裁判員裁判の対象事件の中に,性犯罪があります。

 平成19年度の統計によると,
   強姦致死傷       286件
   強制わいせつ致死傷 168件
   強盗強姦        129件
   集団強姦致死傷     23件
   小計           606件
という数です。
 決して少なくない数字です。

 ところが,裁判員裁判の選任手続では,被害者の氏名が候補者に知られてしまう可能性があるようです。
 読売新聞の九州版2009年5月6日の記事(→こちら)によると,
 裁判員は事件と無関係でなければならず、数十人から約100人の候補者に被害者の氏名などを伝えることになる。
 選任されなかったほとんどの人は、裁判員法が定める守秘義務を負う必要がない。
 被害の経験者からは「制度が始まると、ますます被害を訴えにくくなる」との声も上がっている。
とのことです。

 なんとか配慮できないもんでしょうか。

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 私が愛読する福岡若手弁護士のblogでは(このブログは,実務弁護士の率直な視点から,様々な事件をストレートに喝破します!ちなみに,4人の「若手?」のうち,一人気を吐いて更新を続ける「ろぼっと軽ジK」さんは,私と修習同クラスのKさんです。),2ちゃんねる等を通じて,この手の情報が,流布してしまうのではないかという具体的な懸念も出されています。

 既に,刑事訴訟法では,たとえば次のような配慮規定があります。
第290条の2 裁判所は、次に掲げる事件を取り扱う場合において、当該事件の被害者等(被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、被害者特定事項(氏名及び住所その他の当該事件の被害者を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

 憲法で保障された公開の法廷でさえ,非公開とすることができるわけですから,裁判員の選任手続においても,一定事件については,被害者との利害関係の有無についての辞退事項は,後回しにするなど別扱いできるのではないでしょうか。

 裁判員制度が始まる前に,この種の対応は,早くやっておくに限ります。
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