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2011.11.10 やっぱ年賀状
 最近,ツイッターとかフェイスブックとか,新しいインターネット媒体に手を出してみたところ,なかなか面白い。

 こうしたSNSというのには抵抗があったのだが,やはり拡がるだけのシステムの魅力があるようだ。

 ITを利用したコミュニケーションツールとして,これまで,ホームページ,掲示板,ブログときて,いちおうそれぞれちょっとずつかじって見たものの,どうしても長続きしないのが自分の限界。

 さすがに,メールとかグループウェアは,仕事上の必要があるから続いているが,これは必ずしも楽しいもんではない。

 こうしてみると,年に一度の年賀状っていうのは,なかなか優れたコミュニケーションツールではある。
 相手の顔を思い出しながら発送したり,受け取った賀状の名前を見るだけで楽しい。
 あいにく今年は喪中で年賀状は出さないのだが,何らかの挨拶をしたいとあれこれ計画中である。
 こうしてじっくり計画を立てるのも,また楽しい。
 友人が亡くなった。

 家族ぐるみのお付き合いもあって,突然の訃報に言葉を失う。

 彼はあまりにも若すぎる。

 同年代で,同年代の妻や子どもたちを遺して逝ってしまった。

 親より先に逝ってしまった。

 通夜の席,遺族となった彼女らを直視し,どんな思いで参列しているかと想像する。

 しかし,こういう思索は,いろんな思いと絡み合ってしまい,なかなか前に進まない。

 自分の姿に重ねて考えてみようとした。

 しかし,こうした思考を家族の存在が拒絶する。

 読経の響く中,重たい夜を過ごす。

 Hくん,どうぞ安らかに。
 津谷裕貴先生がお亡くなりになって明日で1年目を迎える。

 無念の思いは未だに続く。


 一周忌に際して,記念シンポジウムが開催され(→こちら),追悼論文集も発刊された(→こちら)。

 今なお,津谷先生の死を惜しみ,社会を問う動きは熱い。

 私も感じた。
 とにかく津谷先生の「思い」を受け継いで,誉めてもらえるような良い仕事をしていくぞ。
 それこそ,最善の供養である。
 そんな思いを新たにした日であった。
(特に共感したのは荒井弁護士のブログ→こちら

 ところで,津谷先生が,地元のヒューマンクラブというところで講演されたことがあり,その講演録を目にした。

 演題は「法律・写真・ワイン」という,大々自己紹介のような講演だったのだが,それだけに,御本人のお人柄がよく伝わってくる。

 今日は文化の日。
 「文化」について講演録には,次のようなくだりがある。

 
 弁護士の仕事は,本質的に人を幸せにすることだと私は考えています。・・・(中略)・・・
 文化とは,何のためにあるのだろうという話で,結局それは,人を勇気づける,元気づける,そして幸せにするためにある,と。
 これと同じことが,私の原点であったし,改めて,きちんと自覚しなければいけないと思っています。
 最初に申し上げました様に,死ななければいけない,どうしようかと,真っ暗な気持ちで私の法律事務所のドアを開けた人が,帰るときはほっとして希望を持って帰れるようにしたい,と心がけて仕事をしております。


 あらためて津谷先生のお考えに共感した。

 「文化」も「法」も,人の希望や幸せのためにある。
 文化の日(11/3)と憲法記念日(5/3)はワンセット,という話をしたことがあるが,それは「人の希望や幸せ」という目的を同じくしているからでもある。

 津谷先生を前にして恥ずかしくない仕事をしていこう。
 「君が代」斉唱時に起立しなかったため,停職処分を受けた教師の処分取り消し訴訟で,原告敗訴の判決が,最高裁で見直される見通しになった。
 (→ニュースはこちら

 これまでの君が代斉唱不起立をめぐって,思想良心の自由に反するかどうかが争われた事件がたくさんある。
 最高裁の判断は全て合憲判決で,原告側の敗訴で終わっている(以下のとおり)。

        2007年2月27日(第3小法廷) 戒告
        2011年5月30日(第2小法廷) 戒告
        2011年6月6日(第1小法廷) 戒告
        2011年6月14日(第3小法廷) 戒告
        2011年6月21日(第3小法廷) 戒告
        2011年6月21日(第2小法廷) 命令無効確認(却下)※1
        2011年7月4日(第2小法廷) 戒告
        2011年7月7日(第1小法廷) 威力業務妨害罪(有罪)※2
        2011年7月14日(第1小法廷) 戒告

   (※1は仮処分事件,※2は刑事事件なので,ちょっと違う。)

 要するに,これまでの判決は,全て「戒告」処分だったのだ。


 今回の事件は,停職処分ということで「重い」処分だった。
 これを見直すということである。

 きっと,懲戒処分を科するとしても,せいぜい「戒告」止まりで,「停職」は行き過ぎだ,という判決になるのだろう。


 それはそれで,社会的にみれば,落ち着きやバランスとしては妥当なのだろう。

 ただキモチワルさが,かえって引き立つような気がしてしまう。

 「戒告」というのは,「いましめる」処分であるが,「いましめ」の語意は「しばる」ということである。
 つまり,「心」を「しばる」懲らしめなのだ。

 起立行為拒否という客観的・外形的な所作に対する,「しばりという心への懲らしめ」は許されるが,停職という客観的・外形的な処分はダメということ。

 最高裁判決の論理は,「起立斉唱行為は,学校の儀式的行事における慣例上の儀礼的な所作として外部からも認識されるものであって,特定の思想又はこれに反する思想の表明として外部から認識されるものと評価することは困難」ということだったはず。
 つまり,所作(行為)の外形にのみ着目して,処分を科すというところが最高裁の理屈の核心だったはずである。


 今回の見直しが,
    「外形的所作の問題」 ← 外形的な減給処分
 だったものが,
    「思想・良心の問題」 ← 心に対するこらしめ
という形に変わるのであれば,軽くなって良かったという側面よりも,「目には目を,歯には歯を」の延長線上で,「心には心を」という傾向がくっきりと対照され,心に対する呪縛,委縮の効果が一層高まってしまうのではないか,という違和感を覚えてしまうのである。


 とはいえ,まだ判決が出ているわけではない。
 ちょっと先走り過ぎたかもしれないので,もうしばらく見守ることにしよう。

touden.jpg
 東電は,全国6万人の被災者に向けて,原子力損害賠償の請求書類の一式を送付しました。

 請求のご案内だけで150ページ以上と膨大です。
 記入方法に迷う項目も多く、複雑で煩雑なものです。


 今回の直接請求の手続きは,東電独自の損害賠償基準に則ったものです。

 手続きの流れは,左の図のようになっています。

 しかし,そもそも,この基準自体に問題が多く,手続きも問題です。

 こうしたわけのわからないまま,ケムに巻くようにして大方の示談を取りつけていくという手法は,日航機墜落事故でも,JR福知山線脱線事故でもとられた方法で,準公的な大企業が集団的な被害をもたらしたときに,早期解決を図ろうとして,必ず持ち出す常套手段です。


 原発の被害者の方々に向けて,これだけは気を付けてネ!という3点のご注意を申し上げます。


1 わけがわからないままサインをしないこと!!
  ちゃんと理解,納得するまでハンコは押さない。


2 分からなかったら,弁護士などの専門家のアドバイス・助力を得ること!!
  全国各地に弁護団や相談窓口ができてます。相談無料です。


3 賠償請求する方法は,直接請求だけではありません。
  原発賠償紛争解決センターなど他の方法もあることを知っておくこと!!
[緊急提言]台風12号被災者の救助等について

田中健一,津久井進,山崎栄一
(※アイウエオ順)
連絡先
兵庫県西宮市甲風園1丁目8番1号
ゆとり生活館AMIS 5階 〒662-0832
(弁護士法人芦屋西宮市民法律事務所)


私たちは,関西学院大学災害復興研究所において,災害時の法制度について共に研究をして参りました。すなわち,田中は兵庫県における災害救助と生活再建支援の実務に携わった経験,津久井(弁護士)は災害復興に関する法律実務に携わった経験,山崎(大分大学准教授)は災害と福祉・情報の研究に携わった経験に基づき,かねてより災害救助・災害復興について現実的な政策を検討しております。
今般の台風12号では甚大な人的・物的な被害が発生しました。数多くの犠牲者の方々に哀悼の意を表するとともに,被災者及び被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
私たちは,この平成最大の風雨被害に際して,極度の不安と絶望に瀕した被災者を救済することが最優先であるとの認識の下,一刻も早く万全の救助・支援が実施され,かつ,あらゆる災害対応が講じられるべきと考えております。かかる観点から,以下のとおり緊急提言をとりまとめましたので,現下の対応にご参考にしていただければ幸いです。

1 災害救助法の徹底活用を(国,県,市町村宛)
 災害救助法は,被災者を救助する方法を広く定め,地方自治体に広範な権限を与え,被災地の現場に即して弾力的に運用することが可能な仕組みとなっています。したがって,本来,被災者は同法によって手厚く保護されることとされています。同法が,有効に活用されれば,多くの生命が救われ,被災者の不安も相当改善されるはずです。
 ところが,これまでの大災害では,被災地の自治体が,厚生労働省が定めた災害救助の一般基準の範囲内で救助し,それを超える救助に躊躇している傾向がありました。しかし,そもそも,厚生労働省の定めた基準は,国庫財政負担の一般基準に過ぎません。被災者を救助する必要があれば,救助は幅広くなし得るのであって,一般基準の枠にとらわれて硬直的な対応がなされるとすれば,むしろ問題です。特別基準(災害救助法施行令9条2項)を活用するとともに,被害の実情に照らして必要な救助を検討し,柔軟な発想をもって救助方法を創意工夫し,被災者の救助にあたられるべきです。
 人命と被災者の生存の確保を最優先し,災害救助法を徹底活用して下さい。

2 食品,水,医療,救出の迅速な供給を(国,県,市町村宛)
 台風12号の被災地の一部は,交通が寸断された孤立集落があり,また,広範囲にわたって水道管の断絶が発生しています。水道の応急復旧に時間を要する地域もあります。行方不明者も50人以上の多数に及んでおり,家族らの不安は極限を超えています。避難所での憔悴の中での生活も数日に及び,被災者の心身の疲労は相当蓄積しています。
 被災者の生存を確保するためには,十分な食料,水,医療が必要であり,徹底した救出活動を行う必要があることは自明です。ところが,一部の地域では,被災者らが自ら船出しして食料品を調達に出向いたということです。これは被災地の逼迫した実情と,食品供与等の災害救助が追い付いていない事実を示すものです。
 これまでの大災害でも,食品供与等については弾力的に特別基準が設けられてきました。救助のための輸送についても,被害の実情に応じて柔軟に対応されてきました。食品,水,医療等の生存に直結する救助については,全国各地から輸送機等の貸与等の応援を得て,陸路だけでなく,海水路,空路などをフルに使い,一刻も早く届けられるよう措置を講じるべきです。また,食品については現代生活の水準を考慮して,おにぎりと菓子パンのみといった事態が生じないよう注意するべきです。
 医療については心身のケアが行き届くよう物心両面の対応を行うべきです。被災者の救出については,自衛隊や消防隊に任せるだけでなく,また,3日間という一般基準にとらわれることなく,見守る家族の心情に配慮した,きめ細やかな対応を行うべきです。

3 泥出し作業の専門職業委託を(国,県,市町村宛)
 台風12号の被災地では,浸水に伴って大量の泥が流入したため,泥の掻き出し等が必要です。既に被災地ではボランティアによる泥出し作業が始まり,ボランティア募集も行われていますが,一般家屋であればともかく,災害直後の危険な状況にある場所等で一般ボランティアに従事してもらうわけにはいきませんし,また,泥出しの範囲は相当広範囲にわたるためボランティアだけでは物理的にも限界があります。人でだけではなく,専用の道具や機器も必要です。
 災害救助法23条1項10号,同施行令8条2号では,救助の一つとして,災害によって運ばれた土石等の障害物の除去がメニューの一つに挙げられています。泥出し作業についても,この救助を適用することによって,作業に慣れた土木作業員等の専門的・職業的人材の応援を得て対応することは可能です。過去の水害でも活用例があります。
 そこで,今回の被災地でも,ボランティアを募集して市民の善意に頼るだけではなく,災害救助としての泥出しを積極的に行い,業務を専門的・職業的作業員等に委託し,まだ,泥出しに必要な道具の調達を早急に行うべきです。

4 仮の住宅の早期確保を(国,県,市町村宛)
 避難所での生活は,できる限り早期に終了させて一応の安心が確保できる住宅を整備するべきです。災害救助法では,応急仮設住宅が例示されており,これを早期に建設すべきことは言うまでもありません。応急仮設住宅の建築に当たっては,私有地賃借による用地確保,コミュニティ重視,生活に配慮した建物の仕様等,阪神淡路大震災から東日本大震災までの教訓が蓄積されていますので,これらを活かした対応が望まれます。
 応急仮設住宅だけでなく,公営住宅の転用,民間住宅の借り上げという方法も活用されるべきです。応急仮設住宅を建設するより,コスト面でもはるかに安価で,財政負担の面からも良策です。
 また,民間住宅については借り上げだけでなく,被災者が一般賃貸物件に入居して避難する場合に,災害救助法23条2項を適用して家賃補助する措置も講じられるべきです。
 被災者の生活再建にとって,仮の住宅の確保は極めて重要です。早急に弾力的な対応を行うべきです。

5 救助に県の積極的な関与を(県宛)
 災害救助の責任は都道府県にあります。必要があるときは市区町村に事務を委託することとされており(災害救助法30条),台風12号被害でも,市町村が最前線で災害救助事務を行っているように見受けます。
 しかし,被害の大きさを考慮すると,本則どおり都道府県が直接対応すべき状況です。兵庫県においては,阪神・淡路大震災やその後の台風被害等でも,兵庫県が災害救助の直接対応をしており,それによって判断と実行が円滑に進みました。近畿圏では,府県で関西広域連合が組織され,東日本大震災でも県境を越えた支援活動が行われていましたが,他の地域の自治体の応援部隊との連携を図る上でも,また,被災した隣接県相互の連携を図る上でも,県の積極的関与を全面に押し出すべきです。

6 激甚災害の早期指定を(国宛)
 災害救助とは別に,災害復旧も早急に行われるべきです。この点,災害救助費用と,災害復旧費用は別個のものですが,将来予想される災害復旧費の負担が大きくなるのを懸念して,災害救助までが躊躇されるケースが散見されます。もとより,それは大きな誤解です。しかし,被災地の地方自治体が大災害によって,深刻な財政負担に悩まされることは紛れもない現実です。被災した地方自治体が財政面で不安を抱えることなく,被災者の救助・支援,被災地の復旧に注力できるようにすることが重要です。
 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の適用をするためには,激甚災害の指定を受ける必要がありますが,適用の可否を決めるために被害額や復旧費の査定を行うこととされています。この査定に時間を要するのが通例です。しかし,台風12号の被害の甚大性は明白ですから,通例に従って作業を行うのは相当ではありません。したがって,国は,被害査定を簡略化し,かつ,査定人員を多数投入し,一刻も早く激甚災害の指定をするべきです。

7 県による長期避難世帯の早期認定を(県宛)
 県が「長期避難世帯」と認定した場合は,被災者生活再建支援法に基づいて支給される基礎支援金については「全壊」と同様に扱われ,早期の支援金の支給が可能となります。
 今回の台風12号被害では,一部地域については,山津波によって家屋が流され,あるいは陸路が寸断され,長期の避難生活を余儀なくされることは明らかで,家屋被害の調査を経るまでもない状況にあります。
 過去の例では,数日内に長期避難世帯の認定をしたこともあります。都道府県は早急に「長期避難世帯」の認定をするべきです。
以上
 会長談話です。
 新聞では大きく出ていませんが,重要なニュースです。

 因果関係が否定されたという結論自体は,それが正しいのであれば,特に何ら異論はなく,亡くなられた方にお悔やみ申し上げるばかりなのですが,
 問題は,調査をきちんとやっているのかどうか疑問が残る点です。
 都合の悪い結果を受け入れたくないので,うやむやにしてしまう,というのはよくあることですが,そういう姿勢が見え隠れすると,長期的にみると,かえって社会不安は増大するわけで,今からでも徹底調査をするのが正しいはずです。

 専門の調査機関がないのも問題です。
 労災なら労働局が頑張ってしっかり調査をしますが,労災申請もしてないのだから,調査をしていないに等しいわけで・・・。
 
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110902_2.html

東京電力福島第一原子力発電所作業員の急性白血病による死亡に関する会長談話

東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、本年8月30日、福島第一原子力発電所で復旧作業(以下「本件作業」という。)を行っていた下請企業の40代の男性が急性白血病で死亡したと発表した。
東京電力の発表によると、本年8月上旬の7日間、休憩所で作業員の放射線被ばくの管理に従事し、その後数日間のうちに体調不良を訴え、死亡したとのことである。
また、男性の7日間の外部被ばく線量は0.5ミリシーベルト、内部被ばく線量は0ミリシーベルトとのことであり、厚生労働省の労働災害認定基準に該当せず、医師の診断によっても本件作業と急性白血病との因果関係がないとされている。

しかし、急性白血病は遺伝などを原因とする例も見られるが、放射線被ばくや一部の化学物質への曝露等に起因する例が多く、その原因の特定は疾患の種類や遺伝性などの他の原因の有無なども含め慎重に検討する必要がある。

しかし、東京電力による記者発表においては、この男性の3月11日以降の居住歴も含めた全行動履歴が明らかでなく、また、福島第一原子力発電所事故以前も含めた原子力発電所の作業歴の有無は明らかでない。
この男性が、福島第一原子力発電所周辺で生活していた期間があれば、その生活そのものに起因した被ばくをしている可能性があり、また、以前から原子力発電所での作業に従事していたとすれば、そこでの作業で放射線被ばくしていた可能性も十分にある。
さらに、事故収束作業現場の混乱状況からすれば、作業に起因した外部被ばく及び内部被ばくの測定値そのものの正確性にも疑問が残る。
しかも、東京電力は、因果関係を否定する根拠について、このような不十分な調査による事実関係を厚生労働省の労災認定基準に当てはめるだけで、診察をした医師に因果関係を否定する具体的根拠を聴き取ってもいない。

このような十分な調査を経ているとはいい難い中で、本件作業と男性の急性白血病との因果関係を断定的に否定することは性急に過ぎ、相当ではない。

そもそも東京電力は作業を元請企業に発注しておきながら、その作業員の急性白血病の発症について、元請企業からの報告を受けるだけで、当該男性が何次下請の作業員かすら把握していない。
事故が発生した原子力発電所での作業員の管理体制としては無責任というほかない。

福島第一原子力発電所では、このような体制の下で250ミリシーベルトを超えて被ばくしたとされる作業員が続出していることから、今後、健康影響を訴える作業員が続出することも予想される。

福島第一原子力発電所事故は一日も早い収束が強く望まれているところであり、そのためには、作業員の労働環境の適正さを確保することが極めて重要である。

したがって、当連合会としては、東京電力に対し、男性の職歴、生活歴、それから予想される被ばく線量を徹底的に調査し、男性の原子力発電所での作業と事故後の生活に基づく被ばくを併せて考慮し、急性白血病との関係を慎重に検討した上で、プライバシーに配慮しつつその検討結果を公開することによって、原子力発電所労働者の休憩時を含む労働環境の適正さを確保することを求める。

そして、国に対しては、今後一層、東京電力に対する労働安全衛生指導を強化し、原子力発電所労働による健康被害が起こることを防ぐとともに、放射線による健康被害の危険性が確率的に高いと考えられる労働者が安心して暮らすことができるよう、長期にわたって健康影響を調査し、健康被害が発生したときには困難な立証を経ることなく手厚い保護を受けることができる施策を実現することを求める。
また、事故発生時に福島第一原子力発電所付近に居住していた労働者については、労災認定の判断に当たって、作業に起因する被ばくだけでなく、環境汚染地域における生活に起因する被ばくも総合的に考慮してその判断を行うこととすべきである。

2011年(平成23年)9月2日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
ジャズヒケシIN神戸チャリティーライブ
「福島に故郷(ふるさと)捨てさせない」


日時 9月6日(火) 19時~22時

場所 クラブ月世界(神戸三宮)

チケット料金 2000円(当日ドリンクチケットを50​0円にて購入)

出演 伊勢崎賢治さん(東京学国語大学教授)

   篠田英朗さん(広島大学准教授、ピースビルダー理​事)

   権上康志トリオ(プロ・ジャズミュージシャン)

主催 ジャズヒケシIN神戸チャリティーライブ実行委員会
 
http://hikeshi-project.net​/

jAZZHIKESHI.png

◆ジャズヒケシの「ヒケシ」とは


【ひけし(火消し/HIKESHI)】


平和構築、戦争予防、紛争解決活動をする人のこと。
世界にさきがけいち早く戦争を放棄した日本が名称発祥の地。
国際社会ではHIKESHIと表記される。
政権交代した日本に対しイスラム社会との関係がこじれた西欧社会が期待する
目玉政策でもある。

詳しくは、HIKESHI(マエキタ伊勢崎研究室)を御覧ください。


【伊勢崎賢治(いせざき・けんじ)さん】

  東京外国語大学総合国際学研究院(国際社会部門・国際研究系)教授。
  NGO・国際連合職員として世界各地の紛争現地での紛争処理、
武装解除などに当たった実務家としての経験を持ち、「紛争屋」を自称する。
東ティモール、シエラレオネなどの地域において、紛争解決の実務にあたる。
ジャズトランペッターでもある。


【篠田英朗(しのだ・ひであき)さん】  

政治学者。広島ピースビルダーズ理事、広島大学平和科学センター准教授。
専門は、国際関係論、平和構築。


【権上康志トリオ】

関西を拠点に全国的に活躍するベーシスト権上康志の呼びかけにより、2010年夏結成。
メンバー全員関西を拠点に活動する20代の若手ミュージシャンによるトリオで、
オリジナルを中心にスタンダードも独自の解釈・アレンジで演奏し、
2011年5月24日、権上が自主レーベル「OPEN "E" MUSIC」を立ち上げ、
1stアルバム「Tomorrow is comin'」を発表。
9月よりCD発売記念ツアー中


詳しくは,
  言いだしっぺの, お玉さんのブログか,
  企画協力の, 市民社会フォーラム

直前ですが案内でした!!私も応援してます!!
個人版私的整理ガイドライン利用マニュアル
(債務者代理人向け手引)


■個人版私的整理ガイドライン利用マニュアル 2011年8月30日版(PDFファイル)

本マニュアルは,2011年8月22日に運用を開始した「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます。)による債務整理の債務者代理人となる弁護士の方々に向けて,有志による私的整理ガイドライン検討チームにより作成されたものです。

ガイドラインによる債務整理は,被災者の生活再建・事業再建支援を目的として作られた債務整理のスキームです。
法的手続を経なくても債務の減免を受けることができる,信用情報登録機関に登録されない,保証人に対する保証債務の履行につき相当性の要件が求められるなどの大きなメリットを持っています。
一方で,見通しが不明確であったり、手続が必ずしも容易でない,必要書類が多くある,弁済計画案を個人で作成することが容易でない等の支障があるケースも考えられ,債務者だけでこの手続を採ることが難しい場合もあります。

この点,ガイドラインによる債務整理を的確かつ円滑に実施するために一般社団法人個人版私的整理ガイドライン運営委員会(以下「運営委員会」といいます。)が設立され,弁護士等の登録専門家が債務者の支援を行うことが予定されていますが,弁護士が債務者からの直接の信頼を背景に債務整理を受任する場合等,被災者の代理人としてサポートしていくことが求められる場面も想定されます。

加えてこれから債務整理を考える方々の中には,利息制限法を超過する利息を収受する債権者との取引を行っている債務者も相当数いると思われますが,ガイドラインでは,利息制限法引き直しを含めた債権調査や過払い金回収等の個別の議論についてまでは触れていません。
対象たる被災者の方々が,正確な債務額を把握し、被災後の収入・資産に照らして,(これまでの破産・個人再生の制度も含めて)生活・事業の再建に最も適切な手続を選択するためにも,専門家たる弁護士の助言・支援が極めて重要となってきます。

ガイドラインによる債務整理については,ガイドライン本文のほかに,2011年8月1日付けで,個人債務者の私的整理に関するガイドライン研究会より「個人債務者の私的整理に関するガイドライン Q&A」(以下「Q&A」といいます。個人版私的整理ガイドライン運営委員会のHPにてダウンロードすることができます。http://www.kgl.or.jp/ )が公表され,実務上のポイントが取りまとめられています。

しかしながら,Q&Aには上記のような役割を期待されている債務者代理人となる弁護士が手続に当たってどのようなことをすべきかについては,必ずしも明確にされていません。

そこで,有志による私的整理ガイドライン検討チームは,被災後に債務の返済が困難となった方々から相談を受ける弁護士のために,本マニュアルを作成することにしました。
したがって,本マニュアルは,債務者及び債務者代理人となる弁護士の立場に立ち,被災者支援の視点から書かれたものです。
運営委員会の今後の運用とは異なってくる可能性もありますが、債務者代理人として是非望ましい運用がなされるべく運営委員会その他へ働きかけをしていただきたいと思います。
なお、今後他の運用がなされる可能性がある等、特に留意が必要な部分については点線囲みにしてあります。


運用が未定な部分も多く,不十分なところも多々ありますが,まずは本マニュアルを手に取っていただき,債務整理の方法の一つとして,ガイドラインによる債務整理の制度を積極的に活用いただく際の参考にしていただければと思います。
また、今後、私的整理ガイドライン検討チームでは,実際の運用を元に、皆さまからのご意見を集約しつつ、適宜マニュアルの改訂作業を行い,随時お届けする予定にしています。

(※リクエストがありましたので,本ブログに掲載しました。)
拡散歓迎とのことですので,掲載します。

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第3回うつくしま☆ふくしまin京都
避難する権利と賠償を求める集い
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◆日時:9月25日(日)13:00~16:30

◆場所:京都市伏見区役所1階ホール(区民交流スペース)

◆参加費:避難者500円・支援者1000円

 政府の原子力損害賠償紛争委員会は8月5日、東京電力の原発事故の賠償の目
安となる中間指針をまとめました。しかし、この指針には30キロ区域外避難者
への賠償は盛り込まれておらず、今後の検討課題となっています。

 第3回「うつくしま☆ふくしまin京都」は、「避難する権利と賠償を求める集
い」として開催します。「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」か
ら阿部宣幸さん、「東京災害支援ネット(とすねっと)」から代表の森川清弁
護士をお招きします。避難者、支援者のみなさん、ぜひご参加ください。

★☆プログラム(予定)☆★
13:00 開会・事務局からの報告
13:20 現地報告 「福島の現実とみなさんに伝えたいこと」(仮題)
    阿部宣幸さん(子どもたちを放射能から守る福島ネット・市民放射能測
定所)
    区域外避難者からのお話
    質疑交流
14:50 休憩(10分)
15:00 講演「避難する権利と賠償請求について」(仮題) 
    講師:森川清弁護士(東京災害支援ネット(とすねっと)代表)
16:00 質疑交流・意見交換
16:30 まとめ・終了(予定)

★申し込み先…参加を希望される方は、事務局までメールや電話、faxで必ず申
し込んでください。

★保育希望の方…乳幼児の保育を希望される方は、事前に事務局までお問い合
わせください。

★駐車場について…駐車場は利用できますが、台数に限りがありますので、で
きるだけ公共交通機関をご利用ください。

<関連企画>
◆ 避難する権利・大阪集会(仮称)
  9月24日(土)13:30~ エルおおさか
  (連絡先)子どもたちを放射能から守る大阪ネット
    http://kodomoosaka.jimdo.com/
    070-5651-8333  hay31200@moon.odn.ne.jp

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    うつくしま☆ふくしまin京都
  -避難者と支援者のネットワーク-
  
  (事務局)
  611-0042宇治市小倉町西浦33-16(奥森方)
  tel 090-8232-1664・fax 0774-21-1798
  e-mail:rentai@s3.dion.ne.jp
  blog http://utukushima.exblog.jp/
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
 昨日から,アメリカ合衆国のワシントンD.C.に来ている。

 日弁連の若手法曹サポートセンターに「夢構想プロジェクトチーム」というのがあって,そこが,
   FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁 Federal Emergency Management Agency of the United States)
を視察に行くということだったので,災害復興支援委の一人として参加することになったものだ。

 FEMA(「フィーマ」と読む)は,
   ◆阪神淡路大震災当時は,世界中の災害対応のお手本
だったということもあるが,
   ◆ハリケーンカトリーナでは,災害対応失敗の反面教師
としても有名だ。

 それから,FEMAが対象とする緊急事態は,
    自然災害の被害
だけではなくて,
    核危機による国家的危機
も想定しているので,東日本大震災における原発事故の対応のヒントも得られるのではないか,という期待もある。

 FEMA訪問は明日であり,FEMAがお手本だった時代のWitt長官の事務所に行くのも明日なので,具体的な内容は,訪問後にまとめることとする。

 なお,FEMAを紹介する情報源はたくさんあるが,お勧めの一つは,
   参議院憲法調査会 の2001年1月9日の訪問記録
   http://www.sangiin.go.jp/japanese/kenpou/us/us_chosa07.htm

である。
 なんと,憲法調査会が,アメリカ合衆国における憲法事情を調査するために,FEMAに行くというところがなかなか良い目の付けどころではないか。

 特に,応対をしたWitt長官は,
 「我々の最も大事な目的は国民のためにサービスを提供する。そういう理念の下に災害の管理の取組をしている」
と言いきっている。
 「国民のために災害対策をする」のは,当たり前のことのように聞こえるけれども,なかなか言えるものではない。

(・・・・だって,我が国の復興構想会議は,「日本経済のために,新規産業を盛り立てる」のが,災害復興だと言っているのだから。悲しいことだ・・・。)

 東日本大震災復興構想会議(設置根拠;東日本大震災復興基本法第18条,座長;五百旗頭真)は,全12回の審議を経た上で,平成23年6月25日,審議結果を取りまとめた「復興への提言~悲惨の中の希望~」を公表した(以下「本提言」という。)。

 本提言は,言うまでもなく東日本大震災の復興方針を示した基幹的な公的指針である。
 したがって,今後,国の復興施策この指針を無視するわけにはいかないし,各被災地自治体等で策定される復興計画等に少なからぬ影響を与えることとなるだろう。

 したがって,本提言の意味するところを的確に把握し,評価できる点については更なる議論の深化を促し,他方,問題点については見過ごすことなく批判し改善を求めていく必要がある。


 ざっと概観してみると,かねて議論されてきた災害復興に関する知見や教訓を広く取り入れ,幅広い分野にわたって様々な施策を提示していると言える。
 阪神淡路大震災の後の無味乾燥で中身の薄かった国の復興方針と比べると,進歩した点も見られる。

 たとえば,①自然災害を防災で封じるには限界があり減災を志向すべきことは賢明な選択である。
 ②復興事業は,国主導ではなく,市町村が主となって行うべきものであることも,当然のこととは言え,明言したことには意味がある。
 ③また,既存の復興関係事業の改良や,新たな法的な仕組みの整備を示唆している点も,既存の法制度の枠内に無理に押し込めてきた,これまでの事業のやり方からの解放を期待させるものがある。
 ④財源問題について,基幹税増税に踏み込んで論及したことも,今後予想される大災害への対応に先鞭をつけるものといえる。
 ⑤提言書の各所に,人々のつながり,地域包括ケア,新しい公共,文化といった言葉も登場しており,こうした本提言中のキーワードに接すると,この十数年間の復興研究の進展を感じることができる。

 こうした点は評価できるものの,直ちに実現できるものではなく,今後の取り組みの中ではじめて生かされるものばかりである。さらに深め,進め,展開していく必要がある。


 一方,批判すべき点は多数にのぼる。
 一読しただけでは気付かなかった問題点も,2度,3度と読み進めるごとに,問題点が浮き上がってくる。
 もともと,災害復興の問題は,多岐にわたって複雑な上,社会観や価値観の相違に収斂される点もある。
 しかし,それをさて置いても,見過ごせない問題が多いのである。

 言いだすと切りがないが,私は,人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の職にあるので,こうした立場から問題点を整理してみる。


(1) まず,中身について言及する以前の問題がある。

 ひとつ目は,構想会議本体にも,検討部会にも,被災者の立場を代表する者が入っていないということである。
 岩手,宮城,福島の各県知事は被災地の代表ではあっても,被災者の立場を必ずしも代弁するものではない。

 2つ目は,市民代表をオミットするときには諮問機関として専門性を重視したと説明されることが多いが,委員らの中に著名人は多いが,災害復興の専門家は少ない。
 私の知る限り,少なくとも多くの災害現場を知る専門家の名はわずかである。
 肩書を並べてみると,各分野の利益代表を揃えたようにしか見えず,これで専門性を重視したと言えるのか。

 3つ目は,審議の進め方である。まず被災地の現場から始めるべきではなかったか。
 まず東京での会議が先行し,ヒアリングした関係者は経済三団体であり,現地視察はその後である。
 そこで初めて被災者の生の声に接したに過ぎない。
 しかも,現地視察を終えた僅か3日後に「復興構想7原則」を決定している。
 これでは被災者の声を十分に汲み取り,咀嚼した上で出された原則かどうか疑わしく,単なるポーズとの誹りも免れないだろう。


(2) 本提言の最大の問題は,「人間の復興」の視点が欠けているということである。

 災害復興で最も重要なのは,絶望の淵に立つ被災者に少しでも希望を与えることであり,これを言い換えれば,危機に瀕した被災者の人権を回復することである。
 ところが,本提言は「被災者」についてほとんど触れられていない。
 言及されている部分も「客体」として挙げられるに過ぎず,「主体」として位置付けられていない。
 驚くことに,「人権」という言葉については,記載さえない。
 一人ひとりの人間を尊重すべきことは国政において最も重要であり(憲法第13条),生存の危機を救うことが国家の責務である(同第25条)。しかるに,これを欠落しているのは決定的問題である。

 本提言が被災者の目線で検討されていないことを示している。
 被災地を上から眺めるような目線で貫かれているのである。

 岩手県が公表した「岩手県東日本大震災津波復興基本計画案」(平成23年6月現在はパブリックコメント募集中である。)では,冒頭に掲げた復興のめざす姿の中で「被災者一人ひとりに寄り添う人間本位の復興を実現する」と言及している。
 どうして,本提言は,こうした人間的な目線が欠けてしまったのだろうか。


(3) 本提言には,暮らしやなりわいについて,一人ひとりの被災者を支援しようという視点が欠けている。

 本提言は,国の経済社会の可能性や新たな産業価値を重視する傾向が目立つ。
 こうした姿勢を推し進めると,従来の零細中小事業者の切り捨てにもつながりかねない。

 本提言は,農業についえては集約化や低コスト化や高付加価値化を強調している。
 かねて受け継がれてきたやり方は,集約の対象とされる危険がある。水産業については,特区化が提案されている。
 既に,宮城県では,特区を提唱した県知事と,地元漁業組合が,激しい衝突を起こしている。
 誰のための復興なのかが問われている。
 企業活動についても,立地促進やイノベーションが強調され,被災地外資本の招来を期待しているようにも見える。
 まず地元企業の再建が優先されるべきではないか。

 本提言は,「日本経済」という,被災地と直接かかわりのない大きな課題を目標に据えている。
 しかし,災害の復興を語るならば,日本経済の再生の前に,まず被災地の経済復興である。
 被災地経済は,被災者の生活再建,被災事業者の事業再建があってこそ存在する。
 被災前から連綿と続いてきた被災者一人ひとりの生活や生業の再生こそ重視されるべきであり,これをおろそかにして,日本経済再生を語るべきではない。

 また,被災債務の問題(いわゆる二重債務問題)は,中小企業支援の項で触れられている。
 二重債務問題は,個人の悩みであり,農漁業者の抱える難題であり,中小企業者だけの問題ではない。
 ここで語られているのは,二重債務問題を,新規融資の問題と捉えているからである。
 新たな資金調達や産業再生の観点を強調すると,再生可能性のない者は切り捨てられる。
 過酷な被災状況にある者ほど救われない,というスキームは不合理ではないか。
 個人や零細事業者がマイナスではなくゼロからスタートできるようにすることを基本とすべきである。


(4) また,本提言は,原子力災害からの復興についても,被災者,避難者の視点が欠けている。

 本提言は,原発事故の原因究明等の徹底検証の目的は「国際的信認」のためとしている。
 これは明らかな誤りである。
 原発事故の原因究明は,多大な被害をこうむった原発地域の住民を中心に,数多くの原発を抱えてしまった我が国の国民全体に対する説明責任を果たすために徹底されるべきことである。
 住民や国民への責務を果たすことなくして国際的信認などあり得ない。

 また,被災者への支援については,迅速・公平・適切な賠償に言及するにとどまるが,複合的被害を受けた被災者,避難者には,賠償にとどまらない手厚い支援が不可欠であり,こうした支援がなければ復興を構想することさえできない。

(5) その他にも,批判すべき点は多々ある。

 たとえば,冒頭に掲げた復興構想のうち,最初に掲げている原則1は誰のための原則であろうか。
 「いのち」の重要性は確かに大事だが,生き残って復興に直面する被災者の支援こそ,第一に掲げられるべきで,モニュメントや学術関係者の分析,次世代・国内外への発信は,優先順位は劣位であるはずだ。
 これを最優先に掲げたところに,本提言が,被災者の視線ではなく,自分たちの視線で貫かれていることを示している。

 他にもあるので,また時間をおいて,あらためて追記したいと思うが,今後,国及び各地方公共団体等において具体的な施策を構築するにあたっては,個々の権利関係の尊重と,被災者の生活支援の視点を忘れず,これらを実現する方向で検討されることを願う。

以上
 昨日,東日本大震災復興構想会議の提言が公表された。
 タイトルは
   『復興への提言~悲惨のなかの希望~』

本文はこちら引用図表はこちら資料はこちらにある。

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 議論は紆余曲折があったし,スタートの時点ではヘンテコな方向を向いていたときもあり,批判の目が向けられることも多かった。
 私も,構想会議にも検討部会にも,被災者が一人もメンバーに入っていないことに不安を持っていたし,
 『復興構想7原則』を公表した時点で,”正直これは期待できないな”と見限っていたが,
 最終の報告書を見て,素直に“まぁまぁよいものがまとまった”という感想を持つことができた。

 新聞では,増税のことばかりが大きく取り沙汰されているが(=私は基幹税の増税に賛成。消費税増税が見送られてよかったと思う。),目を向けるべきポイントはいっぱいある。
 
 これまで復興学会などで検討してきた成果を取り上げている部分は,評価したい。

  ◇「減災」を基本としているところは現実的だ。

  ◇「人と人のつながり(絆)」を大切にしているところは,正しいことだ。

  ◇「いのち」を冒頭に持ってきていることも,うなずける。

  ◇復興の主体は(国や県ではなく)市町村であるとしたのは,そのとおりだ。

  ◇「復興交付金」や「基金」を必要としたのは,これまでの知恵の集積。

  ◇「特区」や「復興法制の恒久化」は,念願だったこと。

  ◇具体的な復興手法を列挙した点もよい。是非,さらに深化,具体化してほしい。

  ◇原子力災害に対して,特別の配慮と別途協議の場を設けるとしたことも,正しい。

  ◇合意形成につき,弁護士などの専門家の関与を考えているのも,よいことだ。

「被災地の再生のためには、人と人を「つなぐ」専門知識や技能を持つ人材が望まれる。(中略)地域づくりに必要な知識と技術を広範に手にするため、まちづくりプランナー、建築家、法律家、そして行政官などを導き入れる仕組みも作られねばなるまい。」(4頁)
「住民主体の地域づくりを支援するためには、まちづくりプランナー、建築家、大学研究者、弁護士などの専門家(アドバイザー)の役割が重要である。国内外のこうした専門家の力を活用するためには、関係学会からの支援も受け、ネットワーク組織を作ることが重要である。 」(11頁)



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 しかし,批判しておかなければならない点もある。

 ◆まず,文中に被災者がほとんど登場しない。
  登場する部分を見ても,「客体」として扱われているに過ぎず,「主体」ではない。
  被災者の,個人としての存在を尊重していないのだ。
  「人間復興」を目指すものとはいえない。

 ◆そこから来る当然の帰結なのだが,この提言は全体として,被災者目線ではなく,全体を上から見るという視点で書かれている。


 ◆弁護士的に言えば,「人権保障」という観点で記述されていない。
  文中には「人権」という言葉は,一つも出てこない。

 ◆こうしたトーンであるから,いわゆる二重債務の問題も矮小化されている。
  二重債務の問題は,「中小企業」の項で語られるに過ぎず,債務を抱えた個人たる被災者の救済という観点からは書かれていない。

 ◆復興の仕組み・制度づくりについては言及がある。
  しかし,被災者救助,生活再建支援は,それぞれ復興と不可分の関係にある前提であるのに,しかも,今回の災害では,救助や,生活再建支援について,大いに反省すべき運用状態であるにもかかわらず,その制度改善には全く言及されていない。

 ◆復興制度の中でも,権利関係については,具体的なことが何も書かれていない。
  権利関係を簡易に,かつ,的確に調整する手続きが用意されていないが,その仕組みづくりが必要だと言うべきではなかったか。


 ◆財源確保についても,もう一歩踏み込んでほしかった。
  財源問題は,災害のたびに問題となる。今後の自然災害でも最大の課題となることは自明であるのに,そ
の点の考慮を回避している。

 ◆原発事故の原因究明等を徹底すると書いてあるが,何のためかというと「国際的信認を得るため」とある。
  それは違う。原発で迷惑をかけた住民や,原発に危機を感じた国民の信認を得るのが先である。

 ◆復興構想7原則のうち,冒頭に掲げられた「原則1」は,目の前にいる被災者のことを掲げるべきだ。
  宗教的なもの,精神的なもの,造形的なもの,学術・科学,国内外への発信といった,第三者から見た他人事モードのことばかり並べられている。
  それらは,大事なことだが,冒頭で述べることではないだろう。
  まず最初に述べることは,復興の主役となるべき被災者たちの「人間の復興」であるはずだ。


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日弁連が,ツイッターを始めました。

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 こちらから→http://twitter.com/#!/JFBAsaigai

 災害に関する情報をお届けするのですが,
 主として,立法提言や,政策意見など,日弁連としての動きを届けるものです。

 ネタはいくらでもあるのですが,それを発信する場がなかったのです。

 こうして,日弁連が新しい取り組みをするようになったのも,震災がきっかけです。

 せっかくですから活かしたいものです。
 ご利用ください。


 災害復興とそのミッション  qahisaisya1.jpg    iwanami2.jpg

 東日本大震災で,最大の反省点は何か。

 私は,失政や東電の問題などより,被災地ボランティアの圧倒的不足こそ,最大の問題と感じている。


 阪神淡路大震災の現場を知る者が,被災地に行って驚くのは,被災地にボランティアがあまりに少ないことだ。
 阪神淡路では3カ月時点で120万人弱のボランティアが現地入りした。
 平成7年は「ボランティア元年」とも呼ばれた。

 そうして生まれたボランティア・スピリッツの種が社会に撒かれ,芽が出て,つぼみが膨らみ,東日本大震災の被災地で花ひらくはずだったのに…。

 東日本大震災で現地入りしたボランティアは,わずか42万人(約3分の1)ということだ。

 阪神淡路大震災と比べるまでもなく,被災地は広く,犠牲者は多く,被害の質も深刻だ。
 行政は機能が低下し,被災者の相互共助だけで限界があるのは明らかだ。

 しかし,何かがボランティアを阻んでいる。

 おそらく様々な原因があるだろう。
 「ボランティアは足りている」とか「迷惑だ」等という声もよく聞く。
 ただ,これは被災者の声ではなく,取りまとめる為政者の声であって,風評被害と言ってもよい。


 むしろ,最大の原因は,私たちひとり一人の意識の問題だと思う。

 「人民の人民による人民のための政治」とは民主主義の核心を示す言葉だ。

 民主主義というと難しくなるが,簡単に言えば「みんなで創る社会」のこと,国民主権とは「ひとり一人が主人公となる社会」のことだ。

 被災地に置き換えれば「一人ひとりの被災者が主人公となる社会をみんなで創る」ということである。

 そのためには,ボランティアは絶対に必要なのだ。

 いわば「人民の人民による人民のための活動」がボランティアなのだから



 今からでもまだ間に合う。

 私たちは,基本に立ち返って,ボランティア活動に注力すべきだ。


 第1に,現地に行って活動することの意義を,もう一度,大きく叫び合うこと。社会全体が「新・ボランティア元年」となるよう意識を持ち直すことだ。

 第2に,被災地はもっと「人民の力」を求める声をあげること。官の力を頼る社会は民主的国家ではない。

 第3に,「人よりお金」という考えは政府や行政の発想。民間人は,間違った認識を「お金より人」と改めるべきだ。

 第4に,教育,大学,民間企業,行政は,こぞってボランティア活動を支援する仕組みを本気で構築すること。

 第5に,ボランティアに対しルールや規範を強調しないこと。村井雅清さんの「不良ボランティア論」の真髄は「何でもあり」にある。



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※被災債務からの解放



 署名活動にご協力を!



 目標10万人!




 阪神淡路大震災で乗り越えられなかった大きな課題は
   「二重ローン」
の問題でした。


 一方,最大の成果は「被災者生活再建支援法」ですが,実現できたのは,
   「2400万人の署名」
があったからでした。


 東日本大震災では,「二重ローン」というよりも,被災した「既存債務」があまりにも「過重」で,あのような状態では「再生」もままならない「苦境」が現実ですので,
   「過重と苦境が二重」
になっているところが,問題です。


 そうした中,仙台弁護士会が立ち上がりまして,
   「署名活動」
を展開することになりました。

 めざすは10万人!!


全国各地で頑張ろう!!! オー!!

ここに署名用紙があります。
 http://www.ancl.biz/pdf/2loan-syomei.pdf
じゃんじゃん集めて,仙台弁護士会に郵送しましょう!!


2loan-2.jpg   2loan-1.jpg

 オルタナ・オンラインというWebニュースがある。

 先日,日弁連で,復興基本法に「人間復興」の視点を入れるべきだという意見書を出したところ,オルタナ誌の記者さんが目をつけてくれて,記事になった。
 末尾に引用させていただいた。

 言いたいことは,
   日本復興学会の「被災者が主人公となる復興基本法を 」
にも同じように書いたし,
   日弁連の「東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案に対する意見書」
にも書いた。


 どうして,我が国の政治は,こんなに話が進まないのか?

 その一つの原因は「理念」が共有されていないから。
 「理念」とは,めざすべき方向である。
 ひまわりが太陽を向いて咲くように,政治は理念に向けて動くべきものだ。
 向いている方向がバラバラなのだから,進まないのも道理である。
 
 復興構想会議のサロン的な議論をみるたびに,理念が軽視されているように感じる。

 現実を見据えればこそ,理念の重要性が浮上する。
 扇の要は,枝葉末節の議論ではなく,骨太の理念のはずだ。

オルタナ・オンライン http://www.alterna.co.jp/5847より

復興基本法に人間復興の理念を 日弁連

 6月7日、復興基本法案(正式名称:東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案)の早期成立が明らかとなった。民主、自民、公明3党の衆院特別委員会の理事らが法案の修正協議を行い、政府が提出中の法案を取り下げ、復興庁の設立などの修正案に合意したからだ。来週中にも参院通過成立が見込まれる。しかし、検討内容は十分なのか。

■ 阪神淡路大震災の経験を踏まえた、被災者主体の復興を

 5月20日、政府の法案に対し、日本弁護士連合会が意見書を提出している。被災者の人権と自律的な意思決定の尊重、原発災害の特質を踏まえた調査審議の自主性・独立性の確保や、復興会議などの人選を透明化することも求める内容だ。

 「方針よりも理念が先に示されるべき」と兵庫県の津久井進弁護士は、同法案の根本的な問題点を指摘する。法律家として自身も1995年に震災を体験し、現在は阪神・淡路まちづくり支援機構事務局長を務める。その経験から、第一に「人間の復興」を尊重する大切さを説く。「生活の復興と被災者が自己決定できることが重要だ」。

 また、同案は「先導的施策」を掲げるが、人口減少時代のむやみな大規模事業に津久井氏は警鐘を鳴らす。阪神淡路の復興では、国の補助金を求めて大きな施設をつくったが、建設に関して賛成・反対の住民対立を生んだ。現在、その多くは空洞化したり、赤字問題を抱えたりしているそうだ。一方で、住民主体で復興を遂げた町は、今も比較的うまくいっているそうだ。

■ 透明性ある組織づくりと情報公開を

 津久井氏は、原子力災害に対する組織的な問題点も指摘する。衆院への提出案は「識者による調査審議を行う合議制の機関は、災害復興構想会議の審議結果を踏まえる」としているが、「専門家による調査機関が災害復興構想会議から独立することが必要。事故の経過を見てもそれは明らかだ」という。

 こうした指摘は、修正法案に反映されているのか、その審議経過は国民には見えにくい。分かりやすい情報公開が望まれる。(オルタナ編集部=有岡三恵)

 東日本大震災では,いろんな人が,いろんな立場で,がんばっている。
 私たちの暮らす法曹界でも,「法曹の卵」,司法修習生もがんばっている。

 この前,東北の地をい巡回したときに一緒に同行した修習生が,今,記録集をまとめてくれている。

 東京では,被災者に役立つ情報を冊子にまとめる作業をコツコツとやってくれている。

 まさに「裏方から始まる法律家の実務」だ。
 がんばってほしい。

 自分自身を重ね合わせて,最大限のエールを込めて,修習生のみなさんに向けて,私の平成9年当時に書いた会報の原稿を掲載しておく。


震災非体験者の体験記(平成9年神戸弁護士会会報震災特集号に掲載)

1 その時
 その時,私は,司注研修所の寮の最上階の7階の部屋で,二回試験を目前に控え勉強をしていた。
震源から遠い埼王県和光市では何も感じなかった。
 2~3分後,同期の友人から連絡があった。「つくちやん,さっき関西の方でえらい大きな地震があったらしいで。」「珍しいな。どの辺かな。」「ラジオでは神戸が震源やって言うてるよ。」驚いてラジオのスイッチをオンにした。
 「1月17日未明,淡路島北部を震源とする大地震が発生しました。神戸市東須磨のマンンョンが倒壊したという情報が入っています。新しい情報が入り次第続報いたします。」ラジオは同文句のアナウンスを延々と繰り返すばかりだった。「私は,須暦区の実家と尼崎市の婚約者に電話を入れた。電話器の向う側で,興奮している有様が手に取るように分かる。幸いにして,家族らは全員無事で,家も潰れていないとのことだったので簡略に用心を伝えて電話器を置いた。
 寮の修習生はほとんど寝ている。この事態を何も知らないはずてある。私は神戸,大阪に住まいのある寮生に片っ端から連絡を入れた。
 続いて阪神間に住む知人,友人等の安否が心配になり,次々 に電話を架けた,しかし,もう混線してしまってつながらない。
 午前7時を回りテレビニュースが始まった。ブラウン管を通して初めて被災状況を目にした。映し出される画像は阪紳高速道路の倒壊の様子,伊丹駅の倒壊の様子,各所の家々の倒壊の様子等々だった。
ラジオの報道からは想像もつかなかった惨状である。住み潰れた神戸の街が変わり果てたのを見て一時呆然となったが,すぐに途方に暮れた当地の人々の顔が思い浮かんだ。私は,「一人の神戸人として駆けつけ,何かしなければならない。」という思いに駆られたが,同時に,何もでさない自分の無力さを思い知った。仕方なく,ただただ画面に食い人るばかりだった。
 昨日,兵庫県弁護士会で,弁政連兵庫県支部が主催する,地元国会議員の方々との意見交換会が開かれました。

 本来は役員披露パーティーのところ,こんなときにそんなことやってる場合じゃない,ということで復興を議論する会に切り替えたところ,多数の国会議員の先生方に出席いただきました。

 本人出席いただいた方々は,敬称略・順不同で,
  土肥隆一,高橋昭一,浜本宏,辻泰弘,水岡俊一(民主党),末松信介,谷公一,西村康稔(自民党),赤松正雄(公明党),田中康夫(新党日本)
 と多数お集まりいただき,ほかにも代理出席いただきました。


 弁護士会からは,こもごも提言などを紹介しました。
 私からは,
  ■兵庫県だからこそやるべきことがある
  ■いわゆる二重ローン(被災債務)から解放すべし
  ■災害弱者への対応
  ■被災した事業者への新しい支援方法
  ■罹災都市借地借家臨時処理法を改正しないまま適用しない
  ■災害弔慰金法の改正
  ■復興交付金と,復興基金の創設を
ということを訴えました。
 他の弁護士からも,いろいろ提言して・・・・ホントにたくさんあって,もぅ満腹って感じでした。


 しかし,ありがたいなと思ったのは,やはり兵庫選出の議員さんたちは,真剣だということ。
 (一昨日来の,永田町の噴飯珍事など,どこ吹く風という感じでした)
 復興を実現をするために,真剣に頑張っておられることがよく伝わってきました。

 雲仙普賢岳の災害の時も,
 阪神淡路大震災の時も,
 結局,重要な政策を実行させたのは,超党派の議員連盟の力が大きかったです。

 是非,兵庫を中心に,被災地の議員の良心を結集して,ふんばっていただきたいと思いました。


神戸新聞記事より
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004138845.shtml

被災地復興へ 兵庫県弁護士会と国会議員ら議論 

 兵庫県弁護士会と県関係国会議員が、東日本大震災の復興支援策について話し合う意見交換会が4日、神戸市中央区の兵庫県弁護士会館で開かれた。
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 県弁護士会は、震災直後から政府や各政党に対し、被災者生活再建支援法の拡充などを盛り込んだ立法提言を行っており、同会が企画した。

 交換会には与野党から国会議員10人が出席。同会が提言する二重ローンの償還免除策などについて「財源はどうするのか」「復興格差が起こるのでは」などの意見が出た。一方、政府が検討する復興庁に対しては弁護士会側から「無駄な官庁を増やすだけ」との指摘があり、野党議員の1人は「今の首相の下ではどんな組織を作っても意味がない」と退陣時期などをめぐり混乱が続く菅政権を批判。これに対し、民主党議員は「今は非常事態。超党派で乗り越えていく必要がある」と強調した。(前川茂之)

 災害復興のミッションは,被災者の絶望を少しでも希望に変えることである

 被害の大きさからすればわずかな金額ではあるが,100万円の生活再建支援金を,一刻も早く支給するべきである。

 被災地では,全壊,半壊といった被害認定(「り災証明書」の発行)をめぐって,事務が停滞しているということだ。

 しかし,生活支援金を手元に届ける簡単な方法がある。

 避難所に来ている方々につき「長期避難世帯」の認定をすればよいのである。

 そうすれば,り災証明書なんていらない。
 住民票だけで,100万円が支給される。


 長期避難世帯の認定は,県知事が行うことになっている。
 特に厳格な適用基準などはない。
 県知事が「やるぞ!」と決めたら,それで認定可能なのである。
 それで被災者は救われるのである。

 これまで,長期避難世帯の認定は,
 初適用の有珠山噴火(平成12年3月31日)で119日目
 三宅島噴火で90日目
 新潟中越地震で66日目
 と,だんだん短くなってきて,
 愛媛県の平成16年の台風被害では,5日目
で認定された例さえもある。


 要するに,「被災者を救おう」というやる気の問題なのである。


 津波被害地域はもちろん,
 福島の原発避難を強いられている地域の方々も,
 当然,長期避難世帯の対象になることは,誰の目から見ても明らかだ。

 ところが,どういうわけか,東日本大震災の被災地では,ごく一部の地域でしか長期避難世帯の認定がなされていない。
 理由は不明である。

 ちなみに,国は,災害から1カ月目の4月12日は,後掲のとおり,
「どーぞ,長期避難世帯の認定をしてやってください。適用は,難しく考えずに,弾力的に考えていいから,早くしてあげてね!」
とメッセージを出している。

 県知事が,認定を躊躇する理由がさっぱり分からない。


 せっかく,被災者のために構築した制度である。
 ぜひ,役に立つように,タイミング良く,使ってほしい。



神戸新聞5月27日記事より
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004108243.shtml

原発避難世帯にも支援法適用を 県弁護士会が提言 

 東日本大震災を受けて、兵庫県弁護士会(笹野哲郎会長)は26日、被災者生活再建支援法の改正などを盛り込んだ政府への立法提言書を発表した。「自然災害」に限定されている支援法の対象を原発事故による避難世帯にも拡充すべきとした上で、被災者への早期の支援金支給を求めている。

 意見書では、支援法の対象になっていなかった半壊家屋や地盤の液状化による被害世帯、漁業や農業などの事業用資産に対しても支援金を支給すべきと提言。県知事の認可でできる「長期避難」(最大100万円支給)を認定し、すみやかに現金を支給するよう要望した。

 このほか、阪神・淡路大震災では「災害障害見舞金」を受け取った震災障害者が64人しかいなかったことを踏まえ、救済対象者の拡充や弔慰金の無利子化など、災害弔慰金支給法の改正についても触れている。

 県弁護士会の立法提言はこれで3回目。4月中旬から毎日、被災地に弁護士を派遣しており、津久井進弁護士は「被災地では刻々とニーズが変わっていく。阪神・淡路を経験した弁護士会として、今後も提言を続けていきたい」と話している。(前川茂之)



国(内閣府)が,4月12日に出した通知の抜粋です。
詳しくはこちら http://www.bousai.go.jp/hou/pdf/20110412-jimu.pdf

     ↓


                           平成23年4月12日


各都道府県
防災担当部(局)長 殿

                    内閣府政策統括官(防災担当)付
                    参事官(災害復旧・復興担当)

東日本大震災に係る被災者生活再建支援金の支給手続の迅速化等について

平成23年3月31日付事務連絡により、東日本大震災に係る住家被害認定の迅速化のための調査方法についてお示ししましたが、被災者生活再建支援金の支給手続の一層の迅速化について、下記のとおりお知らせいたします。
つきましては、貴県内の市町村にもお知らせいただき、被災者生活再建支援金の支給手続の迅速化が図られますよう、お願いいたします。

               記

1.長期避難世帯等の取扱いについて
沿岸部で大津波により地域・集落全体が壊滅的な被害を受け、社会的インフラが失われたような地域については、被災者生活再建支援法の「長期避難世帯」に該当しますが、その取扱いについて、別紙のとおりまとめましたので、長期避難世帯の認定に当たっては、必要に応じてご活用下さい。
 なお、別紙は、本事務連絡の発出以前に貴県において行われた被害認定を無効とするものではありません。また、長期避難世帯として取り扱う区域においても、同区域内に存する住家について必要な調査を行った上で、住家被害認定として全壊の判定をすることは可能です。

2.手続の迅速化のための体制の強化について
被災者が一日も早く被災者生活再建支援金の支給を受けられるようにするためには、市町村のみならず、各県の積極的な協力が不可欠であります。その趣旨を十分お汲み取りいただき、市町村の業務の進捗状況を適宜把握していただくとともに、以下のように体制の強化に取り組んでいただきますようお願いいたします。
 (中略)


(別紙)
1.津波浸水区域における長期避難世帯について

 東日本大震災による津波被害に関し、 震災発生時に以下の区域内 (町丁目・字単位)に居住していた世帯については、被災者生活再建支援法(平成 10 年法律第 66 号)第2 条第 2 項ハに規定する長期避難世帯として取り扱って差し支えないものとする。
なお、その場合は、被災者生活再建支援金の支給に関しては個別の世帯毎の調査は不要となる。

○ 津波による住宅浸水率が概ね 100%であることが航空写真又は衛星写真から確認でき、かつ津波により電気、水道、ガスのライフラインの一部又は全部が失われたことにより、居住することが著しく困難な状態が長期にわたり継続することが見込まれる区域

 なお、住宅浸水率が 100%に満たない場合であっても、津波により社会的インフラストラクチャーが失われ居住することが著しく困難な状態が長期にわたり継続することが見込まれる区域については、同様の取り扱いとすることも差支えない。
 また、それ以外の場合であっても、地震又は津波による被害に関し、個別の調査結果に基づき長期避難世帯として認定することも可能である。 (後略)
(別紙)

hinomaru.jpg 国旗起立・君が代斉唱事件をめぐる昨日の最高裁判決をよく読んでみよう。

 裁判官のなんとも言えない苦悩がにじみ出ていて興味深い。



 たしかに,判決は,起立斉唱の職務命令を合憲とした。


 しかし,決して,国旗国歌に対する強制を広く許容したものではない

 むしろ,「こういうことを裁判の場に持ち込まないでくれ」というメッセージが読み取れる。

 国旗・国歌の問題は,「法」によって解決すべき問題ではない,というのが最終結論だ。


 第2小法廷の裁判官は4名である。
 千葉勝美(裁判官出身),須藤正彦(弁護士出身),古田佑紀(検察官出身),竹内行夫(外交官出身)の4名である(※竹崎裁判官は,長官なので抜けている。)
 この4名のうち,3名が補足意見を書いている。

 これらに目を通せば,最高裁判決は,単なる最大公約数を整理しただけのものであることが分かる。

 つまり,構成裁判官のうち4分の3が,判決だけでは言い足りないと感じている,あるいは,「言葉が足らない」と思っているのである。


 憲法的な議論は,もっと深いところまで展開されていたことが分かる。


 たとえば,須藤正彦裁判官(弁護士出身)は,次のような補足意見を述べている。
「もとより,憲法における思想及び良心の自由の保障は,個人の尊厳の観点からして,あるいは,多様な思想,多元的な価値観の併存こそが民主主義社会成立のための前提基盤である」

「思想及び良心の自由は,少数者のものであるとの理由で制限することは許されないものであり,多数者の恣意から少数者のそれを護ることが司法の役割でもある。思想及び良心の自由の保障が戦前に歩んだ苦難の歴史を踏まえて,諸外国の憲法とは異なり,独自に日本国憲法に規定されたという立法の経緯からしても,そのことは強調されるべきことであろう。」

最も肝腎なことは,物理的,形式的に画一化された教育ではなく,熱意と意欲に満ちた教師により,しかも生徒の個性に応じて生き生きとした教育がなされることであろう。本件職務命令のような不利益処分を伴う強制が,教育現場を疑心暗鬼とさせ,無用な混乱を生じさせ,教育現場の活力を殺ぎ萎縮させるというようなことであれば,かえって教育の生命が失われることにもなりかねない。教育は,強制ではなく自由闊達に行われることが望ましいのであって,上記の契機を与えるための教育を行う場合においてもそのことは変わらないであろう。その意味で,強制や不利益処分も可能な限り謙抑的であるべきである。のみならず,卒業式などの儀式的行事において,「日の丸」,「君が代」の起立斉唱の一律の強制がなされた場合に,思想及び良心の自由についての間接的制約等が生ずることが予見されることからすると,たとえ,裁量の範囲内で違法にまでは至らないとしても,思想及び良心の自由の重みに照らし,また,あるべき教育現場が損なわれることがないようにするためにも,それに踏み切る前に,教育行政担当者において,寛容の精神の下に可能な限りの工夫と慎重な配慮をすることが望まれるところである。


 少なくとも,教育行政の場に,「強制」を持ち込むことに,強い警告を発していることは間違いない。
 教育行政担当者に寛容の精神と,慎重な配慮を望んでいるが,これは橋下・大阪府知事にこそ読んで聞かせたい部分である。

 さらに,千葉勝美裁判官(裁判官出身)は,次のような補足意見を述べている。
「起立斉唱行為の拒否は自己の歴史観等に由来する行動であるため,司法が職務命令を合憲・有効として決着させることが,必ずしもこの問題を社会的にも最終的な解決へ導くことになるとはいえない

「国旗及び国歌に対する姿勢は,個々人の思想信条に関連する微妙な領域の問題であって,国民が心から敬愛するものであってこそ,国旗及び国歌がその本来の意義に沿うものとなるのである。そうすると,この問題についての最終解決としては,国旗及び国歌が,強制的にではなく,自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが何よりも重要であるということを付言しておきたい。」



 これで,今回の判決文は締め括られている。


 裁判所が,合憲だと宣言して決着させることが,社会的な最終的解決ではない,と言っているのである。

 普通の人は,裁判が最後の砦だと思っているだろうし,私もそのように勉強してきた。


 しかし,最後の砦であるはずの最高裁が,自己否定をしている。

 「最終解決は社会の環境づくりだ」と言い切っているのである。


 これで解決したと思っている勝訴側こそ,社会環境の創生という重い責務を負うことになったという状況を自覚するべきであろう。

 本日,
   Q&A被災者生活再建支援法
という書籍を新刊で出しました(商事法務発行)。

 本書のはしがきを引用しておきます。

 少しでも被災地の役に立てば幸いです。

       ↓

siennhou.jpg 東日本大震災の衝撃はあまりに大きく,片時も私の頭から離れることがない。
1か月が経過した今もなお,被災地では余震が続き,瓦礫の中で愛する家族やかけがえのない思い出を捜し歩く人々が絶えない。
また,原発事故の底知れぬ恐怖は,日を追う毎に深刻化している。
被災者ならびに被災地の全ての方々に心よりお見舞い申し上げると共に,今後の復興の歩みには我が事という思いで寄り添っていくことを改めて誓いたい。


 被災者生活再建支援法は,阪神淡路大震災の教訓から生まれた法律である。
私人に対する公的補償を拒絶する堅く厚い壁に,市民の力が原動力となって風穴を開けた画期的な公的支援制度である。
当初は,支給額が最高100万円に止まり,要件や手続に様々な障壁があった。
しかし,その後,鳥取西部地震,三宅島噴火,新潟中越地震,能登半島地震,新潟中越沖地震や,幾度も全国各地を襲った台風や豪雨災害などの大災害を経るたびに,問題点を克服し,現在の形に到達している。
創設時と比べれば,かなり使い勝手の良い制度となったと思う。
しかし,真の意味で「被災者の生活の再建を支援する法律」となるためには,まだまだ改善が必要である。
被災地となった阪神の法律実務家として,より一層,被災者のために役立つ制度にしていかなければならないと考えている。


 東日本大震災でも,被災者生活再建支援制度に対する期待は大きい。
政府は,支給上限額の増額等を検討するとのことであり,世論もそれを支持している。
ところが,被災者生活再建支援法について,これを解説した書籍,資料がないことに気付いた。
行政担当者に向けた手引きはあるものの,支援の享受者である被災者の視点から解説した手引き書がなかったのである。
これだけ被災者が大きな期待を寄せているにもかかわらず,これではいけない。
それが本書出版に至った動機である。


 本書の特長は3点である。
ひとつは,被災者及び被災地の実務担当者(行政職員,法律実務家等)に分かりやすいようQ&A方式にしたことである。
ふたつ目は,制度の趣旨・目的や運用の在り方に照らして踏み込んだコメントをできるだけ書くように努めたことである。
三つ目は,今後の制度の改正・改善の方向性について積極的に言及したことである。
その結果,体系性,網羅性,学術性を犠牲にして,私見や立法意見に及ぶ箇所が増えてしまった憾みもあるが,その点は本書を利用する読み手の側で上手に活用いただきたい。


 もとより本書の執筆は,私の知識・経験が不十分であり,能力の限界を明らかに超えている上,何よりも緊急性を重視し1週間足らずで脱稿したことから,内容に至らぬ点が多々あることは自覚している。
被災者生活再建支援法の制定の際,被災地では「小さく産んで大きく育てる」が合い言葉だった。
本書も,とりあえず出来るところから始め,今後の改正に伴って内容の充実に努めたいと思う。
また,支援法の運用で最も重要なポイントは「柔軟性・弾力性」であるから,本書の内容も,上記の事情を忖度して柔軟かつ弾力的に解していただきたい。


 今,私は岩手県内で,このはしがきを書いている。
岩手弁護士会が主催する被災者に対する避難所での巡回相談にご一緒させていただいたところである。
三陸海岸沿いの津波被害の惨状に言葉を失ったが,被災者のために役立ちたいとの一念で奔走している被災地の弁護士や行政職員の方々の姿に触れ,あらためて身の引き締まる思いがした。
そして,我慢強く避難生活を送る被災者の方々が,被災者生活再建支援制度について,ほとんどご存じないという実態に触れ,一日も早く本書を被災地に届けなければならないと痛感した。
被災者生活再建支援法の最大の役割は,絶望の淵にいる被災者の方々に,わずかでも希望があることを伝えるところにある。
被災者の方々に,被災者生活再建支援法のミッションが速やかに届くことを祈っている。


 本書は,株式会社商事法務の浅沼亨氏の熱意に依るところが大きい。
一刻一秒でも早く出版できるよう,寸暇を惜しんで尽力をしていただいた。
これは,被災者生活再建支援法に脈打つ志に共感して下さったからにほかならない。
さらに,関西学院大学災害復興研究所の法制度委員会のメンバーの示唆と,被災者支援にかかわる数多くの弁護士の仲間の情報交換・意見交換があってはじめて執筆ができた。
ここに,関係者各位に,心より御礼を申し上げる。


 被災者の方々に,一日も早く支援金が届き,生活再建の第一歩が踏み出されることを願って。


 平成23年4月17日 津久井 進
 片山善博総務大臣が,
 政府の
   「被災者生活支援特別対策本部」
の本部長代理に就任されました。

 松本龍本部長(防災担当大臣)は,必ずしもこの分野に通暁していないので,実質的にはリーダーとして陣頭指揮に当たるものと思われます。

 私は,大いに期待を寄せています。

 片山副本部長は,
  「被災者の絶望を少しでも希望に変えることが災害対策の要諦だ。この非常時に各省が全力をあげて取り組むよう努力をしてほしい」
と挨拶されたとのことです。

 鳥取県知事のころも,
 その後の研究者のころも,
  「災害復興のミッションとは,絶望している人に少しでも希望を見出してもらうこと」
とおしゃっていました
(「災害復興とそのミッション」(クリエイツかもがわ)P23~24頁)

 一貫してブレることのない片山さんの考えと,
 片山さんの主導力にこそ,
 私たちが政府に抱いている絶望を転化させる希望を見出したいと思います。
東日本大震災

 私の弁護士としての支援活動は,この葦名ゆき先生が投稿された文章からスタートしたいと思います。

 葦名先生は,以前,相馬ひまわり基金法律事務所に赴任されていた弁護士です。

 葦名先生の投稿は,被災から5日後の3月16日付けの福島民報に掲載され,元気と涙が伝わったそうです。

 かなりダイジェストされているようですので,原文をいただきました(葦名先生ありがとうございました。)。


「相馬、頑張れ、頑張れ、頑張れ。」

たった三日前のことなのに、世界が変わってしまいました。人生でこんなに「夢であってほしい」と思ったことはありません。


この3日間、相馬のことばかり考えて過ごしています。


観光地ではなかったけれど、私にとってあれほど美しい海はなかった。

忙しくて心が枯れそうになったとき、よく海辺にドライブに行って、ぼおっと海を眺めていたものです。
太陽の光を受けてキラキラ光る青い海、寄せて返す波の音、潮の香り、海辺で潮干狩りをして遊ぶ小さな子どもたちのきゃっきゃっと笑う声。


そして、市民の方々は、決して裕福ではなかったけれど、ささやかな毎日を一生懸命生きていました。
漁師さん同士の絆はとても強くて、都会にはない人情がありました。
大きなお祭り相馬野馬追では、市民が、観光客そっちのけで戦国武将になりきって熱中していることに驚き、本当のお祭りが生きていることを実感しました。


親切で人なつこくて、気っぷが良い性の人が多くて、冬になると、「御礼」とはみかみながら、漁師さんが受付に蟹を山積みにされていったり、遅くまで灯りがついていると、「先生の身体が壊れちゃう」といって夕食を差し入れて下さったりしました。


相馬にゆかりのある栃東関が勝つと、花火が鳴り響き、依頼者の方と「今場所は花火が多いね」とわくわく待っていたら、まさかの優勝。

凱旋した栃東関を迎えた相馬市体育館が、今は、家を失った人の避難場所になっています。


住めば住むほど好きになるこの土地に、法の支配を確立したい、と本気で思っていたけれど、津波が法の支配の大前提である大事な命と穏やかな毎日を根こそぎ流していきました。


あの海とあの海に生活の糧を得て一生懸命生きていた人たちの笑顔が失われてしまったことを受け入れられません。


私が悲しんでいても仕方がないことは良く分かっています。

それに私よりももっともっと百万倍億万倍ももつらいのが、実際に苦しんでいる人たちであることも痛いほど分かっています。
何もかも失い、未来を描けない。


弁護士は絶望の淵にいる人に希望を語る仕事だけれど、この絶望の深さは、なくなってしまった美しい海よりも深い。

何一つ被害を受けていない私だからこそ支援できる方法があるはずだと心を切り替えなくてはいけません。

この状況下で、弁護士として、個人としてできることを全力で考えていきます。


復興を心から祈っています。

相馬、頑張れ、頑張れ、頑張れ。

3月15日の中日新聞の朝刊に出た記事です。
タイトルや,文章の一部が修正されていましたが,原文は以下のとおりです。

 東日本大震災の惨状に涙が止まらない。
 阪神淡路大震災を経験した被災地の弁護士として,各地の被災者の方々に心からお見舞いを申し上げたい。

tyuniti110315.jpg

 私は,これまで災害に伴う法律問題に接してきたが,法は人を救うために存在するはずであるのに,制度の不備等が被災者に別の苦しみを与えることがある。
 今回の災害では,絶対にそのようなことがあってはならない。

 また,阪神淡路大震災のときに十数本の特別措置法が制定されたが,恒久化されずにその場限りの立法となったため,今回の災害に直ちに適用されないものもある。
 私有地上の廃棄物の撤去は公的費用で行うのが当然だが,そのような制度もない。
 法制度を新たに設けることは,被災者に対する心強い支援にほかならない。
 これまでの災害の経験や教訓を活かした制度は,躊躇することなく早急に適用すべきである。

 しかし,今回の災害は想定をはるかに超えた巨大災害である。
 既存の法制度で太刀打ちできないことも明らかである。

 災害対策基本法は,そのほとんどを防災と応急措置を内容とするもので,復旧・復興に関する規程は乏しい。
 その不備は,これまで繰り返し指摘されてきたが,今こそ新たな制度を創設し,被災地,被災者の再起に資するよう早急に取り組まなければならない。

 ただし,これだけ広域の災害では国の力だけでなんとかなるものでもない。
 隣国中国の四川地震では対口支援といって,被災したそれぞれの州を他の特定の州が支援する取り組みがなされた。
 姉妹都市提携を災害時の助け合いで発揮するようなイメージである。
 日本でも,たとえば,宮城県は大阪府が支援するとか,陸前高田市は名古屋市が支援するとか,特定の自治体が頑張る仕組みを考えてみたらどうか。
 災害対策基本法でも地方公共団体相互の協力について努力規程がある。

 こういった温かい心の通った智恵を制度化することが重要である。

 一方で財源の問題もあるだろう。

 たとえば被災者生活再建支援法は基金をもって支援金を充てることとしているが,今回の災害でかなりの支出をすることになることは確実であるし,復旧・復興にかかる費用も相当である。
 仮設住宅や避難生活を支える災害救助法も,財源の問題があって,適用場面の制限があるため万能とは言えない。
 しかし,やらなければならない使命は明白なのだから,財源不足を理由に支援を躊躇するのは誤りである。
 必要な支援は勇気をもって実施し,これを裏付ける財源は,手元財源だけでなく,義援金等の民間資金,復興宝くじ,ふるさと納税の応用,臨時目的税の創設など,あらゆる手段を講じて確保するのが道理である。

 こうしたことも,勇気ある立法の意思がなければなし得ない。

 温かい心をもった支援制度であり,今回の災害が日本国民共通の国難であるという共通認識さえできれば,乗り越えられないはずはない。

 阪神淡路大震災の被災地で得られた教訓は数々あり,地元の関西学院大学では,昨年,これを条文化した「災害復興基本法案」も公表した。
小さい文字 もっとも重要なことは,人間の命と被災者自身の自立としている。
 現在,懸命の救助活動が続いており,被災地以外の者も,救助活動を精一杯応援したい。
 さらにその後は,被災者の方々が再び自立する状況になるまで見守る必要がある。

 災害は決して他人事ではない。
 私たちにできることは,被災者の方々の目線でモノを考えることであり,もし何か足らない法制度があると気付いたならば,躊躇することなく創設するよう後押ししていくことである。

経歴等
昭和44年5月3日生(41歳)
弁護士 元兵庫県弁護士会副会長,日本弁護士連合会災害復興支援委員会副委員長,阪神・淡路まちづくり支援機構事務局長
著書「災害復興とそのミッション」(片山善博氏と共著),「災害対策マニュアル」(共著)他
 兵庫県弁護士会の坂口裕昭弁護士が,弁護士を休業し,球団代表の職に就くことになったそうです。

 びっくりました。

 坂口先生のことは,以前にもこのブログでご紹介したことがあります。
(⇒こちらの記事『夢を追い 法廷から球場へ』

 このときもびっくりして,しばらくボーゼン&ワクワクしたものですが,今回も,ふたたび仰天&羨望の心境です。

 坂口先生は,プロ野球独立リーグの四国・九州アイランドリーグの
   徳島インディゴソックス
の球団代表となり,球団経営業務に専念することになるとのこと。

 徳島インディゴソックスのHPを見たところ,選手の方々は,前職を捨てたり,学校を辞めて球団入りした方も少なくないようで,ホンモノの野球好きの集団だと,確信しました。

 坂口先生は,3年前の記事ではインタビューに答えて「大好きな野球を仕事にしたい。持てるものを全部出して、奇跡を起こしたい」とおっしゃっていましたが,
 今回の挨拶状で「これからは,若い野球選手と共に,汗と土にまみれて夢を追い,弁護士の肩書きを汚さぬよう,新しい価値観の創造を目指す」とコメントしておられました。
 すばらしい,といいますか,自分の夢をしっかりと実現する有言実行ぶりに,鳥肌が立ちます。

 独立リーグの球団代表って,何をするのか存じませんが,坂口先生のマルチな能力を存分に活かして,夢を実現していただきたいと思います。
 フレー,フレー,サカグチ!!

(しかし,4番打者を放出することになったわが弁護士会のドルフィンズは痛手ですねえ。
 名物連載ドルフィンズ奮戦記もしばらく休刊ですか。
 そうそう,兵庫県弁護士会のキモカワ系のゆるキャラ着ぐるみヒマリオンも,しばらく姿を消すことに・・・)
アナログ志向に転向し,
今年から日記を書くことにしたんですけど,
購入した日記帳の「ひとこと」欄に,思わずニッコリ。

幼い息子が,しょうもないことで,泣き止まないので,
「おまえも男だろう。泣くな!」
と言ったら,その子どもさんが
「男でも子どもや!」
と返したそうです。

モノゴトには二面性がありますもんね。
二面あるうちの,厳しい面ばかり強調せず,ゆる~い許容できる面を見ていきたいものですね。
そういう世の中に。
「被災者支援システム」というのがある。
自治体のための,被災者情報に関する情報データベースシステムのことである。

総務省のお墨付きで,公表され,無償で配布されている。
(財団法人地方自治情報センターのHPから入手できる⇒こちら

このシステムを開発し,阪神淡路大震災でこれを活用し,普及に努めている
吉田稔さん(西宮市情報センター長,被災者支援システム全国サポートセンター長)
のお話を聴いた。
(参考対談は⇒こちら
(⇒総括レポートはこちら

システムそのものは,非常に優れたもので,
単なる情報データベースだけでなく,
GISの地図情報や,福祉情報とのリンクが可能で,
り災証明の発行や,統計処理,災害時要援護者対策にも役立つ。

6年前の台風16号で,塩瀬地区で河川氾濫による3m浸水時にも,このシステムが有効活用され,
一人の死者も出さなかった,という実績がある由。


吉田さんのお話は,非常に分かりやすくて明快だった。

この類の,災害システムは,大学や,公私の研究機関,企業なども考えているようで,類似のシステムもあるようだ。
しかし,そういうところの説明は,ごちゃごちゃしてたりして,なんだかよく分からないことが多い。
これに対して,吉田さんの話は圧倒的に分かりやすかった。


それはなぜか。

「人の命を救うためのシステムだ」という強い理念で,一本の太いスジを通して,現場目線の開発に取り組んでいるからだ。


類似システムを引き合いに出すと,
  “専門家のためのシステム”
  “情報管理のためのシステム”
  “システムのためのシステム”
というのが,対極概念だろうか。

 システムを作ること自体が自己目的化すると,システムも分かりにくくなるし,話も専門的で難しくて分からなくなる。


 吉田さんの話は,“「人の命」のために「情報」がある”という強い確信が,太い柱のように貫かれているから分かりやすいのだろう。


ちょっとずれるかもしれないけれど・・・

裁判所のことを「法の番人」というが,
 “法律家のための法解釈”
 “法秩序のための判断”
 “法律を守るための裁判”
というのがダメなのと似てるような気がした。

 「人のために法がある」という発想で法律を考えないといかんなあと思った。
2011.01.21 震災障害者
震災障害者の問題について取り組んでいます。

1月8日に関西学院大学の研究発表で報告したものをアップしておきます。
 先物取引被害全国研究会という弁護士の集団がある。
 数百人は所属しているだろう。

 全国各地で開催される毎年2回の研究会(学会みたいなもの)には2~300人が参加するかなり活発な研究会だ。
 日弁連の消費者問題対策委員会とも連携が深い。

 私も末端会員の1人であるが,この研究会でどれだけ多く触発され,良い刺激を受け,志を鍛えられたか分からない。
 ライフワークの一つだと思っているところだ。


 津谷裕貴先生は,この先物全国研のリーダーだった。

 私たち実働メンバーにとっては,
   憧憬すべき「先人」であり,
   自慢の「顔役」であり,
   親しみ深い「兄貴」であった。


 津谷先生が突然に世を去って1週間。


 未だに津谷先生のことに触れると,不意に呆然となり,頭の整理がおぼつかなくなる。
 気持ちの動揺が続いているのであろう。

 親しい親交があったというと不遜になるが,全国研で会えば気軽に声をかけてくれ,つまらないことでも電話して聞けば,私の長電話に付き合って下さった。
 つい先日も,宴席で津谷先生の物マネをさせていただいたのだが,津谷先生のおおらかで寛容なお人柄と,普段からユーモラスで人間味あふれる言動をしていたからこそ,できたことだった(なお,スベったのは私の芸の未熟さ故)。

 多くの仲間が,それぞれに津谷先生とのエピソードを語り,無念を惜しんでいるが,
そこに共通しているのは,津谷先生がいかに愛されていた人だったかということである。

 津谷先生の豊かな人格と,優れた見識については,朝日新聞の秋田版に連載していた「あきた時評」のレギュラーコメンテーターとして書か溜められたものがあるので,ここで紹介をしておきたい
あきた時評は,こちら → http://mytown.asahi.com/akita/newslist.php?d_id=0500049 )

 今,新聞等で見かける津谷先生の話題は,「殺人事件」としての報道や,警察の責任という文脈で語られているものがほとんどだ。
 しかし,私は,そういう記事の中で,津谷先生の名前を見たくない。
 津谷先生のことは,先生が活動してきた足跡として語られるべきだと思う。
 それだけ多くの貴重な足跡があり,私たちはそれを絶対に忘れてはならない。
 その足跡が目指していた先を,さらに踏み進め,津谷先生が目指していた目標に向かって頑張らないといけない。
 それこそが,津谷先生の無念を晴らし,喜んでいただけることに違いない。

 津谷先生の足跡として,3つだけ挙げておく。

 ■先物取引被害を不法行為で救済する最高裁判決
      → 裁判闘争の基礎を築く

 ■悪徳商品先物取引業者の撲滅活動
      → 彼らは今や虫の息

 ■不招請勧誘の禁止
      → 新たな切り札として活用


 詳しくは,以下のとおり。
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