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 今日,神戸のYWCAで「秘密保全法」についてミニ講演をします(→こちら)。

 あらためて勉強してみると,現時点で,「秘密保全法案」の問題点を強く指摘しているのは日弁連ぐらいで(→こちら),マスコミをはじめ論評少なく,あまり大きなうねりになっていないようです。

 かくいう私も,これまであまり頑張ってきませんでした。
 なので,反省の気持ちも込めて,私流でポイントを簡単に書き残しておきます。

 まず,「秘密保全法」って何なのか?
  そもそも,法案それ自体が,ヒミツです。

  だから,
     その法案をきちんと批判することもできないし,
     その内容を語ったり考えたりすることさえできない,
 というのが現状です。

  ヒ・ミ・ツのヴェールに包むと,民主主義の本質である「熟議」も「自主」も無効になります。

  国民主権を骨抜きにするのに,ヒミツというはとても便利なので,政府にとっては素敵な道具です。

  国会でも,かなりの重要法案が,ドサクサまぎれにササッと通過してしまいます。
  昨年も,原子力基本法に「安全保障」を盛り込んだり,宇宙航空研究開発機構法から「平和目的限定」を取り払ったりする法改正が,国会議員の多くも知らないうちに瞬時にかすめ取るように実行されたドタバタ劇がありましたが,そういうやり口も秘密裏に進めるからこそできること。

  憲法の無力化(立憲民主主義の否定)に躍起になっている方々としても,秘密保全法制は,どうしても欲しいアイテムでしょう。



 「秘密保全法案」の中身は,3本柱です。

 (1)行政機関が「特別秘密」を指定します。
    国にとって重要な「安全」と「外交」と「公共の安全と秩序の維持」に関するものをヒミツにします。
    こりゃぁダメだと思うのは,
       第1に,行政機関が恣意的に指定できること(都合が悪けりゃヒミツできちゃう
       第2に,あまりにあいまいで広すぎること(何でもかんでもヒミツにできちゃう
       第3に,国民の命や生活が害されること(原発事故の情報隠匿もOKにできちゃう

 (2)情報に関わる人の「適正評価」をします。
    適正評価って言っても,学歴,経歴はもちろん,行動歴,渡航歴,信用情報,精神病歴,交流関係(「本人の身近にあって本人の行動に影響を与えうる者」)まで調べます。
    それじゃあ,思想良心の自由の侵害でしょう。
    興信所だって,そこまで調べません。
    調査に名を借りて「通信の秘密」(憲法21条2項)が侵害されるかも。
   (国家のヒミツのために,国民の秘密の権利が損なわれれば,本末転倒だ!)

 (3)犯罪対象を広げ,かつ,重罰化します。
    秘密情報の漏えい者だけじゃなくって,これに関係した人も,「教唆」とか「扇動」という名目で取り締まります。
    話し合っただけの人も「共謀」で,一度考えて思いとどまった人も「未遂」で逮捕できます。
    私たちが気楽に居酒屋で談笑していたことが,場合によっては犯罪になるということです。
    懲役5年以下とか10年以下という刑の重さを予定していて,いきなり実刑もあり得ます
    こわいです。

 普通に考えて,ちょっと「ありえない」ように思えるかも知れませんが,次の国会に上程される見通しです。


 だいたい,私は「ヒ・ミ・ツ」ってこと自体,すごくアヤしげに思うのです。
  私たちが,ヒミツにするのは,
     「都合が悪いこと」(悪事や不正,知られると批判や邪魔されそうなこと)
なのではないですか。

  企業秘密とか,他人への迷惑を気にする場合はあるでしょうけど,それは個別に対処可能。

  少なくとも,国家の政策に関わることは,重要であればあるほど,主権者たる国民に情報を開示しないといけない。それが,日本のスタンダードルール(憲法の基本)でしょう。

  「ヒミツ」のレッテルを貼ることで,
    どうでもよい情報も値が高騰し(たとえば,個人情報保護の過剰反応の愚かさを見よ!),
    風通しが悪くなって空気がよどみ(たとえば,閉塞感の元凶の一つが情報隠し),
    ヒミツがヒミツを呼ぶ(ウソにウソが重なるようなもの),

ということでロクなことがありません。

  加藤周一さんは,平成12年1月27日の第150回国会参議院憲法調査会に参考人として呼ばれて,ヒミツについて,次のように言いました。
 「ヒミツ」という括りで,平和主義と,人権尊重と,国民主権の関係を見事に語っておられます。

○参考人(加藤周一君) 国民主権というのは民主主義の根拠でしょう。民が、人民が主であるということですから、主権であるということで、国民主権は民主主義ですね。軍隊は大抵の国が持っているわけで、日本も持っていたわけですが、軍隊というのは最も非民主的な組織なんですよ。だから不要だということにならないですよ、必ずしも。それは短絡だと思いますよ。別の検討は必要だけれども、とにかく民主主義的な組織ではないわけね、政府の中で。
 官僚組織の中で最も非民主的なのは軍隊ですよ。なぜなら、秘密が必要だということもありますね。それから、戦争は最も大規模な国家権力による人権の破壊ですよ。ですから、関係は非常に密接なわけ。平和主義はいわば人権を尊重するために非常に大事な前提なんですね。そしてまた、平和主義は民主主義を保障するために非常に大事な条件なんですよ。なぜならば、軍隊なしに戦争できないから。それで、軍隊というのは最も非民主主義的な組織ですからね。だから、その三つのものは関連しているので、だから平和主義は大事であるというふうに私は言ったんですね。



 もひとつ,加藤周一さんの語りの中で,
 アメリカ人のI.F.ストーンの言葉で「すべての政府は嘘をつく」という言葉がよく引用されました。
 「ウソつき」の社会的傾向ががあるのを知りながら,「ヒミツ」の抜け道を,与えてはいけません。





 憲法には3箇所「秘密」という言葉が出てきます。
  一つは,通信の秘密
  2つは,投票の秘密
  もう一つは,国会の両議院の秘密会(憲法57条)です。

 出席議員の3分の2以上の多数議決がないと,秘密会は開けないということです。
 また,秘密会の議事録は,後日公開することになっています。

 憲法は,「国民の秘密」は守るけれども,「国の秘密」は原則ナシとしているのです。

 秘密保全法は,真っ向から憲法に反するものです。絶対,成立させてはなりません。
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