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 平成20年11月22日に東京大学で開催された日本災害復興学会で私が発表した
    災害復興憲章試案
です。
(説明については,別に書きましたので,そちらをご覧下さい。)

災害復興憲章 試案

 我々は,幾多の大規模自然災害に遭遇し,これを乗り越えようとする過程の中で,多大な犠牲を代償に数多くの貴重な教訓を得た。しかし,地球規模で大災害が続発する中,災害列島たる国土で暮らす我々に突き付けられた課題が尽きることはない。たとえ我々が防災・減災に力の限りを尽くしても,現実に発生する被害は避け難く,災害後の復興への取り組みを忘れてはならない。
 自然災害によって,かけがえのないものを喪失しあるいは傷付けたとき,我々の復興への道のりが始まる。我々は,国際化と情報化が高度に進化しつつも,成熟した現代社会が,災害の前では極めて脆弱であることを強く認識した。被災地に生きる人々と地域が再び息づき,個の尊重と幸福追求等をうたった日本国憲法の理念が活きる恊働の社会をかたち創るため,復興の理念と内実を明らかにするとともに,必要な法制度を整備し,生活・経済・福祉・環境・文化・コミュニティが発展ないし持続することを希求し,ここに災害復興憲章を宣言する。

第1条 復興の目的
 復興の目的は,自然災害によって喪失・損傷したものを再生するにとどまらず,日本国憲法に定めた諸々の価値の実現を図り,もって復興の対象を活性化させるところにある。

第2条 復興の対象
 復興の対象は,公共的施設等に限定されるものではなく,被災地にかかわる人間と,被災地域で喪失・損傷した全てのものに及ぶ。

第3条 防災施策等との連続性
 復興は,我が国の防災施策,減災施策,災害直後の応急措置,復旧措置と一体となって図られなければならない。

第4条 復興の責任
 復興は,国及び地方公共団体の本来的責務であることは言うまでもないが,被災地の市民の自立的活動に負うところも大きく,両者が共に恊働することが求められる。

第5条 復興の手続
 復興は,迅速かつ的確な復旧と,被災地の民意の反映との調和が必要であり,復興の手続きは,この調和を損なうことなく,簡にして要を得た透明性のあるものでなければならない。

第6条 復興の情報
 復興には,被災者及び被災地の自律的な意思決定の基礎となる情報が迅速かつ適切に提供されなければならない。

第7条 復興の財源
 復興に必要な費用は,公共性の程度に過度にとらわれることなく,復興の目的に資するものか否か,また,自立の基礎部分の再生を図るために必要か否かを基軸とし,国及び地方公共団体は,常に必要な財源の拡充に努めなければならない。

第8条 市民の役割
 被災した市民は,復興が自らの尊厳と生活の再生を図り,生活基盤となる地域を活性化させることが基本となることを自覚し,日本国憲法に明示した人権を実現するための不断に努力する。

第9条 国及び地方公共団体の役割
 復興の公的施策について主たる実施責任を負うのは被災した地方公共団体であり,その責務を果たすために必要な諸施策を市民と恊働して策定するとともに,国は被災公共団体を支援・補完する責務を負う。

第10条 ボランティアの役割
 復興において,民間ボランティアの活動は不可欠であり,行政及び市民との連携を充実させるとともに,その活動の本質が自律性にあることに配慮し,行政はボランティアの自律性を損なうことなく活動への支援に努める。

第11条 医療,福祉等の充実
 医療及び福祉に関する施策は,平時から被災時を想定して拡充し,災害時の施策制定及び適用等には被災状況に応じた特段の配慮をしなければならない。

第12条 経済産業の再生
 復興のための特別な経済措置及び産業対策は,平時の施策に過度にとらわれることなく,復興に資するように策定,実行されなければならない。

第13条 環境の整備
 復興において,被災者と被災地の再生に寄与し,地球規模の防災・減災に効果的な環境整備に努めなければならない。

第14条 コミュニティの活性化
 復興において,行政及び市民は,被災地の地域コミュニティの価値を再確認し,これを再生・活性化させなければならない。

第15条 文化の向上
 復興により得られた教訓は,我が国の文化として根付かせ,教育に反映させなければならない。

第16条 復興理念の共有
 復興は,ひとり被災者・被災地に限定された課題ではなく,我が国の全ての国民・地域が共有すべき問題であることを強く認識し,常に広く復興への思いを強く振作するよう意識を高めていかなければならない。
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