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20080425081739.jpg JR西日本の現社長である山崎正夫氏ら10名が,書類送検されました(→神戸新聞記事はこちら)。
 (ちなみに「書類送検」というのは,正しくは「検察官送致」といいまして(刑事訴訟法246条),「書類送検」というのはマスメディアが好んで使う俗語です。)


 遺族,負傷者をはじめ,被害者の方々の声を聞きますと,
    事故当時の幹部(井出相談役,南谷会長,垣内社長ら)の送致が見送られことなど
すっきりしない点も多く,思いは複雑であるとのことです。
 この大事故の原因として,市民の誰しもが思う「組織的要因」へ,どれだけ深く切り込めたのか?という疑問が残るからでしょう。

 ごもっともです。

 しかし,これまでの経過で,運輸事故史上で,いろんな面で前進した面があることも事実です。
 ならば,粘り強く,さらに一歩,さらに一歩と,コツコツ推し進めていく必要があると思います。


 ところで,社長は「このような脱線事故は予見できなかった」として予見可能性を否認しているそうです。
 本件の刑事処分のポイントは,まさにこの「予見可能性」の有無にあります。

 なるほどたしかに,電車に乗っていて,脱線して死傷するなどということは,乗客の誰も予見できないことでしょう。
 つまり,素人であるお客さん,一般の人たちは,「事故の予見可能性がない」からこそ,安心して,鉄道への信頼を寄せているわけです。

 しかし,逆の立場,つまり鉄道の事業者の側は,同じようなノリで「予見できなかった」などとは言えないはずです。
 鉄道の専門家として,安全構築の専門家として,高度の技術に裏付けられた「予見する力」があってこそ,社会における存在価値が認められ,事業の展開が許されるものです。

 一定の曲線で,一定速度を超えれば,必ず脱線することは,物理的に明らかです。
 つまり,本件カーブで脱線が起こり得ることは,技術的には,はっきりしているのです。
 9月6日の読売新聞記事(→こちら)によると,「列車転覆危険率」というのがあり,脱線現場は,JR西管内では最大の数値で(「1.3」),全国でも5番目の高危険率だったということです。

 素人には分からなくとも,専門家であれば分かることです。


 そうだとすると,「予見できなかった」という抗弁は,専門家には成り立ちません。

 もし,本気で「予見できなかった」と言うのなら,素人や一般市民の感覚に逆行・退化したものと言わざるを得ず,専門家としてのプライドを捨てたヘンテコな話だと思います。

  素人の「予見可能性」 ≠ 専門家の「予見可能性」

であり,

  素人の「予見可能性」 < 専門家の「予見可能性」

である,ということです。

 警察は,この論理を突き詰めて,今回は,鉄道の安全部門の専門の責任者を送致したものと思います。
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