたときの損害が大きくなった現状を鑑みれば、何らかの組織犯罪の「防止」に対する法整備そのものは必要ですし、単に反対というだけでは、多数の理解を得るのは難しいと思います。

ゆえに、津久井さんをはじめとした皆様には、「組織犯罪を未然に防ぐ」という観点での、別の法案を提案していただければ、と思います。
おそらく、民主党あたりはその法案ならば賛同するでしょうし、国民世論も同意していただけるかと考えますが、いかがでしょうか?
by: wakuwaku_44 * 2007/11/02 16:28 * URL [ 編集] | page top↑
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://tukui.blog55.fc2.com/tb.php/533-66ddd828
三浦和義事件と一事不再理
カズヨシ・ミウラ。この名前を聞いて、サッカーのカズを思い出す人がいたとしても仕... 専門家や海外ジャーナリストのブログネットワーク【MediaSabor メディアサボール 】【2008/03/11 10:13】
共謀罪なんていらない!皆で戦前の密告制度復活を阻止しよう!
皆さんは共謀罪というものをご存知だろうか? 管理人もつい最近まで知らんかったけど、詳しい内容を知れば誰もが反対するような激ヤバな法案なんだ。なんで激ヤバかというと、もし... 真実の探求【2007/12/01 23:31】
( 組織的な犯罪 )についての最新のブログのリンク集
組織的な犯罪に関する最新ブログ、ユーチューブなどネットからの口コミ情報をまとめてみると… クチコミコミュニケーション【2007/11/23 01:20】
ホームページ
無期懲役刑に関する誤解の蔓延を防止するためのホームページ こちらも是非ご覧ください。 また、ホームページまたはブログをお持ちの方で、当ページの趣旨に賛同いただける方は、もしよろしければ、ご自身のHPまたはブログの「リンク」や「お気に入り」などに当ホー... 無期懲役刑に関する誤解の蔓延を防止するためのブログ【2007/11/04 12:06】
【日常】小児科医の講演で考えさせられたこと・【時事】防衛省GPS携帯導入が目指すものに妄想
小児科医で、小児がんのオーソリティでもある細谷亮太先生の講演会があり、友人に誘われて行ってきました。 出遅れて途中からになってしまったのですが、イラクの子どものこと、今年のピュリッツァー賞を受賞した女性写真家、レネ・C・バイヤーさんの写真の訴える力な Like a rolling bean (new) 出来事録【2007/11/03 23:49】
来るべき衆院選への戦い方
臨戦態勢突入月間のため、今日も2つ目の記事です。 さて、来るべき衆院選に対して、私達はどんな戦術で戦えば良いでしょうか?参院選の当時のブログ活動の反省から、今度の選挙に向けての活動を提案したいと思います。 まず、最大限即は、「反自公政権論者が割れては... 「猫の教室」 平和のために小さな声を集めよう【2007/11/03 11:19】
党首会談での本命は自衛隊派遣恒久法?
自民党の福田総裁と民主党の小沢代表が先日に引き続き、2日に党首会談を行った。 いくつかの新聞社のウェブサイトを覗いてみると、「福田首相が党首会談で連立参加を打診、民主は拒否決定」(読売オンライン)、「首相連立打診も民主応じず」(毎日jp)、「首相が連立打... ツァラトゥストラはこう言っている?【2007/11/03 03:29】
冷えたソラマメ、民主党に連立政権への協議を打診+年金記録漏れ、検証委が最終報告書
 いつも、  当ブログをご訪問して頂きありがとうございます!   「自民党」のエンド目指して頑張りましょう! (お読み頂けた後は、ついでに、と、言うより、肝腎なといいますか、 ランキング=ポチッを押して足跡残して行って下さいまし! まし! 後は逃げっ... 晴天とら日和【2007/11/02 23:00】
鳩山法相 さらに暴走
あああ、怒りも呆れも通り越して、お腹を抱えて笑ってしまった。おかしくて、情けなくって涙が出そう。 誰のことかって、決まってるでしょっ、鳩山邦夫法務大臣です。 31日の法務委員会で、指名もされていないのに突然、「 とむ丸の夢【2007/11/02 21:36】
“彼ら”は単なる強欲者ではありません。
まず、私はインサイダーではなく、300人委員会の綱領とやらがほんとうに“彼ら”の目的を表しているのなら、こう解釈できるという観点で説明をしていることを再確認させていただきます(笑) >「彼ら」の目指す世界征服とは、すでに、できつつあり、80パーセント 晴耕雨読【2007/11/02 21:27】
亀井静香議員、世相を斬る(その1)
愛読する「灰色のベンチから」で、去る2月15日のエントリーに、「亀井静香のペネトレイト 」というものがある。衆議院の予算委員会で、亀井氏が大演説を前段で展開し、最後の最後で核心の追求を行う、という拍手喝采ものの劇的な内容をKEN氏が手放しに賞賛した記事... 現政権に「ノー」!!!【2007/11/02 17:55】
原発を考える(中)
―地震と原発事故がもたらす 報道の二つの流れ(1)―  原発を考えるとき、ウラン採掘による鉱山労働者の被爆から原発稼動による地域への放射能汚染まで、様々な環境破壊を続けていることを考慮に入れる必要がある。  原発による被害者(自分とは遠い存在に 関係性【2007/11/02 16:27】
組織的な犯罪
組織的な犯罪での検索結果をマッシュアップ。一語から広がる言葉のポータルサイト。 一語で検索【2007/11/02 13:03】
今日2度目の党首会談。密室談合を許すな。
今日も2つめの記事です。 先日に続き、今日も自民党福田首相と、民主党小沢代表の党首会談が行われます。 先日の党首会談では、約45分、2人だけの秘密会議がありました。その内容については、本人達が言う言葉しか知る術はありません。 自民党側が、政権維持のため.. 「猫の教室」 平和のために小さな声を集めよう【2007/11/02 12:44】
前のページ ホームに戻る  次のページ