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 平成20年11月22日(土)~11月23日(日)にかけて,
 東京大学武田先端知ビル武田ホールにおいて,
 日本災害復興学会2008年度大会
(実行委員長;田中淳・東京大学大学院情報学環・附属総合防災情報研究センター長)
が開催されました。
 今年1月に発足したばかりの新しい学会ですから,実質的には第1回目の大会です。

 私としては,「学会」と名の付く会合への生まれて初めての参加となりますので,どんなものだろうかという好奇心的興味が先に立ちます。

 日本災害復興学会は,自然災害に遭った被災者・被災地との交流を図りながら,我が国の復興のあり方を アカデミックに検討することを目的とする学会です。

 今回は,次のようなプログラムでセッションが行われました。

[第1部] 復興法制度
 ■山崎栄一   被災者支援法制論の方向性
 ■津久井進   復興理念の明文化の試み~災害復興憲章試案
 ■永井幸寿   災害救助法の実務の問題点
[第2部] 自由論題1
 ■渥美公秀 中国・四川大地震に対する社会的反応(第2報):災害復興への論点
 ■菅磨志保 大規模災害後のくらし再建を支援するコミュニティビジネスに関する可能性と課題――日常生活の循環の回復に焦点を当てて
 ■関 嘉寛 減災コミュニケーションにおけるワークショップ
 ■高森順子 災害体験者手記のディスコース分析
 ■宮本匠 創発する復興~新潟県中越地震における川口町の復興過程について~
 ■矢守克也 災害復興における「立て直し」志向と「世直し」志向
[第3部] 自由論題2
 ■高橋和雄 福岡県西方沖地震で被災した玄界島の復興としまづくりに関する調査
 ■紅谷昇平 長期復興指標による被災地の復興状況の評価-阪神・淡路大震災を事例に-
 ■吉田澄弘 災害時の復旧から復興における交通網の位置付け
 ■照本清峰 台湾921地震後の復興過程において中間支援組織が果たした役割
 ■林 大造 2006年ジャワ島中部地震における住宅再建制度と住民間相互扶助
 ■青田良介 スリランカ南部における津波災害後の住宅再建の変遷と課題
 ■落合知帆 インドネシア、ムラボーの仮設住宅における生活環境とニーズの変化について
[第4部] 首都直下地震セッション
 ■市古太郎 震災復興まちづくり模擬訓練を通した地域復興組織イ メージの事前形成可能性-練馬区桜台地区の事例から-
 ■濱田甚三郎 仮設市街地の実現に向けて-仮設市街地をめぐる論点と研究会の考え方
 ■加藤孝明 復興状況イメージトレーニングの必要性と首都直下地震復興の課題
 ■永松伸吾 首都直下地震による復興需要の推計とマクロ経済シナリオの作成
 ■佐藤慶一 複合データに見る首都圏の市街地状況~首都地震の被害想定との分布比較~
 ■饗庭伸 容積率指定に着目した東京の都市復興に関する研究
 ■山田美由紀 仮設主体から本設主体の住宅復興:マルチハビテェ‐ション復興論 その1
 ■佐藤隆夫 仮設主体から本設主体の住宅復興:マルチハビテェ‐ション復興論 その2
 ■佐藤隆夫 災害復興まちづくり支援機構の活動報告

 ・・・・このとおり,論文発表だけで実に25人と実に盛りだくさんの内容でした。
 そうなると一人あたりの報告時間は12分だけと限られます。
 私なども,前置きだけで10分かかって,肝心要の「災害復興憲章試案」の説明は,前文をちょっと話しただけで終わってしまいました(前置きが長いのはこのブログと同じで,私の悪弊ですね。)。

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 23日の午後には,二代目中村吉右衛門さんがゲストとして出演して,
 「江戸に学ぶ災害文化」
と題する特別セッションが行われました。
 中村吉右衛門さんは,「鬼平犯科帳」の長谷川平蔵がはまり役で著名な歌舞伎役者さんですが,長谷川平蔵は,自然災害で飢饉を迎えたときにわずか3ヶ月で,被災した町民のために人足寄せ場を向島に作り雇用需要に応えたというエピソードもあるそうで,災害文化を語るにふさわしい方でした。
 NHKの解説委員の山崎さんが聞き手を努めて,トーク形式で進められました。
 中村さんは「江戸の文化は,いかに人を大切にするか,人を慈しむか,というところが心に感動を与える。それは江戸も今も変わらない。」という一言が,災害復興のマインドに通じるものがあると感じました。
 最後に「命は大切なもの。災害に対して常に考えないといけない。学会もこれからも長く頑張っていただきたい」とのエールもいただきました。

 そして最後に,防災問題の第一人者である室崎益輝さん(当学会会長)と,「日本災害史」の著者である北原糸子さんが登壇して,江戸の災害文化を振り返ってその意義や教訓などを語り合いながら,来たる日の首都大災害について議論がなされました。

 全体の感想です。

 まず内容の充実,円滑な進行,活発な議論ということで,大成功だったことは間違いないと思います。

 個人的には・・・・,これまで,復興に直接役立つものは何か,被災者のためにどんな制度や法律が必要か,ということを考えてきて,それを考えるのが当たり前だと思っていた私としては,法学だけでなく,経済学,社会学,心理学,都市計画学,工学等々の専攻の方々が,同じ「復興」という課題に対して,これほどまでにいろいろ違った切り口で,違った知識経験に基づく考察で,違った表現方法であらわされるのか,という異文化との遭遇により,これまで感じたことのない刺激を受けました。

 ところで,淡々と,次々に発表を続けていくというスタイルは,学会のスタイルとしては普通なのだそうです。
 しかし,参加者の意識が高いためか,発表を聞いて刺激を受けていろいろ言いたいことが沸き上がってきたためか,会場からは,たくさんの質問や意見も出ました。
 学問的興味からの質問や,反論的主張の意見も多くありましたが,全体としては,学界全体に「被災者の声」をいかに反映すべきか,その点の配慮はどうだったのか,といった意見が多かったように感じます。

 「この学会に集まるものは,手法・表現・実行の方法はバラバラだけれども,思いは同じ
という感覚を共有したいという欲求のあらわれではないかと感じました。
 まだまだやるべき課題はたくさんあるのだろうと思います。

 こうして様々な意見が出たのも,個々の発表に対する意見と言うよりも,この学会の意義やあり方について建設的意見が百出したと言う見方もできるでしょう。
 すなわち,それだけこの学会に寄せられる期待の大きいのだ,ということを感じました。

 次は来年秋,新潟中越にて,国際大会が開催される予定です。
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