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 東京での転院受け入れ拒否による妊婦死亡事件は,本当に悲痛な事件である。
 亡くなった方と,ご遺族には,ご冥福をお祈りしたい。

 この件では,早速,「医師不足」が原因だ!と大声で叫ばれているが,本当にそうなのだろうか。
 もちろん,原因の一つであることは間違いないだろう。
 「緊急搬送システム」が不十分だった,という指摘もある。
 確かに,それも原因の一つに違いなかろう。

 しかし,むしろ大きな原因は,安直に「責任追及」に走る傾向にこそあると思う。

 受け入れを拒否した病院として,最終的に受け入れをした都立墨東病院ばかりが取り沙汰されているけれども,他の7病院は,「慶応大病院」,「日赤医療センター」,「順天堂医院」,「東京慈恵会医大病院」,「東京慈恵会医大青戸病院」。「日大板橋病院」,「東京女子医大東医療センター」
 どこも名だたる大病院ばかりではないか。
 しかも,しかも・・・
 今回の事件が起きた場所は,日本中でずば抜けて医師数が多い「東京」での出来事である。

 事故後,世間の目は,早くも「責任追及」モードに走っている。
 かかりつけの病院の記者会見が行われた。
 この会見には,私の同期同クラスの弁護士も立ち会っていた。
 彼は医療事件の専門家である。
 つまり,病院では,すでに医療過誤の責任の問題を強く意識しているのである。
 これに対し,墨東病院も,石原都知事を先頭に,責任問題について必死の弁明をしている。
 (今流行の「リスク管理」の姿勢からすれば,当然の対応であろう。うちの事務所も,医療事件については,病院側の立場で仕事をしているので,その状況はよく分かる。)

 しかし,責任追及や訴訟などは,被害者の救済や医療過誤の防止にはあまり役立たない。
 Defensive Medicineという言葉がある。
 Defensive Medicineというのは,「主に医療過誤の賠償責任にさらされる危険を減ずるための医師の対応。あるいは,医療過誤の賠償責任にさらされる危険を減ずるためにリスクの高い患者の診療を忌避すること」と定義されている(『アメリカ医療の光と影』李啓充医師著より)

 日本でも,まさにDefensive Medicineが,蔓延しているのだろう。
 ほとんど全ての医師は,「人の命を助けたい」「人の役に立ちたい」と思って,医師の職を選んでいるのである。
 その医師を,単なるサービス業のように軽く取り扱い,責任ばかりを追及をしてきたところにこそ,原因があるのではないだろうか。
 安直に人数を増やせばいいとか,施設を増やせばよいとか,コンピュータシステムを作ればよい,といった対策や提言は,「医師」そのものの職業人格的存在を軽視しているのではないか。


 今,必要なのは,やみくもに医師の責任を追及する前に,職業人として頑張っている医師を尊重することだと思う。
 このような土台があってこそ,積極的かつ果敢に命を救おうとする医療行為が期待できるのであり,自ら進んで事故の原因を突き詰める医師倫理が期待できるのだと思う。
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