神戸の被災者は,4度目の流浪の憂き目に遭うかも知れない。

  ・自宅を被災で失い(1度目),
  ・長く生活した避難所から立ち退き(2度目),
  ・数年経って仮設住宅から追い出され(3度目),
  ・復興公営住宅に入ったものの,ここも終の棲家ではなかった(4度目)
ということなのである。

 神戸市が「第2次市営住宅マネジメント計画」を策定している。

 簡単に言うと,
      神戸市の会計の健全化のため市営住宅を減らしていく(統廃合)
ということである。

 お金がないのはよく分かる。
 だけれども,一つの槍玉に挙がっている「借り上げ住宅」を無くしてしまうのは,実にもったいない。

 「公営住宅」というと,市営住宅を思い出すかも知れないが,
 震災の時には,民間等の住宅を市が「借り上げ」して,市営住宅として提供する
 という仕組みが作られて,復興にたいへん寄与したのである。

 公営住宅法も次のとおり被災者向けに改正されて,
   1 市にとっては建築費が浮く
   2 所有者にとっては(市からの)安定家賃が期待できる
   3 住人にとっては,安価で良質の住宅に住める

ということで,一石三鳥の大岡さばき並みの,ウルトラCだったのだ。

公営住宅法 第23条 1項2号ロ
 公営住宅が(中略)激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第22条第1項の規定による国の補助に係るもの(中略)において事業主体が災害により滅失した住宅に居住していた低額所得者に転貸するため借り上げるものである場合 → 災害により滅失した住宅に居住していた低額所得者の居住の安定を図るため必要なものとして政令で定める金額以下で事業主体が条例で定める金額


 公営住宅法は,

第1条  この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。


と定めている。
 まさに,憲法25条を具体化して,居住の自由(憲法22条)を実質的に保障するものだ。

 平成18年に新設された「住生活基本法」でも,

第6条  住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進は、住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であることにかんがみ、低額所得者、被災者、高齢者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られることを旨として、行われなければならない。


としている。

 神戸市としては,
   ●最近の政府の方針で,間もなくヒモ付きの補助金が廃止され,
   ●地方に対する国の資金援助が,一括交付金という形になるため,
   ●公営住宅(という,儲からない事業)の負担を軽減し,
   ●もっと有益(儲かる)事業にお金を使いたい
という時代を先読みした考えなのだろうけれども,どうなのだろうか。

 いつまで経っても,終の棲家を得ることのできない被災者の方々のやりきれない心情を想像すると,なんともしっくり来ない話である。

(ちなみに,同じように借上公営住宅を抱えている「兵庫県」は,神戸市ほど徹底した合理化を考えておらず,まずは被災者住民にアンケートを取るなどして,ソフトランディングを考えているとのこと。)
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