2010.09.29 疾走
IMAGE_458-2.jpg 友人に勧められて読んだ重松清の「疾走」。

 今から7年以上前の作品だが,
 もし7年前に読んでいたら,
 少年事件や刑事事件で向き合う人々に対する私の姿勢は少なからず変わっていたかも知れない。

 友人も,この1冊が,人生に大きな影響を与えたと言っている。

 ネット上の書評を見てみると,
 実に多くの方々が,激しく心を揺さぶられ,
 喘ぐような重々しい感想を綴っている。

 そうだろうなぁ,心が揺さぶられるだろうなぁ,と感じる。
 もちろん,私も,激しく心を打たれた。


 「こんな苛烈な話は,現実にはあり得ない」というぐらいの,激烈な少年の半生記ではあるが,
 この長編小説に織り込まれているエピソードは,
 どれもこれも,巷にあふれている「現実にあり得る話」ばかりだ。
 不幸な出来事を数珠のようにつないでいくと,こんなふうになってしまうのだろう。

 そのように想像すると,主人公シュウジや,エリの心情に共感を覚えざるを得ない。


 新聞紙上を賑わす犯罪について,その皮相だけ見て,野次馬的に背景をさぐろうとする薄っぺらさを,私たちは反省しなければならないと強く思った。 


 この作品は,重松清さんの作品のうちで,異質だという意見も多いようだ。
 ただ,
   「孤独」と「孤立」と「孤高」
   「ひとり」と「ふたり」と「ひとりとひとり」
   「ひととのつながり」
というテーマは,以前にこのブログで紹介した「青い鳥」と共通している。


 この本について「あまりにも救いがない」という感想の方も多いけれども,現実の世界には,もっと救いのない人が多くいることを知っているだけに,私は,この本の中に救いのヒントが満載されているのではないかと思っている。

 興味があったら一度手にとって欲しい。
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