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20080113134405.jpg 日本災害復興学会の設立にあたり,筑波大学・特任教授の熊谷良雄先生から,学術記念講演ということで,
   「我が国の災害復興の経緯と課題」
という題目のお話があった。

 たいへん面白い切り口で,興味深いお話だった。

 講演内容の概要は以下のとおりである。
 1 江戸の大火とその復興

 2 明治期以降の東京での災害復興

 3 さまざまな災害復興

 4 我が国の災害復興を考える

 この中で,江戸大火とロンドン大火の比較の視点は,私にとって非常に新鮮だった。

 江戸時代には,江戸のまち全体を焼き尽くすような大火災が,なんと89回も発生していたらしい。
 江戸の町では,庶民が新築した家屋は,わずか平均7年で焼失してしまう有様だったそうだ。
 火事がいかに身近な災害だったかが分かる。

 この点について,ほぼ同時期に起きた明暦の大火と,ロンドン火災の復興施策が違うというのである。

 江戸の町では,大火が起こるたびに次のような施策を実施していたそうだ。
   ◆武家屋敷を安全な地域に移設する
   ◆街路の拡幅や,避難路確保,町家の庇の取り払いを行う
   ◆貴重品を格納して,身一つで逃げられるように穴蔵を奨励
   ◆旗本による「定火消し」や町方の「火消組」など消火組織の設置

 これに対し,ロンドンでは1つの大火災で次のような施策を実施した。
   ◇建物の不燃化を一層推し進める
   ◇火災審判所を設置して権利紛争を迅速に処理する
   ◇監視人を設置して違反建築を取り締まった
   ◇復興財源確保のために課税と,固定資産税の減免を行う

 要するに,
   ロンドンでは
     ◇個々の家の安全を守ることからスタートし,
     ◇個別性を大切にしながら,行き過ぎを諫め,
     ◇災害後の対処について,エネルギーと金を注いだ

という特長があるのに対して,
   江戸では
     ◆役人と町全体をいかに守るかに汲々とし,
     ◆町人には,自己防衛(自己責任)を奨励し,
     ◆防衛組織の立ち上げに傾いている,

という点が際立っているというのである。

 つまり,
   これが,わが国の(まずい意味での)復興政策の原点になっている
ということである。

 確かに,今,私たち日本人が考える復興政策というと,

◆公的施設の防災にお金とエネルギーを注ぎ,

◆被災者には「原則として自己責任」と言い聞かせ,

◆「安全」といえば,すぐに都市計画,区画整理に一辺倒となり,

◆自衛隊やら,地域防災会議やら,種々の防災組織の立上げで満足する,


という傾向がある。

 これに対し,「個々人の生活」や,「被災者個人への支援」や,「民間住宅の耐震化」などについての関心は極めて薄い。

 この発想は,実は江戸時代から綿々と受け継がれてきた日本的なものだということである。

 もちろん,木造住宅を基本とする「日本らしさ」や「日本の知恵」というものが,そのベースにあるのだろう。

 しかし,西洋的な都市計画がベースになっている今日,災害復興についても,他国に学ぶべきことは多いのではなかろうか。

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