NHKの「日本の、これから 核」を見ながら,思ったことを,いくつか,つらつらコメントします。
 徳岡宏一朗弁護士のブログの方が格上なので,後で引用しますから,そちらもどうぞ。

◇核武装論者は,とても理想主義に傾倒しているように見えた。
 日本に核があればヒロシマ・ナガサキはなかったはずだ,という空想的意見には驚いた。


◇生活目線で話をしている人と,経済合理性を説明している識者には,とっても共感を覚えた。
 やっぱり,目に見えて形があり,具体的にイメージできるところから議論しないと。
 そういう点で,市民派の意見の方が,説得力で勝っていた。


◇右翼的コメンターが,中国人の人のコメントに目くじらを立てて横槍を入れたのが見苦しかった。
 ウヨクの中韓嫌いは分かっていたが,三宅アナに柔らかく制止されるのをみて,理性の重要性を感じた。


◇核の傘の要否について,識者のコメントが最も現実的に聞こえるように持っていったのには作為を感じた。
 識者の中で,良いことを言っていたと思うのは,志方さんの明確な核廃絶指向と現実のギャップ論,星野知子さんの率直な戸惑い(=誰よりも,とても市民的だった)だ。


◇路上インタビューで,大阪の女の子が,「やられたらやりかえす」という素朴なコメントをしていたのが失笑を買い,その後も何度か取り上げられていた。
 結局,そこが核必要説の根源なんでしょうね。麻生総理の広島式典での核の傘必要コメントも同質。


◇うちの徳岡さんは根源的なところや原理原則で議論をしようとしていて,やはり弁護士だと思った。
 また,お玉さんは,普段から超右・超左の交通整理に長けている上,ややこしいコメントにも一生懸命対処しているせいか,よく人の意見を聴こうとする「対話」の姿勢に優れていた。


 いやあ~面白かった。

 以下は徳岡さんのブログ(→こちら)の転載です。
        ↓
決して実現できない真夏の世の夢ー日本国核武装
2009年08月16日


 タカ派にも親米派と反米派があって、親米派の核武装論者の出演者(元自衛隊幹部、という名札の方)は、米国との核兵器の共用を主張されていましたね。

 核兵器の「共用」といっても、どうせ、米国に利用しつくされるだけの、みじめな下駄の雪になるのが落ちなんです。

 戦闘機やイージス艦でも、高い金で買っても、ブラックボックスはあけてくれない米国です。対等な友人ではない。軍事的には、自衛隊はアメリカ軍の一部で、パートナーではない。

 今の米軍基地に年間何千億円も「思いやり予算」を支払わされ、一部グアムへの移転の費用を1兆円単位で支払わされる予定。役に立たないミサイル防衛システム(MD)を1兆円で買わされ、毎年1000万円の割賦払いです。
 なのに基地の米軍兵が日本で行う悪行ときたら、たいへんなものです。

 元自衛隊幹部の方は、アメリカ軍の一部として動く自衛隊の催眠術(飼い犬根性)が解けずに、がんじがらめになっておられました。


 むしろ、日本独立派の核武装論者は潔い覚悟です。自分の国は自分で守る。

 でも、実現不可能ですね。

 核兵器を作るプルトニウムは日本に数千発分もあるそうです。核開発技術も十分ある。

 だけど、核実験、どこでやるんですか?狭い日本列島で地下実験をするんですか?老人ホームを作るのにも苦労する小さな国で、地下核爆発実験、できませんよね。
 論理矛盾承知でアメリカのコンピュータのデータをもらうとしても、最後には実際に実験しないと信頼性は得られないのが兵器というものです。

 作るところから、大問題です。それともアメリカが売ってくれるとでも思いますか?

 核兵器は開発、製造、保管のシステム維持に莫大な費用のかかる軍需産業にはおいしい兵器です(アメリカが60年余りで1兆ドル=100兆円)。
 そんな、道路でさえ無駄なのに、兵器は何の役にも立ちません。景気対策にもならない無駄金を使う「核武装プロジェクト」に、国・地方合わせて1000兆円以上の財政赤字に悩む日本が取り組めるわけがない。

 さらに、日本政府はこれまで、国際社会で、核不拡散防止条約(NPT条約)を推進し、口先だけですが、核兵器廃絶を目指してきた。
 それが、急にNPT条約を脱退する、核武装するといったら、北朝鮮と同類の国家だと思われますね。継続的な一貫した外交政策を実行できないと思われ、国際社会での信頼を決定的に失います。

 北朝鮮はもちろん、日中、日韓、日台の緊張は高まるでしょう。

 しかし、日本は、輸入国としての中国の成長力に大いに頼っていて、日米間より日中間のほうが貿易規模はすでに大きくなっています。
 もうすぐ両国の貿易規模は30兆円になります。 そんな中で、核武装したりしたら、日本の株価は大暴落。すべての景気対策は無駄になり、これまで経験したことのない、長く暗い大不況時代が到来するでしょう。

 タカ派、ネットウヨクの人には、中国嫌い・米国嫌いが多いのですが、今はアメリカ・中国・日本は持ちつ持たれつです。欠くことのできないトライアングルです。中国を嫌いな理由はわかりますし、中国が自由と人権、他民族尊重の国になるように私も願っていますが、現実には今回の経済危機にしても、中国経済のバブル気味の回復で日本や世界が助けられているのです。

 核武装論が、一般市民からは異様に見えるのは、核の惨禍を他国になら経験させてもよい、という荒廃した精神とともに、中学生ならわかりそうな簡単な理屈も見えない判断能力にあるのでしょう
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