JR福知山線事故の被害者(負傷者)の方が,訴訟を起こしたとのことで,各紙にその記事が出ていた。
 今回の事故に関して,初めての訴訟になる。

 今回,提訴に及んだ負傷者の方については,私がかかわりを持っている
    「市民事務局かわにし」のつどいや,
    「4・25ネットワーク」の例会
で知り合う機会を得ていないので,どんな方がどんな内容の訴訟を提起したのかは分からないし,また,どんな気持ちで提訴に及んだのかということも,その思いを推し量るほか無い。

 ただ,知り合いの記者の方々から色々な情報を教えてもらって一つ分かったことがある。
 原告の方は,JR西日本の事故後の対応に対して強い憤りの気持ちを抱いておられるらしいということである。

 これだけの事件で最初に裁判に及ぶというのは,そのことだけで一定の決意が要るだろうと想像するけれども,その決断の動機の一つに,加害者であるJR西日本の対応の悪さがあるとすれば,たいへん遺憾なことである。

 記事だけを読むと,JRは「精いっぱい対応した」などとコメントしている。
 被害者の視点に立って見る限り,それは明らかに認識違いだ。

 補償交渉を考える勉強会も,回数を重ね(既に6回を実施),かなりJR西日本の被害者対応の進め方がはっきり見えてきている。
 JRは「国内の人身事故の一般的な基準を上回る額」(JR西広報部)を呈示しているというが,誤解を恐れずに端的に言えば,
    「金額が高ければいいじゃないか」
という姿勢が見え見えなのである。

 言うまでもなく,お金を出しさえすれば良いというものではない。
 いかに,被害者の立場に立って,個別事情に即した賠償ができるかというところがポイントである。
 「画一性」「公平性」「書類重視」などを強調しすぎると,20年前のお役所仕事と同じになる。
 JRは20年前に民営化したはずだが,当時の悪しきお役所体質を,脈々と受け継いでいる。
 その硬直性が,被害者の方々を追い込み,苦しめている,と思う。

 神戸新聞の記事に私のコメントも出ていたので引用させていただく。
被害認定、見解にずれ 尼崎JR脱線・負傷者初提訴

 尼崎JR脱線事故で、負傷者とJR西日本の補償交渉が、初めて訴訟に発展した。事故による後遺症や、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的影響を訴える負傷者は少なくない。その被害認定をめぐる見解の相違と、感情的な対立が表面化した格好だ。

 神戸新聞社が今年三月、負傷者百人から回答を得たアンケートでは、27%が「後遺症が出た」▽20%が「治療(リハビリ)が続いている」とし、精神的影響についても、36%が「残っている」▽17%が「治療・カウンセリングが続いている」と答えた。

 こうした被害に対し、JR西は「国内の人身事故の補償基準をベースに、従来以上の補償」をする方針を提示。恐怖感で電車に乗れなくなった負傷者に、タクシー料金を支給するなどの対応も続けてきた。JR西によると十二日現在、示談した負傷者は七割強という。

 しかし、遺族や重傷者で交渉が難航しているケースが多いとみられる。

 被害者の間では、JR西の交渉態度に「高圧的」「進め方が強引」との不満がある。事故との向き合い方についても、謝罪はするが事故の背景となった企業体質への自己検証が弱い-との不信感が根強い。

 また、JR西は「従来以上の補償」を強調する一方、遺族や負傷者家族の心のケア、休業補償などは原則的に「補償の範囲外」とする。こうした「間接被害」の影響を訴える人との感情的ギャップは大きい。

 これらが、補償交渉に影を落としている。

 負傷者の支援に取り組んできた津久井進弁護士は「JR西は『責任は認める』といいながら、被害者が苦しみ続ける身体の痛みや心の傷に対して理解が薄く、個別の窮状に対する配慮がない」と指摘。「提訴は不満の表れの一つ。被害者の立場に立った対応への軌道修正が、JR西に求められている」と話す。(森本尚樹、中島摩子)
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