小泉純一郎氏が,代議士の引退を宣言した。
 そして,次男を後継者に指名した。

 小泉氏の最大の功績は,何と言っても,自民党を守りぬいたことである。
 これは,揺るぎない事実だ。
 もし,小泉氏の存在がなければ,現在のように自民党は政権を保持できなかった。

 とくに留意すべきは,自民党という政党の特色は,「世襲議員」によって構成され,「世襲議員」が実権を握っているということである。
 今回の組閣でも,麻生総理大臣を筆頭に,3分の2は世襲議員で構成されている(世襲でないのは,舛添氏,野田氏ほか,わずか6名だけである)。
  
 確かに「世襲議員」だから,直ちにダメだというのは論理の飛躍だろう。
 しかし,政治家が,国民のためでなく,自分の子どもらのために,政治を行うのは全くNGである。
 帝王教育を受けた人より,市井で育った人の方が,民主主義の社会にはふさわしい。

 私は,世襲政治は,絶対に良くないと思っている。
 単に公私混同というレベルで問題なのではない。
 たとえば,市民の痛みを我が事として捉えない人が戦争を起こすということは,末尾引用の戦争絶滅受合法案を見れば,よくわかる。
 徴兵制を強く主張した福沢諭吉でさえも,我が子だけは徴兵に行かせたくないと言っていた。
 世襲議員が脆弱で無責任であることは安倍氏,福田氏の例で,世襲議員が自己中心的で人にやさしくないことは小泉氏,ブッシュ大統領の例で,十分検証済みであろう。
 子どものために票田・地盤を守ろうというのは,現代の民主主義の社会にはそぐわない。

 小泉氏は,今回のお世継ぎについて「自分も27歳で後を継いだので同じようにしたかった」,「既定路線だ」と言っているようだ。
 我が子,我が家系を何よりも第一に考える,いかにも世襲政党・自民党の功労者らしい幕引劇である。

 ぶっ潰れそうな自民党を,「ぶっ潰す」と言いながら,実はしっかり持ち堪えさせた小泉氏の本音がよくあらわれている引き際であった。

せんそうぜつめつうけあいほうあん
戦争絶滅受合法案
(デンマーク陸軍大将フリッツ・ホルムが起草し,1929年に長谷川如是閑が紹介したもの)

「戦争行為の開始後又は宣戦布告の効力の生じたる後、十時間以内に次の処置をとるべきこと。即ち下の各項に該当する者を最下級の兵卒として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わしむべし。

一、国家の元首。但し君主たると大統領たるとを問わず、尤も男子たること。
二、国家の元首の男性の親族にして十六歳に達せる者。
三、総理大臣、及び各国務大臣、並びに次官。
四、国民によって選出されたる立法部の男性の代議士。但し戦争に反対の投票を為したる者は之を除く。
五、キリスト教又は他の寺院の僧正、管長、その他の高僧にして公然戦争に反対せざりし者。

上記の有資格者は、戦争継続中、兵卒として召集さるべきものにして、本人の年齢、健康状態等を斟酌すべからず。但し健康状態に就ては召集後軍医官の検査を受けしむべし。
以上に加えて、上記の有資格者の妻、娘、姉妹等は、戦争継続中、看護婦又は使役婦として召集し、最も砲火に接近したる野戦病院に勤務せしむべし。」
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