憲法9条違反の違憲判決が出ました(名古屋高裁)

 裁判所は,
 「イラク特措法が合憲であったとしても、活動地域を非戦闘地域に限定した同法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいる」
と述べ,9条違反の違憲性を明確に述べました。

 すごいことです。

 控訴棄却判決なので,原告側も被告側も上告できません。
 だから,これで確定です。
 この「憲法9条違反判決」は,確定した高裁判断となります。

 いよいよ,9条が司法の世界で活かされる場面がやってきたんだ,という感無量の思いを感じます。

 この勇気ある判決を書いた裁判長は,青山邦夫さんです。
 この3月末をもって退官されましたが,修習22期で,ほぼ定年となるまで裁判官一筋で職を全うされたキャリア裁判官です。
 普通の裁判官の感覚が活かされて,このような判決がなされたことにも,一法曹人として,活きた司法の良心を見た思いもします。

 この裁判で,控訴人ら(=市民ら1122名)が提出した控訴理由書は,次のようなコメントで締め括られています(→詳しくはこちらよりどうぞ
裁判所には、司法権の一翼を担う裁判所として、司法審査権の本来の役割を果たし、違憲立法審査権を適正に行使するという立憲主義上の職責を十分に果たした上で、中立公正な立場から判断頂きたい。
 それこそが原審裁判所が幾重にもわたって犯した原判決の誤りを正すことであり、国民の司法権に対する信頼を取り戻すことであり、再び日本が軍事国家となることを防ぐために日本国憲法上、立憲主義上課せられた裁判所の役割である。
 まさにこの刺激的な檄文に対し,正面から応えた判決と言えるのではないでしょうか。

以下,速報記事を引用しておきます。
<毎日新聞より>

<イラク自衛隊>米兵輸送は違憲 差し止め却下 名古屋高裁

 イラクへの自衛隊派遣は違憲だとして、全国の市民が国を相手取り、派遣の差し止めと違憲確認、原告1人当たり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長(高田健一裁判長代読)は、米兵の輸送などを行っている航空自衛隊の活動について「武力行使を禁じた憲法9条1項に反する」と述べ、違憲と認定した。

 原告が求めた損害賠償の支払いなどは退けた。全国の同種の訴訟で、航空自衛隊の活動を違憲と認定したのは同高裁が初めて。

 原告団は04~06年にかけ、7次にわたって3268人が集団提訴した。政府が04年、イラク復興特別措置法に基づきイラクに自衛隊を派遣したのは憲法9条に違反し、憲法が保障した「平和的生存権」を侵害したと主張してきた。国は「平和的生存権は抽象的な概念で、憲法に基づく具体的な権利ではない」と反論。差し止めと違憲確認の請求を却下し、損害賠償請求を棄却した1審判決に対し、原告のうち1122人が控訴していた。

 弁護団によると、イラク派遣では、全国の11地裁で12の集団訴訟が起こされたが、これまでに出た判決はいずれも原告側の訴えを退けている。【秋山信一】



<朝日新聞より>

「空自イラク派遣は憲法9条に違反」 名古屋高裁判断

 自衛隊イラク派遣の差し止めや派遣の違憲確認などを求めて全国の市民3千人以上が提訴した集団訴訟の控訴審判決が17日に名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長は原告の請求を退けた一審・名古屋地裁判決を支持、控訴は棄却したが、「現在の航空自衛隊のイラクでの活動は日本国憲法9条1項に違反している」との判断を示した。全国で起こされたイラク派遣をめぐる訴訟で、一、二審を通じて違憲判断が示されたのは初めて。

 判決は、首都バグダッドで米軍と武装勢力との間で激しい紛争が起き、一般市民に多数の犠牲者が出ていることを指摘。「イラク特別措置法にいう『戦闘地域』に該当する」と認定し、空自のイラクでの活動は武力行使を禁じたイラク特措法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいると結論づけた。

 裁判は04年2月に最初の提訴があり、7次にわたって3237人が原告として名を連ねた。名古屋地裁は06年4月、派遣差し止めを却下、慰謝料請求を棄却、憲法判断を避ける判決を言い渡していた。

 控訴審には1122人の原告が参加した。審理の中ではイラクの現状を記録したDVDを見たり、原告側が申請した証人2人が陳述するなどして、裁判官側も原告の主張に耳を傾ける姿勢を示した。

 イラク派遣差し止めをめぐっては、北海道、仙台、栃木、東京、静岡、京都、大阪、岡山、熊本で各地裁に市民が提訴したが、これまで原告敗訴の判決が出ている。



<読売新聞より>

空自イラク輸送活動、名古屋高裁が「憲法違反含む」と指摘

 自衛隊のイラク派遣に反対する市民グループのメンバーらが国を相手取り、派遣が憲法違反であることの確認などを求めた訴訟の控訴審判決が17日、名古屋高裁であった。

 青山邦夫裁判長(高田健一裁判長代読)は、「イラク特措法が合憲であったとしても、活動地域を非戦闘地域に限定した同法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいる」と述べた。そのうえで、1審・名古屋地裁判決と同様、訴えが不適法だとして、原告側の控訴を棄却した。

 訴えていたのは、自衛隊イラク派兵差止訴訟の会(池住義憲代表)のメンバーと、天木直人・元レバノン大使の計1122人。原告側は、「イラク派遣は戦争放棄を定めた憲法9条に違反するほか、憲法前文に掲げられた平和的生存権を侵害され、精神的苦痛を受けた」と主張し、派遣の差し止めと違憲確認、損害賠償を求めていた。

 判決は、現在のイラクの状況について、「多国籍軍と武装勢力との間で、国際的な武力紛争が行われている」と指摘。そのうえで、航空自衛隊の活動について、「空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と判断した。



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